第34話 高校生ハンター競技会 全国大会(3)

 全国大会2日目、俺は朝早く起き、旅館の周りを散歩する。


 昨日はいつの間にか眠ってしまっていた。


 意外と疲れが溜まっていたみたいだ。


 いまは体調はかなり良く良い結果が出せるんじゃないかと思う。



 旅館に戻り、高槻さんと一緒に朝食を食べる。


 朝食を食べ終わり、旅館を出る。


「頑張ろうね」


 一言高槻さんが呟く。


「うん、頑張ろう!」


 俺たちは会場へと向かった。


 会場に着くと、それなりに観客席に人が入っており、ハンターの人気の高さが伺える。


 それもあってか選手達に緊張感が漂う。


 遠くの方に美優がいた。


 目が合うが今日は近づいてはこない。


 今日はギルドの皆も応援に来てくれている。


 観客席の前の方にいるのがわかる。


 あと4回勝てば優勝だ。


 高槻さんはあと2回勝つと多分美優と対戦することになる。


 意識しているはずだ。


 俺はそのどちらか勝った方と決勝となれば良いな。


 時間となり、司会者の声がスタジアムに響き渡る。


 昨日最初に紹介された有力選手で残っているのは俺と高槻さんと美優の3人しかいない。


 下馬評通りにはいかないものだな。


 3回戦が始まる。最初は高槻さんの試合だ。頑張って欲しい。


 高槻さんの相手は魔法使いのようだ。


 多分高槻さんにとって相性の良い相手じゃないかな。


 試合が始まり、高槻さんが序盤から攻めていく。


 隙を見つけては近づき、攻撃を加える。


 しかし、そこは相手もうまく、防御系の魔法を駆使して凌ぐ。


 次も高槻さんが攻撃する。


 氷の塊を飛ばしつつ、自分も駆け出す。


 相手は水系の魔法で氷の塊を相殺し、更にもう1発すぐに放つ。


 水の塊が高槻さんを襲う。


 目の前に迫る魔法に対し、高槻さんはアイスソードで応戦する。


 冷気を帯びた剣で水の塊を切ってしまった。


 切られた塊は2つにわかれ、凍っている。


 高槻さんの剣が魔法使いを襲う。


 相手の防御も間に合わず、高槻さんが勝利した。


 白熱した戦いだった。


 最後の魔法を切ったのは凄かったな。


 水と氷で相性が良かったのもあるのかな?


 次は俺の番だな。


 俺の相手はスピードタイプの剣士のようだ。


 試合開始の合図とともに突っ込んでくる。


 素早い剣撃が俺を襲う。


 しかし、俺にとっては遅い攻撃だった。


 数回打ち合い大体相手の実力を把握したため、終わらせにいく。


 相手の一撃にシールドカウンターを発動させ、相手を吹き飛ばす。


 そして無防備な相手に剣を振り下ろす。


 俺の勝ちだ。


 剣士系なら余程の相手でも互角以上にやれる気がする。


 俺はそう思いながら、闘技台からおりる。


 準々決勝は1時間後のため、少しギルドの皆と話している。


 天霧くんが応援団のように応援してくれていたと、亜希さんが教えてくれた。


 次の試合の時に確認してみるかな。


 ひなたさん、双葉さん、ゆうりさん、小鳥遊さんも来てくれた。


 本当に良い仲間を持ったな。


 皆と話せたことでだいぶ良い気分転換になった。


 あっという間に準々決勝の時間になる。


 俺の相手は大柄な3年生の男子で剣士だ。


 見た目通りのパワータイプかな?


 お互いに闘技台にのぼり、礼をする。


「なんだ、優勝候補って聞いてたけど、大したことなさそうだな。簡単に勝てそうだ」


 急にそんなことを言ってきた。


 審判が私語を注意するが、全く気にする素振りも無い。


 少し力を持つと勘違いする人がいるけど、彼もそんな感じみたいだな。


 俺は手加減しないことにした。


 試合開始の合図とともに俺はファイヤーボール、ウインドカッターを放つ。


 相手はそれを盾で防御する。


 俺は相手の前までいき、攻撃を開始する。


 一撃、二撃、三撃と攻撃を緩めずに繰り出す。


 途中からはファイヤーソードも唱え、更に攻撃力を上げていく。


 早い段階で相手の盾はボロボロになっている。


 相手をみると、もう戦意喪失しかけている。


 それをみて俺も熱が冷めた。


「まだやる?」


 と相手に聞く。


「まいった」


 すぐに相手は答える。


 そして、そそくさと闘技台をおりていった。


 何にせよ、勝利だ。あと2回勝つぞ。


 次は高槻さんの番だな。


 相手は剣士か。


 高槻さんの剣術は俺との模擬戦で相当研ぎ澄まされている。


 生半可な腕じゃ相手にならない。


 予想通り、試合開始から高槻さんが攻めに攻めている。


 相手に呼吸を整える時間さえ与えない。


 そのままゴリ押しで勝ってしまう。


 気合い入ってるな。


 これで次は順当にいけば準決勝で美優との対戦だ。


 俺は戻ってきた高槻さんを労った。


 準決勝は午後から昼食を挟んで行われる。


 俺たちはギルドの皆と昼食を食べる。


 双葉さんがお弁当を作ってきてくれた。


 嬉しいな。


「ありがとう」


 と伝えると、とびきりの笑顔が返ってきた。


 俺はこれで午後からの試合も頑張れると思った。

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