第93話 探索 ライズダンジョン 地下15階

 流石くんの魔力操作スキル習得しアーチャーとしての強さをまたしめしたことで、他のギルドメンバーにやる気がみなぎっている。


 地下10階の探索途中から基本全員が順番に戦闘へ参加している。少しでも経験値を得て強くなろうと思っているからだ。


 地下11階以降も同じように交代でモンスターを倒していく。どの階層もそこまで苦戦せずに進んでいる。


 地下14階でミノタウロスを倒し、今日はここで野営することにした。


 探索が順調に進み、予定より下の階での野営となった。


 皆で手際よく準備をしていく。

 食事はいつもの様に双葉さんがメインで作ってくれる。俺も手伝うかな。


 2人で料理をしていると、双葉さんが嬉しそうに話しかけてきた。


「久しぶりに九条くんと料理するのがダンジョンの中だとは思わなかったわ。

 最近また九条くん忙しいから、なかなか会えないしね」


 ハンター大学校へ行ったり、免許を取りに自動車学校に行ったりとなかなか暇がない状況で双葉さんともあまり話せていなかった。


「ごめんね、双葉さん」


「いいのよ、私は九条くんを支えるって決めたの。他の子みたいに戦って助けることは出来ないけれど、ご飯を作って待ってるから」


「ありがとう」


 野営の準備も終わり、料理も出来たので、俺たちは作った料理を皆で食べつつ、近況を共有した。


「ゆうりさん、シールド魔法覚えたんですね」


「そうなの、これでタンカーとして更に皆の役に立てるはずよ」


「タンカーが相手の初撃をしっかり防げると戦闘が落ち着きますからね」


 ゆうりさんは皆の役に立てることが本当に嬉しそうに話す。


「私もエリアヒール覚えたのよ」


「ひなたさんもですか?皆どんどん成長していってますね」


「エリアヒールなら離れているメンバーでも一気に癒せるから」


 ひなたさんは胸を張る。


 本当に俺がダンジョンを探索できなかった間に皆先に進んでいるな。


野営でこうやってコミュニケーションをとることが出来て良かった。最近はギルドメンバーの皆と落ち着いて話す機会がなかったから。


 料理を食べたあとは、見張り番を交代で回しつつ、各自仮眠をとる。


 特に問題なく、野営を終える。


 次はいよいよ地下15階だ。俺としては初めての階なので楽しみだ。


 片付けを終え、下の階へ降りる。

 地下15階は森林エリアであり、ヒデキからはダークエルフが出るということを聞いている。


 人型で黒い肌が特徴のモンスターだ。知性が高く、残忍な性格で知られている。


 たしか魔法や弓を使う個体が多かったはずだ。注意しておかないと。


 俺たちは慎重に進んでいく。

 少し進むと森の影にモンスターの気配がした。ダークエルフだろうな。


「皆、敵が木の影にいるから注意して」


 ひなたさんが防御力アップの補助魔法を掛ける。


 次の瞬間、無数の矢がこちらに向かって飛んでくる。

 後衛のひなたさんや双葉さんをゆうりさん、ヒデキが盾で守る。


 こちらも流石くんが矢で応戦する。魔力の矢での連射だ。見事にダークエルフを捉える。しかし、致命傷は避けたようで、倒すには至らない。


 俺はウインドカッターを放ちつつ、敵に近づいていく。かれんさんも氷魔法を放ちつつ後ろについてくる。他のメンバーも魔法で援護してくれる。


 敵も何か魔法を使ったようだが、何も飛んでこない。なんだろう?そう思っていると近くの木の枝が伸びてくる。植物を操る魔法か!?


 俺はすぐにファイヤーボールで応戦する。木の枝が燃え、捕まらずにすんだ。少しびっくりした。


 かれんさんがその間にダークエルフの近くまで移動し、攻撃を加える。

 ダークエルフは初撃は防御できたが、すぐにかれんさんが追撃し、それには対応出来ずに倒れていく。かれんさんの剣術にはさすがに対応できないだろうな。


 他のダークエルフはヒデキと小鳥遊さんの雷魔法の餌食になっている。


 特に問題なくダークエルフを倒すことができた。知性が高いってことだったから警戒したけどそこまで心配はいらないようだ。


 その後も魔法をうまく使いつつ、ダークエルフを倒していく。メンバーのうち何人かがレベルアップしており、探索の成果が上がっている。


 次の地下16階はどんな感じかな、楽しみだ。俺は期待を持ちつつ、下への階段を降りる。

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