第64話 攻城戦への準備と調査
スレイヤーズギルドとの攻城戦まであと2週間ということで、準備を進めている。
まずは装備品の充実だ。最近加入してもらった人達は人によっては装備が弱いので、装備品の支給が必要かどうかを確認した。
総一郎さん、猿渡さん、近藤さんのB級ハンターの人達は装備品は自前で揃ってるので大丈夫と聞いている。
山川さんと小倉さんは支給してもらえるならお願いしたいと言われたので、りょうさんたち鍛冶師がフル稼働で頑張っている。
戦闘職のメンバーはパーティーを組み、ライズダンジョンの深層に潜ったりして、レベル上げに励んでいる。攻城戦ではギルドの総力戦となるので全体の底上げが肝となる。
天霧くんはD級への昇級試験を受ける予定になっている。実力的にはC級ぐらいの実力はついてきているので、頼りにしている。
あとはスレイヤーズギルドの調査が必要だったので今回も雷光グループの諜報機関を使わせてもらった。すでに調査結果は出てきている。
スレイヤーズギルドは県内有数というだけあり、メンバーは300名超が在籍している大手のB級ギルドのようだ。
B級以上は、A級1名、B級5名となっている。A級が間宮(兄)ではなく、佐伯という人で実力は確からしい。
今回の戦いは如何にこの人を抑えるかにかかっていると思う。
凄腕の魔法使いであり、広範囲に水魔法を放つようだ。
間宮(兄)はB級の1人のようだ。ギルドマスターは彼が務めている。
他に有名なハンターはいない。ただ、全体のハンターのレベルは決して低くは無いので油断は禁物だ。
こうやって調べてもらった結果を見ると間宮(弟)だけが異端な感じがするな。ちなみに間宮(弟)はC級に上がったばかりだ。
攻城戦で勝利した場合、スレイヤーズギルドを傘下におさめることができるが、これは凄いチャンスだな。スレイヤーズギルド自体は真っ当なギルドなので、あんな条件での攻城戦をそもそも受けないはずだ。
傘下におさめた瞬間にライズギルドは県内でも1、2位を争うギルドとなる。ワクワクしてきた。間宮(弟)に感謝だな。
俺は情報を元に作戦を考えていく。
広範囲への攻撃が鍵となるので、やはり魔法が勝敗を分けると思っている。
過去の攻城戦の動画とかは世の中に出回っているので後で確認しよう。
○
攻城戦の準備も大事だが、今後の拡大のための活動も重要となる。
追加取得したダンジョンの一般開放も進めていく。
結局はギルドとしての地盤が必要になってくるからだ。
第2、第3ライズダンジョンという名前とし、受付は今まで通りと同じ場所でおこなう。
第2、第3のダンジョンへは受付で発行された許可証を持っていくと入場できる仕組みとした。
第2、第3は特に入場制限は設けていない。そこまで高レベルのモンスターは出ないためだ。
ライズダンジョン1つのみだと最近はフル稼働に近かったため、第2、第3が稼働することで余裕が出来ると思う。
○
間宮(弟)がライズダンジョンに来てから数日後、ギルドホームへスレイヤーズギルドの幹部が訪れた。
間宮(兄)が数名のハンターを引き連れて現れた。この中に佐伯さんは居ないみたいだ。そこまで強い感じの人がいない。
「初めまして、スレイヤーズギルドのギルドマスターの間宮恭吾です。今回はうちの弟が迷惑を掛けたようで申し訳ない」
謝罪に訪れたようだ。残念だけど、攻城戦は無しかな?
「ライズギルド ギルドマスターの九条蓮です。本日はどういったご要件で?」
「先日、弟が攻城戦を行うことを契約した件だが、無かったことにした方が良いのでは?と思ってね。
そちらとしても、攻城戦は無理があるだろう。失礼だが20名も戦闘職がいないはずで、それでうちと攻城戦は可哀想すぎる。そう思ったのでわざわざ来てあげたんだよ」
…おっと、話が少し違うみたいだ。こちらに気を使ってという話で持ってこられても、うちとしては既に勝つ気になっている。
それに少しこちらを侮っている感じが出ている。結局この人もあの男と同じ感じかな。
「いや、ライズギルドとしては構いませんよ。B級ギルドくらい倒さないと日本一のギルドにはなれませんからね」
「…そちらとしては、このまま攻城戦を行いたいということかな?」
間宮(兄)は訝しげにこちらを見る。
「そうですね。止める理由は特にないですね」
「なるほど、弟の言った通りだな。よろしい。では、予定通り攻城戦を行おう。その時泣いて喚いても知らないよ」
間宮(兄)はそう言うと立ち上がり、部屋を出ていった。
スレイヤーズギルドの他のハンターは予定と違ったのか驚いた様子で後を追う。
「ギルマス、攻城戦やめてもらうように頼みにきたんじゃなかったんですか!?」
そんな声が聞こえる。
最後にギルドマスターが暴走した感じか。
その日の夕方、ギルドホームで仕事をしていると瑞希さんからお客様ですと呼ばれる。
受付に行くと、前にスカウトをしてくれたスレイヤーズギルドのスカウトの橋本さんがいた。
「お久しぶりです、九条さん。突然の来訪申し訳ありません」
初めてギルドにスカウトされたのが、スレイヤーズギルドだった。その時のスカウトの人だが、丁寧な仕事をする人というのを覚えてい。それがあってスレイヤーズギルドの印象は悪いものではなかった。
「お久しぶりです、橋本さん。突然どうされたんですか?」
「覚えていてくれましたか、ありがとうございます。
いきなり押し掛けてこんなことを言うのも恐縮ですが、ライズギルドで雇っていただけないでしょうか?自分で言うのもなんですが、スカウトとしての腕はそこそこ自信があります」
話を聞くと、もともと間宮兄弟の父親がスレイヤーズギルドを設立し、切り盛りしていた。
その父親が年齢を理由に、去年息子である間宮(兄)にギルドマスターの座を譲ったそうだ。ここで一悶着あったが、結局世襲した。
ギルドメンバーも先代のギルドマスターには恩があり、今もギルドに所属している状態みだが、最近の間宮兄弟の横暴ぶりが酷く、みんな辟易していたところにライズギルドとの攻城戦となったようだ。
これには幹部含め抗議し、謝罪して攻城戦を取りやめて貰うと約束してギルドを出たそうだ。
それで帰ってきたら、攻城戦勝つぞと言い出し、今スレイヤーズギルドは混乱しているらしい。
橋本さんとしても、もう耐えられないらしく、もともと、興味のあったライズギルドがスカウト職がいないと聞きつけてやってきたという。
そんなことになっていたのか…
うちとしては優秀な人はいくらでも欲しいが、うちに引き抜いてしまうと、傘下
になるスレイヤーズギルドの人達と橋本さんの間にしこりができそうだなと感じた。
そこで橋本さんに、攻城戦でライズギルドが勝利してスレイヤーズギルドを傘下にしても、雇用をどうこうするつもりはないことと、橋本さんをライズギルドとスレイヤーズギルドの統括スカウトの立場に置くということを提案した。
橋本さん的に満足する結果のようでありがとうございましたといい、帰っていった。
スレイヤーズギルドを傘下にしたあと、運営状況をみせてもらってから考えるかな。
なんにせよ、まずは攻城戦で勝たないとな。さぁ準備を更に進めるぞ。
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