第4話 探索 実家ダンジョン地下2、3階

 ハンターショップでの鮫島の件があってから、ダンジョン探索へのやる気が更に増している。


 実家のダンジョンの探索が終わったら、近場の個人所有のダンジョンに行ってみたい。


 当面のあいだは、午前はバイト、午後はダンジョン探索という生活スタイルで行こう。


 来月からはバイト無しでやって行くことが目標だ。


 バイトをこなし、午後の探索を開始した。


 1階、地下1階のモンスターを倒した際に剣術スキルの効果を実感した。


 どうやって剣を振れば最短で切りたいところにもっていけるかが本能で解るようになった。


 スキルがない頃とは格段の差だ。


 モンスターを倒すスピードがあがり、探索もスムーズになってきた。


 俺は地下2階への階段をおりた。


 地下2階は今までとは違っていた。


 一面に広がる森林がそこにあった。


 これ、本当に小規模ダンジョンなのか?


 他のダンジョンを見たことがないため、分からないが相当広そうだ。


 不意にモンスターの気配を感じた。


 ギリギリ視界に入るところに、人型で犬の頭を持つコボルトと呼ばれるモンスターがいた。


 手には長剣を持っている。


 各階に異なるモンスターが生息しているようだ。


 俺は木の間を縫うように、コボルトの背後から近づく。

 あと数メートルといったところで駆け出し、剣を一閃し、コボルトの首が落ちた。


 よし、問題なく倒せるな。


 その後も危なげなくコボルトを狩っていく。


 森の外れの方に下への階段を見つけた。


 近づいていこうとすると、気配察知スキルがはたらき、なんの変哲も無い木の位置を教えてくる。


 もしかして木のモンスター、トレントか?


 俺は落ちていた石を思い切り木に向かって投げた。


 石が当たると木が突然動きだした。


 やはりトレントだったか。


 スキルが無かったら気づかずに近づいてしまい、攻撃されていたな。


 俺はトレントの伸びてくる枝をやり過ごしつつ、攻撃を加える。


 決定打を打てない状況だったが、コツコツ攻撃を当て、何とか倒すことが出来た。


 トレントからアイテムがドロップした。


「トレントの木片」を手に入れた。


 確かこれは魔力を帯びた木片で、高級な木工細工に使われるため、高く売れるアイテムだ。


 トレントを倒したところでレベルが上がり、「ファイヤーボール」の呪文を覚えた。


 九条 蓮

 レベル : 5

 HP : 27

 MP : 19

 攻撃力 : 15

 防御力 : 14

 素早さ : 9

 魔力 : 9

 運 : 8

 スキル : 【気配察知】【剣術】

 魔法 : 【ファイヤーボール】


 ファイヤーボール : 火炎属性の広範囲魔法


 これは当たりだ!俺は心の中でガッツポーズをした。


 モンスターの数が多い時に苦労していたのでこれでもっと効率的に戦えるようになるはずだ。


 早く試したい。レベルアップしたばかりで体力的にも余裕がある。


 下の階を少し探索するか。


 俺ははやる気持ちを抑え、下の階へおりた。


 地下3階は、先程と同じ森林の階層のようだ。


 生息するモンスターは…いた。


 狼のモンスター、ワーウルフが3匹こちらをみている。


 3匹がすぐさまこちらに駆け出してくる。俺は呪文を唱えた。


「ファイヤーボール!!!」


 無数の火炎の球がこちらに向かっていたワーウルフを飲み込んだ。


 一瞬でワーウルフを燃やし、3匹同時に倒した。MPは4減っている。


 頻繁には使えないが、大きな武器を手に入ったな。


 あとはMPが枯渇するまでワーウルフ相手にファイヤーボールを試した。


 今回の探索で、魔石10個と小さな魔石30個を手に入れた。


 トレントの木片は後々使うこともあるかもしれないので取っておくことにした。

 魔石が2千円くらいと考えると3万5千円となる。

 よし、バイトは今月いっぱいで辞めよう。

 俺は来月からダンジョンで稼ごうと心に決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る