第19話 探索 隣町のイレギュラーダンジョン

 ダンジョン拡張のため、レベル20を目指すことに決めた俺はハンター協会に依頼を探しに来ている。


 C級依頼でダンジョン探索がないかと依頼掲示板をくまなくチェックする。


 1件探索依頼を見つけたので、依頼書を受付へ持っていく。


 ちょうど受付にいたお姉さんは小早川こばやかわ瑞希みずきさんと言い、ライズギルドの担当受付をしてくれている人だ。


 俺をみて、笑顔になった小早川さんに向かい、依頼書をみせる。


「こんにちは、小早川さん。今日はこの依頼を受けようと思います」


 小早川さんは手続きをしながら、


「こちらのダンジョンですが、最近4人組のC級ハンターのパーティーが探索にでて、行方不明になっております。

 協会が調査しましたが、特に事件性は無く、不意を付かれたか何かでモンスターに殺されたと判断し、そのままC級依頼となっています。

 九条様なら問題ないと思いますが、くれぐれもお気をつけください」


 と言った。


 何か起こるかもしれないな。


俺はそんなことを思いつつ、ダンジョンへ向かう。


 隣町なので近くて助かった。


 依頼書に書いてある住所に着いた。


小さなビルが建っている。


中に入り、受付で協会の依頼で来たことを伝える。


 すぐに社長が来るとのことだ。


受付の前の椅子で待たせてもらう。


 数分して体格の良い、30代くらいの男性が階段からおりてきた。


「依頼を受けてくれたハンターはあなたですか?

 今回依頼を受けて下さり、ありがとうございました。私は守谷もりや雅人まさとと言います。小さなプロダクション会社を経営しています。」


「C級ハンターの九条蓮といいます。よろしくお願いします。

 早速ですが、探索するダンジョンはどこでしょうか?」


 俺は守谷さんに案内してもらい、ダンジョンへ向かう。


 ビルをでで、駐車場の方へ向かう。


 あった。駐車場の横の倉庫から気配が漂ってくる。


 守屋さんからダンジョンの説明を受ける。


 地下4階まである、ダンジョンで1番強いモンスターでもオークとのことだ。


 うーん、説明通りだとC級ハンターの4人パーティーがやられるとは思わないな。


 何かイレギュラーがあったのかな?


 俺は準備を終え、探索を開始する。


 1階、地下1階は石畳の広い部屋があるだけのエリアでゴブリンとホブゴブリンがいた。


 ウインドカッターで遠距離から攻撃しつつ、隙をついて剣で倒していく。


 地下2階からはワーウルフが生息している。


 ここも特に問題なく倒していく。


 地下3階はオークがいた。


ここも確実に倒していく。


ここまでは説明通りだ。


これならC級のパーティーで探索完了出来たはずだ。


 俺は地下4階に何かあるのではと考えつつ、階段をおりた。


 地下4階に降りて、少し探索してこの階の異様さに気づいた。


 モンスターの反応が無い。


普通どの階層にもモンスターが数体は生息しているはずだ。


 俺は警戒心を強めつつ、探索する。

 少し進んだところで、1体のモンスターの気配が現れた。


 気配がこちらへ向かってくる。


 気づかれているな。


俺は歩みをとめ、モンスターを待つ。


馬の歩くような音がする。


 少しして、そいつは現れた。


 黒い巨体の馬に乗った、鎧の騎士。


その騎士には首がない。デュラハンだ。


 デュラハンがいるなら、C級パーティーがやられるのも納得だ。


こいつは個体にもよるが、B級以上のモンスターだ。


 このダンジョンは協会の測定値に現れないイレギュラーダンジョンだったのか。


 ちょっと分が悪いかもな。


俺は最初から全力でいく。


 ファイヤーソード、ファイヤーシールドを唱え、短期決戦に持ち込むべく、距離を詰める。


 攻撃を放つが、しっかり防御される。


対峙してみたところ、素早さは少し俺が上で、力は相手が少し上みたいだ。


 こちらも、相手の攻撃をタイミングよく盾で防御する。


運良くシールドカウンターが発動し、相手にダメージが跳ね返る。


このスキルは本当に助かるな。


防御しつつ、攻めれる。


 その後少し膠着した状態で、相手が腰を落とし、居合切りのような体制になる。


 これ、前に見たことあるぞ。


八木さんとの試験の時だ、斬撃が飛んでくるはずだ。


 予測していたおかげで俺はギリギリのところで躱すことができた。


 そのまま相手にファイヤーボールを放ちつつ、距離をつめる。


 デュラハンがファイヤーボールを防御した所を狙い、上へジャンプし、剣を振り下ろす。


 デュラハンを一刀両断した。


 デュラハンが倒れる。


 俺もMPがあと少ししか無い状況まで追い詰められた、厳しい戦いだった。


 ドロップアイテムがある。剣だ。


 首無し騎士の剣 : デュラハンが愛用した闇属性の剣。


 強そうな剣を手に入れることができた。


 ここでレベルがあがる。


 九条 蓮

 レベル : 20

 HP : 87

 MP : 80

 攻撃力 : 63

 防御力 : 62

 素早さ : 44

 魔力 : 45

 運 : 42

 スキル : 【気配察知】【剣術+】【気配遮断】【盾術】【身体能力強化】【シールドカウンター】

 魔法 : 【ファイヤーボール】【ヒール】

【ファイヤーソード】【ウインドカッター】【ファイヤーシールド】

 称号 : 【ダンジョンの管理人】


 剣術スキルがランクアップしてるな。


 剣術+ : 剣術のランクアップスキル。剣の扱いが更に洗練される。達人級。


 これは良いな。


デュラハンと戦っている時、相手の方が剣術に長けているのを感じてしまった。


つぎ戦ったら剣術で圧倒したい。


 また目的の20レベルに達したので、庭のダンジョンの10階以降が開放されたはずだ。

 誰かが進まないように封鎖しておかないとな。


 俺はデュラハンがでた証として、先程手に入れた剣をもって、地上へ戻った。


 依頼人の守谷さんに事情を説明する。デュラハンが出たことを知り、かなり驚いていた。


そして感謝された。


 あのままデュラハンが野放しになっていたら、いつかダンジョンブレイクが起きて大変なことになっていただろうな。


 俺は守谷さんから、何かあったら力になるのでと言われ、連絡先を交換した。


 ハンター協会にもどり、受付で事情を説明する。


手に入れた剣もみせ、依頼達成となった。


B級モンスターが出たのは、協会の測定の不手際のため、B級の依頼相当の達成報酬をもらった。


 帰ろうとしたら、小早川さんに声をかけられた。

「九条様、お疲れのところ申し訳ございませんが、支部長がお話したいとのことで少しお時間頂けないでしょうか」


 協会とは基本良い関係を維持したいため、俺は承諾した。


一体どんな話しをされるんだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る