第37話 新メンバー

 高校生ハンター競技会の全国大会も終了となり、またいつもの日常が戻ってきた。


 大会の次の日の朝、高校へ向かう道中、何か変な感じがしていた。


 周りからやけに視線を感じる。


 それは、高校に着くと更に増していった。


 そして、教室につき、爆発する。


 クラスメイトが俺の元に殺到したのだ。


「九条、昨日は凄かったなー」


「すげぇなー、おめでとー」


「ねぇねぇ、サイン貰えないー?」


 大会のテレビ放送をみたらしい。


 男子、女子関わらず皆が勢いよく話しかけてくる。


 本当にこのクラスの連中は変わらないな。


 俺は相手することなく、無視し続ける。


 さすがに雰囲気を察したのか、静かになり、皆と元いた場所へ戻っていった。


 俺は静かに授業を受けた。


 昼休みになると、亜希さんがクラスにやってくる。


 一緒に中庭のベンチにいき、昼食をとる。


 今日は亜希さんがお弁当を作ってきてくれた。


 亜希さん、料理はそこまで得意じゃないと言っていたので、頑張ってくれたんだな。


 お弁当の料理はどれも愛情が感じられ、とても美味しかった。


「ご馳走様でした、どの料理も美味しかったよ、ありがとう」


「お粗末様でした」


 その後は大会の話だったり、先程のクラスの話をしていると、予鈴が鳴る。


 時間が経つのは早いな。


 俺たちは教室に戻り、午後の授業を受ける。


 ○


 午後の授業も終わり、今日は亜希さんと一緒に帰宅する。


 今日はお客さんが来る予定になっている。


 時間の少し前にギルドホームの駐車場に黒色のセダンが止まる。


 運転手が降りて、後部座席のドアを開け、中から男性がおりてきた。


 雷光くんだ。


 そう、今日は雷光くんがギルド加入の契約をしにくるということで待っていたのだ。


 もう1人女性がおりてきて、この人が秘書のようだ。


「本日はお時間作って頂き有難うございます。わたくし、雷光英輝の秘書の漆原うるしばらと申します。

 今日は準決勝での約束事である、ギルド加入と子会社との提携について契約をしにまいりました。」


 ギルド加入はともかく、子会社の話も本当だったようで、俺は驚いた。


「九条くん、今後ともよろしく頼むよ。

 私のことはヒデキとでも呼んでくれ」


 ヒデキくんは笑顔でそう言うと握手を求めてきたので、応える。


「ヒデキくん、よろしくね。俺のこともレンでよいよ」


 意外と仲良くやっていけるのかな。


 契約については、漆原さんとこっちは清水商店から来てくれている事務スタッフの人が主に対応してくれた。


 ギルドへの加入は他のメンバーと同様の契約となる。


 業務提携については、インターネット上で動画配信サービスを展開する会社を提案された。


 コンテンツとして、ハンターの探索動画も人気がある。


 全国大会の表彰式のメンバーが3人もいるパーティーなら人気も出るとのことだった。


 ヒデキくんがこの会社の重役ということも加味して提案したとのことだ。


「私が分かっている会社の方が安心だろうからね」


 たしかにそうだな。


 俺は少し考えるが、どう考えてもうちにメリットしかなく、釣り合っていない契約であり、躊躇していると、


「何を迷っているんだい?漢の約束事なんだから素直に受け取れば良いのさ」


 そう言ってくれたので有難く契約させてもらう。


 清水商店に続き、2つ目の業務提携であり、ギルドとしての基盤が確立されていく。


 そのあとは、全国大会の祝勝会兼ヒデキの歓迎会を行った。


 皆も最初は少し1歩引いた感じだったが、会が進むにつれて普通に話せるようになっていった。


「ハハ、久々に楽しい会だったよ

 明日からの活動も楽しみだ」


 ヒデキも上機嫌で良かった。


 最初はどうなるのかと思ったが、上手く行きそうだ。


 あれ?ヒデキは東京に住んでいると思ったんだけど、毎回新幹線とかで通うのかな?


 少し疑問に思った俺だった。

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