第41話 探索準備
ヒデキと天霧くんの加入で人数も戦力も以前に比べ上がってきたと実感している。
そのため、ライズダンジョンの深階層の探索を再開しようと思う。
今週末が全員参加出来るため、土日を使って地下13、14階を探索するつもりだ。
○
週末に向けて、各々が準備を整えていっている。
そんなとき、りょうさんからメンバー向けの防具が出来上がったと連絡があった。
俺は清水商店の工房へお邪魔する。
なかに入ると鍛冶師が集まって出来上がったばかりの防具を確認している。
「これはなかなかの出来栄えですね」
良いものが出来たようだ。
俺も見せてもらう。
比較的大きな盾と鎧がそこに置いてあった。
どちらも表面は岩の突起が至る所についているものだった。
ロックドラゴンの素材を使ったものだろう。
りょうさんの説明では、ロックドラゴンの表皮を使っており、耐魔法性能がとても良いらしい。
たしかにロックドラゴンに氷系と闇属性の魔法以外は外からは効かなかったな。
防御力自体も優れており、タンカー系にもってこいだろうとのことだ。
ゆうりさんにピッタリだな。
早速ゆうりさんを呼んで、みてもらう。
防具をみたゆうりさんが
「無骨な感じがいいな」
と好印象のようだ。
実際に装備してもらい、性能を試す。
俺が魔法を放ち、ゆうりさんが受け止める。
火と風の魔法が盾に命中するが、全く効いていなかった。
これにはゆうりさんが驚いており、
「衝撃はあったけど、ダメージにはならなかった。これはすごい性能ね」
まったく効かないのは悲しいな…
鍛冶師チームは良い仕事をするな。
俺は工房を作るという判断が間違っていないことを確信した。
その後も確認したが、氷系と闇属性以外の魔法への性能は抜群なことが証明できた。
氷系と闇属性へも普通以上の耐性はあるので非常に優秀な防具だ。
これでゆうりさんの戦闘力がだいぶ上がったな。
攻撃魔法がほぼ効かないなんて魔法使い泣かせだ。
機会があれば、またロックドラゴンを倒して素材を手に入れたい。
○
最近では天霧くんのトレーニングの相手をゆうりさんとひなたさんが務めてくれている。
天霧くんの伸びるスピードには目を見張るものがあり、他のメンバーもうかうかしていられないといった状況だ。
ゆうりさんもそんな感じの1人だったが、最近は防御技術にも磨きが掛かっており、もう少しで殻を破れるといった感じだった。
そこにりょうさんたち鍛冶師からの自信作をもらったことで、一気にハマった感じだ。
模擬戦もほとんど負けなくなり、防御のリズムが良いことで、攻撃のリズムにも良い影響が出てきている。
最近の探索で突進スキルを取得したことが大きいみたいだ。
ひなたさんは、回復魔法と補助魔法を習得しており、パーティーの戦闘力増強に欠かせないメンバーになっている。
もともと防御力アップの補助魔法は使えたが、最近は攻撃力アップの補助魔法も習得できたため、パーティーの戦闘力は飛躍的に伸びた。
○
今日は小鳥遊さんがC級への昇級試験を受けるので、同行しており、ハンター協会に来ている。
小鳥遊さんもメキメキと実力を上げてくる天霧くんなどに触発されたのか、モチベーション高くトレーニングを積んでいる。
俺抜きでのダンジョン探索は何度も行っており、そこで魔法を取得したらしい。
試験の時に見られるかな。
試験開始の時間となり、参加者が集められる。
今回は3名のようだ。
B級の魔法使いの女性が試験官であり、魔法戦での模擬戦を行うようだ。
他の2名の参加者も魔法使いだった。
試験が始まる。小鳥遊さんの順番は最後みたいだ。
ほかの参加者は試験官に対して、真っ向勝負で魔法を放っており、簡単に避けるもしくは魔法で相殺されていた。
そして、試験官からの反撃に対し反応が悪く、2、3回攻撃されるとやられていた。
小鳥遊さんの番になる。最初は普通の雷魔法を放ち、様子をみる。ここで小鳥遊さんが広範囲な雷魔法を放つ。
試験官が立っていたところから直径5メートル程度の雷の柱がたつ。
さすがに避けきれず、試験官に魔法は命中した。
かなりの威力だったようで、その場でヒーラーが治療を始める。
結果は合格となる。
すごい威力の魔法だった。あれは当たりたくないな。
試験が終わり、ライセンス証を更新した小鳥遊さんは嬉しそうだ。
実際高校生ではC級がほぼ上限みたいなものだ。
B級は滅多に出ない。
「おめでとう」
「ありがとう!でも、C級からがスタートみたいなものよ!まだまだ強くなるわよ」
小鳥遊さんは嬉しそうに話す。
たしかにうちのパーディーはまだまだ強くなる余地は沢山あると思う。
このメンバーたちとなら地下13、14階も問題なく探索できると信じている。
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