第75話 それぞれの進路
月華ギルドとの話し合いを終え、東京から戻った俺は、早速情報の調査についてヒデキに相談している。
「ハンター協会の会長の調査か。なかなかの大物だね」
「やっぱり難しいかな?」
「いや、うちのグループの諜報機関なら大丈夫さ」
「ほんとにありがとう」
「いいさ。情報は持っておかないと不味いからね」
ヒデキは快く協力してくれる。
「そういえばヒデキは進路どうするの?
大学進学するかもって言ってたけど」
「当面はライズギルドに専念することにしたよ。大学は後からでも行けるしね。
いまはこのギルドがどこまでいけるか見届けたいからね」
「そうなんだね、ありがとう」
「フフ、いいさ。レンは思う存分やりたいことをやって、私を楽しませてくれればいい」
俺たちはそんなやりとりをしつつ、今後の展望について話し合った。
○
スレイヤーズギルドの現状は概ね把握したので、あとは八雲さんに任せることにした。
ライズギルドでの時間をとれるようになり、かれんさんとの模擬戦を再開した。
以前のようにライズダンションに潜り、模擬戦を行う。
かれんさんと対峙するとわかるが、以前はあった僅かな隙が無くなっており、また強くなっている。相当鍛錬したんだな。
俺は気兼ねなく最初から全力でいく。
ファイヤーソードを発動させ、斬り掛かる。
かれんさんはアイスソードを発動させ、対応してくる。
以前は競り勝てていたのだが、今日は簡単には勝てず粘られる。
アイスソードの威力が上がっているみたいだな。
俺は更に力を込め、かれんさんに剣を振り下ろす。
次の瞬間、かれんさんは予想に反して防御せずに切られる。
しかし、俺には斬った感触がなかった。
次の瞬間、かれんさんのアイスソードが俺を襲った。
分身スキルか。いつの間に習得したんだ?
俺の首に剣が突きつけられる。
「まいった」
「ふふっ、良かった。勝てて」
かれんさんは本当に嬉しそうに笑っていた。
「強くなったね」
「蓮くんにまだ置いてかれたくないから」
「俺もまた頑張らないといけないね。
また模擬戦よろしくね」
「うん」
「そういえば、かれんさんは進路どうするの?」
「ライズギルドに永久就職予定」
「そ、そうなんだね。大学には興味ないの?」
「蓮くん以外に興味ない」
「…うん、ありがとう」
かれんさんらしいな。
○
スレイヤーズギルドへ運営委託するダンジョンのことで清水商店にも相談することがある。
前までは惣次さんに最初に相談していたが、モールの建設の方にに専念したいらしく、亜希さんに相談するように言われた。
「亜希さん、あのダンジョンに併設するショップの件で相談していいかな?」
「蓮くん、いいよ。ちょっとだけ待ってね」
俺はショップの規模や人員の計画を相談する。
「なるほどね、その方がいいね。亜希さん凄いね。勉強したりしてるの?」
「少し興味が出てきたの」
「そうなんだね、進路もそういう大学にするの?」
「そうね、経営が学べる大学に入って、ゆくゆくはお父さんの跡を継ぐつもり。
お父さんはどっちでもいいって言ってるけどね」
「亜希さんなら、清水商店をもっと大きく出来るね」
「ありがとう、ライズギルドと一緒にもっと事業を拡大していきたいわね」
「そうだね、一緒に頑張って行こう」
○
最近皆の進路について話しを聞くことが多く、少し考える時間が増えた。
皆が将来に向けて動いている中で自分は何ができているのだろうか?
本当に自分のやりたいことってなんだろう?
まだ時間はあると思うからそれを見つけたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます