第26話 探索 ライズダンジョン 地下10~11階
土曜の朝、ギルドホームに全員が集合した。
ダンジョン探索にいくのだが、今回の探索の目的は、ライズギルドの地下10階以降を探索し、ダンジョンの一般開放エリアを増やせるかを確認することだ。
それなりに深い階まで行くので、泊まり前提での探索となる。
野営の道具や、食料を双葉さんが背負っていく。
ポーターがいるといないとでは探索の快適さが雲泥の差だ。
地下9階までは、一般開放によって他のハンターがモンスターを倒してくれているため、道中はそこまで戦闘にはならないはずだ。
早めに地下10階におりて、マッピングなどに注力したい。
俺達は早速ダンジョンへ入る。
地下9階まで、何の問題もなくたどりつく。
トレントキングは戦わず、迂回することで階段に到着した。
前回来た時に貼った注意書きもちゃんと残っていた。
俺達は階段を使い、下におりる。
地下10階におりて、辺りを見渡すと、このエリアも森林エリアだった。
モンスターは遠目にオーガが確認できた。
人型で顔が鬼のモンスターである。
非常に発達した筋肉をまとっており、簡単には倒せないモンスターだ。
基本は単体で動いているが、稀に群れをなすため、その場合は苦戦する可能性がある。
オーガがでるとなると、地下10階以降はC級以上のパーティー推奨にした方が良いな。
1体のオーガに対し、連携して攻撃を加える。
最初にゆうりさんが先行し、オーガの攻撃を受け止める。
その間に俺と高槻さんが近づく。
その間は、ゆうりさんをフォローするため、小鳥遊さんが雷魔法で牽制する。
俺もウインドカッターを放つ。
両方の魔法がオーガにあたり、オーガは怒りだす。
小鳥遊さんに注意が向いているうちに、俺と高槻さんで左右から攻撃する。
この攻撃がうまく入り、オーガを倒した。
良い連携だったと思う。
これからどんどん練度が上がっていけばもっとスムーズに倒せるようになるかもな。
やはり2人増えたことで、色んなパターンの攻撃ができて、連携に奥行が出る。
その後も単体のオーガを倒していく。
数体倒したところで、俺と高槻さん以外のレベルが上がる。
「あっ!?やった!」
双葉さんが叫ぶ。
「収納スキルを覚えました!
これでもっと沢山物が運べます!!」
双葉さんは嬉しそうに言う。
収納スキルはとても便利で、別空間に収納エリアを持つことができる。
入れたものの質量は発動者にかかってしまうが、容量を気にせず持ち運べるのはとても便利だ。
あと空間内は外部から遮断されており、食料は腐らず、冷たい飲み物もぬるくなったりしない。
喜んでいる双葉さんをみて俺も喜んだ。
そろそろ単体のオーガにも慣れてきたので、複数体いる場合も相手をしていく。
やはり、攻撃が多少分散するため、少し手間取る。
だが、俺と高槻さんの単独での攻撃力も十分向上しており、オーガを圧倒できる。
少しして、次の階への階段をみつける。
マッピングもそれなりに出来たので俺たちは下の階へおりる。
地下11階は、岩場のエリアのようだ。
山の一部のような感じであり、岩の影にモンスターが隠れていそうだ。
岩場から視線を感じる。
ワーウルフを紅くした狼がこちらの様子を伺っている。
レッドウルフみたいだ。
ワーウルフに火系の特性がついたモンスターで、ときたま火のブレスを吐いてくる。
そこさえ気をつければワーウルフと大差ない。
俺はレッドウルフが飛びかかってくるのをいなす。
隙をついて高槻さんが切りつけ、倒した。
この1体に気を取られているうちに岩陰からもう1体がひなたさんに近づく。
「もう1体、ひなたさんの近くにいる!
小鳥遊さんお願い!」
俺は冷静に指示をだす。
それを聞いた小鳥遊さんが雷魔法で対応し、レッドウルフに雷が直撃し、一撃で倒すことができた。
先程奇襲をうけそうになったこともあり、念の為防御力アップの補助魔法をひなたさんにお願いし、進んでいく。
少し行くと下への階段を見つけた。
下りようとしたとき、
グァァァオ!
突然大きな鳴き声が聞こえた。
どんなモンスターだろうか。
俺たちは鳴き声のしている方へ進んでいく。
岩場を進んでいった先に、大きくひらけた場所がみえる。
そこにそいつはいた。
長い角に、長い尻尾、そして岩の肌。
4本足の大きなトカゲ。
ロックドラゴンがそこにいた。
翼はないが、ドラゴンに分類される。
ロックドラゴンは捕食者の目で俺たちをみている。
確実にB級以上のモンスターだな。
どこまで俺たちの力が通じるか試してやる。
俺と高槻さんが先行し、相手を撹乱する。
長い尻尾を振り回し、攻撃してくる。
動きは単純なため、避けつつ攻撃を加える。こいつにブレス攻撃とか無くて助かった。
こちらの攻撃は外皮が硬くてなかなか攻撃が通らない。
物理攻撃はなかなか厳しいな。
俺達は、魔法攻撃主体に組み立て直す。
小鳥遊さんが雷魔法を放つが、相性が悪く効いていない。
外側には効かなさそうだ。
高槻さんが氷魔法で仕掛ける。
ダメージは通っており、氷系の魔法攻撃が有効なことがわかった。
火系は相性が悪そうなので、ウインドカッターを放つ。
牽制くらいには使えるだろう。
近くまで寄り、ファイヤーソードを唱えて切りかかる。
黒炎をまとった剣で突き刺す。
魔力を纏っており、闇属性なので効くかもしれない。
予想通り攻撃は効いており、その後も連続して切り掛る。
少しずつロックドラゴンにダメージが蓄積される。
グァァァオ!!
ロックドラゴンが声を上げながら、突進してくる。
これをゆうりさんが何とか受け止めるもズルズル押し込まれる。
「小鳥遊さん、俺が攻撃するから合図したら雷魔法を頼む!
高槻さんは、全力で氷魔法で左の前足を狙って!
ゆうりさんは俺の攻撃に合わせてフォローして!」
「わかったわ!」
3人が応える。
俺はゆうりさんをフォローしつつ、横からロックドラゴンに攻撃する。
ロックドラゴンがこちらを向いた。
この瞬間、高槻さんが相手の左の前足目掛けて氷魔法を唱えて、見事に左前足が凍る。
俺は相手の右側から全力で切りつける。ゆうりさんも合わせてくれた。
この攻撃でロックドラゴンが一瞬よろけ、踏ん張ろうとするが左の前足は凍っており、うまく踏ん張れず体制が崩れた。
体制が崩れたことで、ロックドラゴンの腹が見えている。
俺はそこに剣を突き刺す。深々と剣が刺さる。
「小鳥遊さん!」
俺が叫ぶと、次の瞬間雷が剣を伝い、ロックドラゴンを襲う。
体内からの雷は効果抜群のようで、ロックドラゴンはグァァァと声を上げ、程なくして倒れた。
やった、勝てたぞ…
全員がレベルアップしたようだ。
九条 蓮
レベル : 21
HP : 92
MP : 85
攻撃力 : 67
防御力 : 65
素早さ : 47
魔力 : 48
運 : 46
スキル : 【気配察知】【剣術+】【気配遮断】【盾術】【身体能力強化】【シールドカウンター】
魔法 : 【ファイヤーボール】【ヒール】
【ファイヤーソード】【ウインドカッター】【ファイヤーシールド】【ファイヤーストーム】
称号 : 【ダンジョンの管理人】
ファイヤーストーム : 火炎属性の広範囲魔法。ファイヤーボールの上位魔法。
ファイヤーストームか、強いモンスターが増えてきたからな。早く試したいな。
双葉さんがロックドラゴンから使えるものを採る。
上等な素材が手に入ったな。
やはりギルドで鍛冶師が欲しい。
こうやって良い素材が手に入っても売るだけでは強くなっていかない。
「結構、苦戦した」
高槻さんが呟く。
彼女も思うところがあるのだろう。
さらに模擬戦が厳しくなりそうだな。
ロックドラゴンはたしかにギリギリだった。
順調に強くなっている感覚はあるけど、まだまだだ。
俺は少し慢心してたのかなと思い、気を引き締める。
もっと強くならないと、皆を守れない。
強くなるためにも、次へ行くか!
俺たちは階段の所へ行き、地下12階へおりる。
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