第5話 探索 実家ダンジョン地下4階

 昨日の探索でハンターへの希望が見えてきた。


 今日もバイトの後、ダンジョン探索だ。


 コンビニのバイトは月末で辞めることを店長に伝え、了承をもらった。


 これで来月からハンター活動に時間が掛けられるぞ。


 午後からダンジョンへ潜り、地下4階を目指す。


 いつものように各階のモンスターを倒しつつ、地下3階で下への階段を探す。


 階段はすぐ見つかった。


 さぁこのダンジョンの最下層だ。


 気合いをいれていくぞ。


 地下4階も森林が広がるエリアであった。


 この階ではオークと呼ばれる人型のモンスターが生息している。


 強靭な筋肉に覆われており、戦闘力の高いモンスターだ。


 1体のオークを狙い、背後から攻撃を加える。


 直前で気づかれ、決定打にはならなかった。


 逆にオークの反撃で斧の一撃を盾で受けた。



 軽く体が浮き、1メートル程後ろに飛ばされる。力はかなりある。


 あまり長引かせると他のモンスターがよってくる可能性もあるため、隙をみてファイヤーボールを至近距離で放ち、倒すことができた。


 オークを余裕をもって倒すにはもう少し戦力補強が必要だな。


 資金が貯まったら武器を買おう。


 この後は出し惜しみせずファイヤーボールを使いオークを3体倒したところでレベルアップした。


 九条 蓮

 レベル : 6

 HP : 30

 MP : 23

 攻撃力 : 17

 防御力 : 16

 素早さ : 11

 魔力 : 10

 運 : 10

 スキル : 【気配察知】【剣術】

 魔法 : 【ファイヤーボール】【ヒール】


 ヒール : 初級の回復魔法


 ヒールを覚えた。


 回復できるようになったから、ある程度の攻撃に対しても気にせず突っ込んでいけるな。


 HP、MP共に回復したため、更に探索を続けていく。


 探索を続けていくと、不思議なことに下の階層への階段を発見した。


 ただし、階段の先は閉ざされており、下の階へは進めない。


 おかしいな、この階で終わりのはずなんだが。


 ダンジョン調査員の人が言っていたことと違う結果に困惑している。


 調べてみないとな。


 ひとまず探索を切り上げて家に戻る。


 今回の探索では魔石20個、小さな魔石20個を手に入れた。


 合計5万円程度となるはずだ。


 武器を買うために個人経営の清水商店というハンターショップを訪れた。


 ここなら鮫島とも会わないだろう。


 武器が並んだコーナーを眺めていると、後ろから女性の店員に声を掛けられた。


「何をお探しでしょうか?」


「ええと剣を買いたくて。今はブロンズソードを使ってるんですが、もう少し良い剣を探していて、予算は5万くらいです」


「かしこまりました!それですと、この辺りの剣はいかがでしょうか」


 店員さんに数本の剣を見せてもらう。


 鉄の剣と鋼の剣で迷ったが、攻撃力アップを考え鋼の剣にした。


 少し値が張り7万円だった。


 ついでに魔石の換金もお願いした。


「3組の九条くんだよね?」


 会計作業を終えた女性店員が話しかけてきた。


「そうですけど。」


 俺はそこで初めてしっかりと店員の顔をみた。


 黒髪ロングヘアーの目鼻立ちがスッキリした、モデルと呼ばれても信じてしまいそうな美少女だった。


「やっぱり!わたし同じ高校の1組の清水しみず亜希あきです。」


 どうやら1年の時に道で落し物をして、それを俺が一緒に探したようだ。


 うーん、覚えていないな。


「悪いな、ちょっと覚えていない」


 俺は素直に言った。


「ううん、いいの。私もお礼しっかり出来てなくて。なんか似てる人だなーって思っていたら本人でびっくりしちゃった」


 なるほど、それで商品の説明の時もやけに見られてる気がしたのか。


「ここ私のお父さんがやっているお店なの。たまに私も手伝いで接客しているの。九条くんってハンターだったんだね。知らなかった」


「あー、最近なったばかりだからな」


「じゃあ、良ければこれからもお店きてね。サービスするから。あっ、あと…良かったら連絡先交換しない?


 特に断る理由もなかったので連絡先を交換して店をでた。


 なんで俺の連絡先なんか欲しいのかな?


 まぁ、いいか。


 今は強くなることに集中しないと。


 そんなことを考えつつ、家に帰った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る