第3話 探索 実家ダンジョン地下1階

 朝起きてダンジョン探索の続きをしたかったが、午前中はバイトがあるので、探索は午後からにしよう。


 俺は家から自転車ですぐのコンビニへ向かう。


 コンビニへ着くと、挨拶をしつつ裏の事務所に移動する。


 今日も疲れた顔の店長に挨拶をしてからバイト開始だ。すぐに着替えて表へ出る。


 レジ打ちにバックヤードの整理などやることは沢山ある。


 これを8時~12時までおこない、4000円を手に入れることができる。


 12時になり、バイトをあがると急いで家へ帰り、昼食をとる。


よし、ダンジョンへ行けるぞ。すぐにダンジョンへ向かう。


 1階のスライムは昨日あらかた倒したため、今日は数匹出た程度で楽だな。


 モンスターが再度湧いてくるまでの期間も把握しておかないとな。


 昨日見つけた階段を使い、地下1階へ降りる。


 地下1階も上の階と同じく石畳の空間が広がる造りだった。


 この階はどんなモンスターが出てくるのか。慎重に進もう。


 少し進んだところで前から何かの鳴き声が聞こえてくる。


 通路の先から聞こえるため、気配を消して近づいたところ2体のゴブリンがいた。


 人型で緑色の小鬼だ。


 向こうはこちらに気づいていないため、俺は駆け出して、手前にいるゴブリンの頭に一撃を入れる。


 奇襲がうまくいき、1体倒すことが出来た。


 もう1体のゴブリンが間髪入れず、手に持ったこん棒で攻撃してくる。


 盾でぎりぎり防ぎ、受け止めた盾でゴブリンを薙ぎ払い、よろけた所を攻撃し、倒す。


 ゴブリン2体だと少し余裕が無いな。


 複数と戦う時は、狭い通路で1対1の状況を作るとかの工夫をしないと。今の戦いは運が良かった。


 そのあとの戦闘では、1体でいるゴブリンを狙ったり、2体でも地形をうまく使って戦うように作戦を変える。


「おっ、レベルアップだ」


 九条 蓮

 レベル : 3

 HP : 20

 MP : 12

 攻撃力 : 10

 防御力 : 10

 素早さ : 6

 魔力 : 6

 運 : 5

 スキル : 【気配察知】


 体が軽くなり、それまであった疲労感が無くなった。


 あっ、スキルが増えてる。「気配察知」か。


 気配察知 : 周辺の生物の位置を把握出来る


 これは1人でダンジョンに潜るのに有用だな。


 相手が何体とかも分かるし、だいぶ戦闘が楽になるな。


 階段も見つけれてないし、もう少し探索していこう。


またゴブリンを倒すことが出来た。気配察知を覚えてから何回か戦闘になったが、このスキルは凄く役に立つ。


 相手が1体の場合に戦闘するようにして、余裕を持って倒せている。


 下への階段を見つけた頃には、レベル4へ上がっていた。


 九條 蓮

 レベル : 4

 HP : 23

 MP : 15

 攻撃力 : 12

 防御力 : 12

 素早さ : 7

 魔力 : 8

 運 : 6

 スキル : 【気配察知】【剣術】


 今回は「剣術」スキルを手に入れた。


 剣術 : 剣の扱いが洗練される


 少しずつだが強くなっていることを実感できている。


 探索も順調なので、この調子でダンジョンを早めに踏破したい。


 今日は小さな魔石を30個ほど手に入れることができた。


 バイトより稼ぎが良くなるな。これが続くならバイト辞めてこっちに専念しよう。


 ダンジョン探索の後に魔石を換金するため、ハンターショップを訪れた。


 小さな魔石40個で2万円だった。


 始めたばかりにしてはまぁまぁなのかな。


 ショップを出たところで、3人組に声を掛けられた。


「おい、九条じゃないか?」


 俺は振り返り、声の主を確認して後悔した。


 鮫島という高校のクラスメイトと取り巻きの近藤と本田だった。


「何でハンターショップなんかにいるんだ?親無しの貧乏人には縁が無いだろう!」


 鮫島は何故か同じクラスになってから俺を目の敵にしている。


 高校の中でも珍しいD級ハンターであるため、クラスでの発言力がある。


 そのため、他のクラスメイトも同じように俺を目の敵にするか、鮫島を恐れて俺を居ないものとして扱うかのどちらかだ。


 面倒なやつに会ってしまったな。


 とりあえず無難にやり過ごすか。


「ちょっと興味があって寄っただけだ」


 俺は鮫島をなるべく刺激しないような言葉を選んだ。


「ギャハハ、お前なんかにハンターは無理だから諦めろ」


 そう言うと鮫島は気が済んだのかショップの中に入っていった。


 はぁ、最悪だったな。


 ハンターショップだとあいつがいる可能性があるのを忘れてた。


 今度から少し遠いが別のハンターショップに行くか。


 それか個人がやってるハンターショップに行くかだな。


 モンスターと戦う以上に疲れた。


 高校のやつらにハンターになったことが伝わると面倒だな。


 ただ、学校にはハンターになったことは伝えないといけなかったよな。


 うーん、ハンターランクを上げておいた方が良いかもな。


 色々絡んでくる奴らがいそうだし。


 どうやって高校の方を対処しようかと考えていたら、自然と笑っていた。


 今まではどうしようも無いと諦めていたけど、変えれるかもと思えるだけでやる気が出てきた。

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