第49話 探索でのレベル上げ(3)

 地下5階まで上ってきて、あと少しという気の緩みがあったかもしれない。


 気配察知で先の部屋に気配があったが、確認した時にモンスターではなかったことで油断していた。


 通路を渡り、先の部屋に入った際に3人組のハンターから強襲を受けた。


 咄嗟にファイヤーボールを放ち、2人の攻撃は相殺したが、もう1人は双葉さんへ迫っていた。


 とり逃したハンターの剣が双葉さんを襲う。


 双葉さんは咄嗟に避けようとしたが、肩口から切られ、倒れる。


 その瞬間、俺の中で何かが切れた。


 双葉さんにトドメを刺そうとするハンターに向け、ファイヤーストームを放つ。


 ハンターは一瞬で黒焦げになる。


 残り2人はそれをみて逃げ出そうとするが、俺は本能的にスキルを使った。


 目が赤くなり、思考が鈍くなる。


 とにかく目の前の敵を倒すことだけを考える。ファイヤーソードを唱え、1人に接近し、首を切る。鮮血が散るが気にならない。


 俺は逃げる最後の1人を背中から切り裂く。


「助けて…」と聞こえたが、俺には届かない。


 敵を倒しきると、思考が戻ってきた。


「双葉さん!!」

 俺はすぐに双葉さんには駆け寄り、ヒールを掛ける。傷口は塞がったが意識がなく、顔色が悪い。


 ひなたさんクラスの回復魔法が必要だ。


 俺は双葉さんを背負い、一気に階層を上っていく。


 途中すれ違ったハンターから何か言われたが耳に入らない。


 俺は必死に走った。今までの人生で1番早く走ったと思う。


 ダンジョン構造は頭に入っており、最短距離を必死に走る。


 時間としてはほんの数分だったと思うが、俺にとってはとても長く感じた時間だった。


 地上に戻ったとき、辺りは夕暮れ時だった。

 この時間なら皆ギルドハウスにいるはず。俺はギルドハウスに駆け込む。


 駆け込んできた俺をみて、何事かと集まってくる人の中にひなたさんはいた。


 俺はひなたさんに双葉さんを託した。


 ひなたさんはすぐさま回復魔法をかけてくれた。


 ひなたさんの回復魔法のお陰で双葉さんの顔色は良くなり、少しして目を覚ました。


 よかった、本当によかった…


「くじょうくん…、ごめんね。わたしが足を引っ張っちゃって…」


 そんなことを双葉さんは言う。


「謝るのは俺の方だ!

 双葉さんを守れなかった…ごめん」


 俺は心の底から謝った。


 双葉さんはそこで眠りについた。

 双葉さんをベッドに移す。


「体の方は心配ないわ。疲れて眠っているだけよ」

 ひなたさんはそう言ってたが、俺はもう起きないんじゃないかと不安になり、双葉さんの隣で寝顔を見守っていた。


 次の日の明け方、双葉さんが目を覚ますと俺は安心したためか、急に眠気に襲われ、その場で眠ってしまった。


 目を覚ますと、逆に双葉さんが俺の手を握って見守ってくれていた。


「おはよう、九条くん」


 その一言で救われた気がした。


 この後ヒデキから情報が入った。


 ダンジョンのハンターの遺体を確認したところ、アビスギルドの傘下のギルドのハンターだということがわかった。


 アビスギルドからの指示で犯行に及んだようだ。


「絶対に許さない…」


 俺は、アビスギルドに対して一切手加減しないと誓った。


 九条 蓮

 レベル : 27

 HP : 113

 MP : 105

 攻撃力 : 86

 防御力 : 85

 素早さ : 67

 魔力 : 68

 運 : 70

 スキル : 【気配察知】【剣術+】【気配遮断】【盾術】【身体能力強化+】【シールドカウンター】【ソードスラッシュ】【狂人化】

 魔法 : 【ファイヤーボール】【ヒール】

【ファイヤーソード】【ウインドカッター】【ファイヤーシールド】【ファイヤーストーム】

 称号 : 【ダンジョンの管理人】


 俺は狂人化を覚えていた。


 狂人化 : バーサーカー状態となり、一定時間全能力が向上する。

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