第80話 他ギルドからの引き抜き
「九条さん、少しお話よろしいですか?」
俺はライズギルドのギルドホームで仕事をしていると声を掛けられた。
スカウトの橋本さんだ、なんの話しだろう?
「いいですよ、ちょっとだけ待ってくださいね」
俺はキリの良いところまで仕事を進める。
「はい、お待たせしました。お話聞きますよ」
「ありがとうございます。では早速本題ですが、他ギルドにスカウトしたい人材がいます。
アイビスギルドのC級ハンターである
いつB級にあがってもおかしくない方で、必ずライズギルドの発展に力を貢献してくれると思います」
「他ギルドですか。どんなギルドですか?
揉め事になったりしませんか?」
「アイビスギルドはC級ギルドで100人定度の規模です。B級ハンターが2人います。
揉めるかどうかですが、余程大丈夫だと思います。実力と容姿の良さを周りのハンターに妬まれて嫌がらせをされているような状況で、ギルド上層部も気づいていますが放置しています」
「放置ですか…酷いですね。その方の性格としてはうちで上手くやれそうですか?」
「絶対とは言えませんが、物静かな方なので揉めたりは無いと思いますよ」
「そうなんですね、実際に会ったりは出来ますか?」
「できると思います。では宝条さんと調整しますね」
そう言って橋本さんは部屋を出ていった。
○
橋本さんから相談された週の週末に会うことになった。
俺は駅前のビジネスホテルへ向かう。
ビジネスホテルに到着したので、紅茶を注文して待っていると、少しして橋本さんが合流した。
世間話をして待っていると、宝条さんが到着する。
少し時間を過ぎているため、小走りでやってきたみたいだ。
確かに妬まれるというのはあるかもしれない。
整った顔に、すらっとしたスタイルで、いるだけで絵になる感じだ。
「こんにちは、すみません、遅くなってしまって。
アイビスギルドの宝条です。
本日はよろしくお願い致します」
「こんにちは、そこまで待ってないので大丈夫ですよ。ライズギルドの九条 蓮です。
今日はよろしくお願いしますね」
そこからは橋本さんから今回のスカウトの経緯であったり、契約の条件を伝える。
俺からも出来れば一緒に働きたいことを伝える。
「そこまで評価してくださってありがとうございます。ただアイビスギルドが簡単に契約破棄を受け入れてくれるのかが心配で」
「それは不思議ですね、嫌がらせとかを黙認しているくせに出ていくのはダメってことですか?」
俺は不思議に思った。
「そもそも嫌がらせが始まったのが、私がギルドマスターからの誘いを断ったからなんです…
それで機嫌を悪くしたギルドマスターが周囲に私を除け者のするように指示したみたいで」
「そういうことですか。そのギルドマスターは最低なヤツですね」
「私がいま大学2年で、学費も自分で稼がないといけないので、ハンターは続けたくて。他のギルドに移ろうにもギルドマスターが妨害してるようで話が進まないんです」
「話は分かりました。宝条さんとしてはライズギルド加入への加入は問題ないですか?」
「勿論です。こちらからお願いしたいくらいです」
「そういうことなら、あとはこちらに任せてください。ただ少し時間がかかるかもしれないのであと2週間くらい待ってもらえますか?」
「それくらい、全然大丈夫です」
「良かった。じゃあ橋本さんここからは俺が引き受けます」
「分かりました、よろしくお願いします」
この日はこれで話しを終えた。
俺はギルドホームに戻り、少し前に知り合った弁護士事務所の代表の方に連絡をとる。
「こんにちは。ライズギルドの九条です。
先日はありがとうございました。
先生にご相談したいことがあって、相談に乗っていただけないでしょうか?」
弁護士の先生に相談し、証拠を集めていくことになった。
○
2週間後、弁護士の先生の事務所にお邪魔する。北條さんにも来てもらっている。
「九条くん、よく来てくれたね。
そちらが被害を受けている宝条さんだね。
初めまして、弁護士の
「今回の結果で専属の件、進めても良いと思っていますよ」
「おっ、そうかい?では、この件が終わったら話そうか」
そこから今回のアイビスギルドの件について話しをする。
証拠は宝条さんに2週間普通にギルド活動してもらうだけで十分集まった。
ギルドの大多数が嫌がらせに関与しているのは間違いない。脱退は問題なくできるだろうとのことだ。
そこから賠償金とかも取ろうと思えば取れますよ?と先生に提案されていたが、宝条さんはとにかく脱退してライズギルドに移れればそれで良いという。
「では、脱退のみを求めていくことにしよう」
あとは脱退の話をアイビスギルドに持っていくだけだ。
日程を決め、剛力さんからアイビスギルドに話し合いを持つことを連絡してもらう。
連絡した結果、話し合いは明後日となった。
話し合いには念のため、剛力さんの秘書という立場で参加しようと思う。
何事もなく脱退できるんだろうか?
俺は一抹の不安を抱いた。
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