第2話 ハンターライセンス取得

 庭のダンジョンをどうするか、これからのことについて考えた。


 1つ目はハンター協会に依頼を出し、ハンターにモンスターを倒してもらう。


 これには依頼報酬が必要で、モンスターが現れる度に定期的に発生するため、正直家計的にかなり厳しい。


 2つ目は自分がハンターとなり、モンスターを倒す。


 装備やアイテムのお金が必要だが協会へ依頼するよりはトータルでは安くなるはずだ。


 ただ、怪我や最悪死亡するリスクがある…。


 俺は熟考の末、自分でダンジョンのモンスターを倒すため、ハンターになることを決めた。


 ダンジョンに潜るためには、ハンターライセンスを取得し、ハンターとなる必要がある。


 15歳以上から取得でき、ハンター協会が主催する講習会を受けることでライセンスが発行される。


 最初は一番下のランクであるE級となり、協会が斡旋する依頼などをこなし実績を積み、昇級試験に受かることでランクが上がる仕組みだ。


 ランクが高くなると協会が管理する危険度の高いダンジョンにも潜ることができるようになり、得られるアイテムも高価なものとなる。


 またハンターが集まってギルドという団体を結成でき、そこに入ることもできる。


 俺は隣町のハンター協会に足を運んだ。


 受付で講習会の申し込みを行い、すぐ受けることができた。


 講習内容としては、ハンターとしての心構え、ルールについて、またダンジョンで遭遇するであろうモンスターの説明であった。


 講習会を終え、ライセンス発行まで少し時間ができたので、装備を揃えるためにハンターショップへ足を運ぶ。


 ハンター協会が入っているビルの1階にハンターショップがあり、武器や防具、ダンジョンで使用するアイテムなどを購入できる。


 店に入り、初級者向けのコーナーを眺めていると、店員に声を掛けられた。


「いらっしゃいませ。どういったものをお探しですか」


「はじめてダンジョンに潜るので、武器と防具、あと必要なアイテムが欲しくて」


 そういうと店員さんがおすすめの武器、防具を紹介してくれた。


 予算があまり無かったこともあり、ブロンズソードと鉄の盾と胸当てを購入した。


 あとは、回復ポーションを念のため数点購入し、全部で3万円を支払った。


 急な出費となってしまったので、是が非でもダンジョンでアイテムを手に入れなければ。


 買物を終え、ハンター協会の受付へ戻るとライセンスカードが出来ており、これで晴れてハンターとなった。


 ライセンスカードはハンターであることの証明であるとともに、重要な機能がある。

「鑑定」スキルの効果が付与されており、カードに保有者のステータスが表示できる。


 自分のステータスを把握することは最悪の事態を避けるためにも必要なことだと思う。


 今のステータスはこうだ。

 九条 蓮

 レベル : 1

 HP : 13

 MP : 7

 攻撃力 : 6

 防御力 : 6

 素早さ : 4

 魔力 : 4

 運 : 3

 スキル : -


 特に高い値も低い値も無いな。


 よく言えばバランス型か。


 一人でダンジョンに潜ることを考えると悪くないな。


 ハンター協会を出て、家に戻ってきた俺は、早速ダンジョンに潜ることにした。


 買ってきた武器と防具を装着し、準備を終える。


 俺は初めてダンジョンに足を踏み入れる。


 ダンジョンに入った瞬間から異なった空間に入ったと本能的に悟った。


 ダンジョンの中には石畳の空間が広がっている。


「これで小規模ダンジョンか」


 思った以上に広い空間であり、まだ奥に通路が続いている。


 どこかに下の階層にいく階段があるはずだ。


 初めて入ったダンジョンに興奮しているとダンジョンの奥から何か来る気配を感じた。

 

 スライムだ。ゼリー状の体で、酸性の体液を吹きかけて攻撃してくる最も弱いモンスターだ。


 サイズはサッカーボールぐらいで、動きはそれほど早くない。


 俺はスライムに向かって近づいたところ体液を飛ばしてきた。


 飛んでくる体液を避けながら、スライムに向けて剣を振りかぶる。


 切るというか叩いたといった感じの攻撃でスライムを倒すことができた。


 初めてのモンスターとの戦闘だったが、危なげなく終えることができた。


 スライムを倒した際に「魔石」を手に入れた。


 モンスターの生命の源でかる魔力が結晶化したもので様々な用途に利用されている。


 スライムなので小さな魔石だが、これをハンターショップへ持っていけば換金することが出来る。


 このサイズだと数百円といったところか。


 死ぬ可能性もあると思うとやっていられない金額だが、あるだけ有難い。


 1階層はスライムが出現する階層のようで、あれから数匹のスライムを倒すことができた。


 途中で下への階段を見つけたが、明日以降に降りようと思う。


 1階の最後のスライムを倒したところで体に変化が起きた。


 体に力が溢れてきたのだ。


 レベルが上がったようだ。


 ライセンスカードを確認すると「レベル2」に変わっていた。


 九条 蓮

 レベル : 2

 HP : 18

 MP : 10

 攻撃力 : 8

 防御力 : 8

 素早さ : 5

 魔力 : 5

 運 : 4

 スキル : -


 俺は今日の探索は切り上げて自宅へ戻った。


 いつの間にか日が落ち始めていた。


 思った以上に潜っていたようだ。


 本日の成果として小さな魔石が10個。


 数時間での稼ぎだと思えばバイトよりも稼げている。


 状況によってはダンジョン探索をメインにすることも考えて良いかもしれない。


 ちょうどいまは夏休みに入ったばかりで時間はとれる。


 ダンジョン攻略を頑張ってみよう。

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