第30話 期待の新人

 先日のギルドメンバーオーディションで戦闘職で入ってくれたの未経験者の天霧くんだけだった。


 経験者の4名はお断りの連絡がきた。


 残念だ。やはり俺が直接やり取りする戦闘職は同世代くらいで声をかけて行くしかないかな。


 高校の昼休みに校庭のベンチで休憩していると、


「九条先輩~」


 と声を掛けられた。


 声の方をみると天霧くんがいた。


 そういえば、うちの高校って言ってたな。


 俺は天霧くんと少し話した。


 地区予選は現地で観戦してくれていたようで、本当に凄かったと言ってくれた。


 何というか本気でリスペクトしてくれているのが伝わってきて、こっちが照れてしまう。


 今日の放課後からメンバーとして活動するため、俺が最初に指導することになっている。


 また放課後なと言い、わかれた。


 放課後ギルドホームに天霧くんがやってきた。


 最初にハンター登録を行うために、協会へ向かう。


 協会で受付にいた小早川さんに話し、ハンター登録をお願いする。


 講習会は明日あるみたいなので、そこを予約した。


 ギルドホームにもどり、天霧くんにどんな戦闘職になりたいかを聞く。


 すぐに九条先輩のような剣士になりたいと返事がある。


 剣士か、それなら武器、防具は俺のお下がりで申し訳ないが、ブロンズソードと鉄の盾と胸当てをあげた。


 天霧くんは凄い感謝してくれた。


 装備をつけて、実際に体を動かしてもらう。


 運動神経は良く、目も良い。


 体力も部活がサッカー部ということで十分備わっている。


 鍛えたら強くなるな。


 俺はある程度鍛えたら、ダンジョンに連れていこうと決めた。


 ちなみに部活はギルドに入って、ハンターを目指すということで退部したらしい。


 部活の顧問とかに俺が恨まれそうだな。


 トレーニングルームで剣と盾の扱い方を教える。


 慣れない部分が多いと思うが、これは毎日やっていくしかない。


 だが、筋は良いのでどんどん吸収していく。


 これならハンター登録が終わればダンジョンの低階層に入れるな。


 あっという間に2時間が過ぎたので、この辺でトレーニングを終える。


 天霧くんの鍛錬を終えると、高槻さんが待っていましたとばかりに現れる。


「行くわよ」


 そう言って、俺はそのままダンジョンへ連行される。


 間髪入れず、模擬戦が始まる。


 ダンジョン内ではスキルOKで戦っている。


 さすがに当たったら重症になりそうな攻撃はしないが。


 この日も結局お互いの限界付近まで戦い、引き分けた。


 今日は天霧くんも夕飯に誘ってみた。


「九条先輩って、料理も出来るんですか?」


 天霧くんからの尊敬の念が強くなった気がする。


 皆に天霧くんを紹介し、皆でご飯を食べる。


 皆弟が出来たみたいと言っている。


 俺もそんな感じがしている。


 天霧くんって何か犬みたいな感じなんだな。

 

 弟分ができて嬉しい自分がいる。


 明日もしっかり鍛えてあげないとな。


 ○


 次の日の放課後、天霧くんがハンター登録をしてくるのを待って、トレーニングを行う。


 今日は俺に対し、攻撃してもらい、ときたま反撃するのを防御するということを行う。


 最初は攻撃することに意識が向かいすぎて、反撃を防御することができず、何度か攻撃をもらっていた。


 都度ヒールをかけて怪我を治した。


 繰り返す中でみるみる動きが良くなり、反撃にも対応できるようになってきた。


 今日はこれくらいにしておくかな。


 あとは反復が大事なことを伝える。


 その後は高槻さんと模擬戦を行う。


 天霧くんがそれを見学しており、動きを真似たりしている。


 今日は俺の勝ちだった。


 高槻さんはそこまで顔に出さないけど悔しそうである。


 ○


 今日も天霧くんのトレーニングに付き合う。


 ただ今日はダンジョンに入り、モンスター相手にどれだけやれるかを確認する。


 天霧くんを連れて、地下1階に向かう。


 少し歩くと1体のゴブリンをみつける。


 ゴブリンと1対1で戦って、どれだけやれるかをみようと思う。


 戦いが始まり、最初こそ緊張していた天霧くんだったが、意を決して攻撃を仕掛けた。


 この攻撃が見事に命中すると、緊張が解けたのか、良い動きになってきた。


 結局苦戦せずに倒せた。


 普通にゴブリン相手なら圧倒できるな。


 ポテンシャルが高い。


 その後も何匹か倒したところで、レベルが上がったらしい。


 素早さがとくに上がったみたいだ。


 スピード重視の剣士か。


 レベルをあげていき、良いスキルか魔法が覚えられると良いな。


 この調子で潜っていけば、すぐにC級までなれるよと伝える。


 天霧くんは嬉しそうに頑張りますと応える。


 ただ無理は禁物なので最初はソロではなく、誰かしら先輩と一緒に潜ることを約束してもらった。


 天霧くんはライズギルド期待の新人だな。


 俺も負けないように頑張らないと。


 人が頑張っているのをみるとやる気が出てくる。


 下からの突き上げがギルドを活性化されるのを感じた1日だった。


 ――――――――――――――――――


【★あとがき★】


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