第31話 最終調整
高校生ハンター競技会の全国大会を週末に控えた俺は最後の調整のため、ソロでライズダンジョンに潜ろうと思う。
天霧くんのトレーニングはゆうりさんにお願いした。
お互いに刺激になるはずだ。
俺はダンジョン受付のスタッフにお疲れ様ですと声をかける。
今のところ地下10階へ入るパーティーはいないようだ。ラッキーだな。
俺はダンジョンへ入り、足早に深階層へ向かう。
久々に1人で潜ると色んなところでパーティーメンバーに助けられていることに気づく。
荷物はポーターの双葉さんに持ってもらえる。
モンスターと戦闘になった際に、最初にタンカーのゆうりさんが相手の攻撃を受け止めてくれる。
遠距離の敵へは小鳥遊さんが雷魔法で素早く攻撃してくれる。
もしも怪我を持った際はひなたさんが魔法で治してくれる。
攻守全般で俺の動きを高槻さんは何でもフォローしてくれる。
もともとはソロでの探索が好きだったが、違う意味でパーティーでの探索も好きになったみたいだ。皆に感謝しないとな。
そんな皆に報いるためにも、全国大会で優勝しないと。今日の探索も少しでも強くなれりたい。
強くなるにはボスモンスターを倒すのが、1番効率が良い。
他のパーティーが倒していないと良いな。
低階層を他のパーティーの邪魔をしないように小走りで抜けていく。
俺は9階のトレントキングの前にきた。
前回の対戦よりも更に強くなっているはずなので、そこまで苦戦しないと思っているが、どうかな。
トレントキングがこちらに気づき、木の実を飛ばしてくる。
俺はそれを避けつつ、ファイヤーストームを放つ。
トレントに命中し、かなりダメージを与えれたようだ。
トレントキングの動きが鈍くなる。
俺は木の実をファイヤーシールドを唱え、盾で防御しつつ、トレントキングに近づく。
ファイヤーソードを唱える。
黒炎にトレントキングが怯んだ。
俺は真正面から全力の一撃を放ち、トレントキングの胴体を切り裂き、倒すことが出来た。
さすがにレベルアップしないか。
よし、次は地下10階だ。
地下10階のオーガを倒していく。
どんどん感覚が研ぎ澄まされていく。
今日は他のパーティーがいないからモンスターが多いな。
その後それなりにオーガを倒したところで
地下11階におりた。
ロックドラゴンはまだいないよな。
さすがにロックドラゴンをソロは厳しい気がする。
地下11階ではレッドウルフが岩陰から襲ってくるので、少しひらけた場所でレッドウルフの相手をしていく。
俺は火のブレスに気をつけつつ倒していく。
この階はそこまで効率が良くないな。
少し倒して地下12階へ向かう。
地下12階はゴブリンの集落があるので、そこを目指す。
ゴブリンキングはまだいない気もするが、普通のゴブリンはそれなりにいると思う。
前回の探索で集落があった近くからゴブリンの姿が増えてくる。
少しずつ倒しながら、集落に近づく。
前回ほどではないが、それなりにいるな。
あまり近づくと捌けなくなるので距離を保ちつつ倒していく。
数体が固まっているところはファイヤーストームで一掃する。
1体や2体でいる所には、剣を振るい倒していく。
100体程度を倒し、あと残り数体といったところでレベルがあがる。
残りも倒したところでライセンスカードを確認する。
九条 蓮
レベル : 22
HP : 95
MP : 88
攻撃力 : 70
防御力 : 69
素早さ : 50
魔力 : 51
運 : 50
スキル : 【気配察知】【剣術+】【気配遮断】【盾術】【身体能力強化+】【シールドカウンター】
魔法 : 【ファイヤーボール】【ヒール】
【ファイヤーソード】【ウインドカッター】【ファイヤーシールド】【ファイヤーストーム】
称号 : 【ダンジョンの管理人】
身体能力強化+ : 身体能力強化のランクアップスキル。上昇幅が強化される。
身体能力強化がランクアップしたぞ。
更に戦いで優位にたてる。
ただいきなり感覚が変わると困るから、上へ戻る時にちょっと慣らしていくかな。
俺は探索を終え、地上へ戻る。
途中で何回かモンスターを倒し、感覚を確かめる。大体把握できたぞ。
1階に戻ったところで、高槻さんが待っていた。
「いた。競技会前に最後の勝負をしましょう」
俺はどこまで能力が上がっているのかを高槻さん相手に試すことにした。
模擬戦が始まると、昨日の模擬戦との差に自然と笑みがこぼれる。
モンスターとの戦いでも強くなれた感覚はあるが、毎日戦っている高槻さん相手の方が違いがわかりやすい。
昨日は高槻さんとの実力差はそこまでなく、五分五分に近かった。
だがいまは、高槻さんの攻撃に余裕を持って対応できる。
俺の攻撃には高槻さんの反応が遅れることが多くなった。
明らかに強くなっている。
素の能力値を増強してくれるこの身体能力強化スキルは反則級だなと正直思う。
俺は、剣術で高槻さんを圧倒する。
「まいったわ。また強くなったのね…」
高槻さんが降参する。
「スキルがランクアップしたんだ。これなら全国大会も良い結果が出せる気がする」
「あなたは前まででも全国トップレベルだったと思うけどね」
高槻さんがジト目でこちらをみている。
少し拗ねているのかな。
そんな高槻さんを宥めながらギルドホームへ戻る。
週末に向けて良い探索ができた。
俺は良い気分で夕食を準備しようとキッチンへ行くと、双葉さんがもう準備を始めていた。
「九条くん、今日は疲れているだろうから私がやるから休んでて」
と言ってくれたので、お言葉に甘える。
続々と皆が集まってくる。
俺は高槻さんと少し話をする。去年の全国大会のことを少し聞いた。
昨年は東京代表の同学年の子に負けたので、リベンジしたいみたいだ。
高槻さんよりも強い子か。今年も出てくるんだろうな。楽しみだ。
その後出てきた双葉さんの手料理を皆で食べながら、穏やかな時間を過ごした。
よし、週末頑張るぞ。
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