第46話 B級ハンターとの特訓
アビスギルドとの模擬戦の話しを聞いてから、レベル上げだけでは足りないと感じてい
る。
技術であったり、経験といったものが勝負をわけることがあると思う。
これはモンスターと戦うことだけではなかなか習得できないと思い、少しでもそういったものを持った人と戦いたいと思うようになった。
そこで数少ないハンターの知り合いである、ひなたさんのお兄さんの八木総一郎さんに連絡してみると、ギルドホームへ来てくれた。
俺はこれまでの経緯を説明する。
「なるほどな、それで俺に連絡してきたのか。俺はいいぜ。
お前との戦いは俺にも勉強になる。
ただアビスギルドがどのレベルのハンターを出してくるかだな。
色んなハンターと戦っておいた方がいいな。俺の知り合いにも声を掛けてやる。
とりあえず今日は俺と模擬戦をやるか」
「ありがとうございます!
よろしくお願いします!」
そして、俺はこの日からB級ハンターとの模擬戦を数多くこなしていく。
初日は総一郎さんとの模擬戦をこなし、自分を追い込んでいく。
2日目からは総一郎さんの知人の猿渡さんと近藤さんの2人のB級ハンターが加わってくれ、模擬戦がさらに過酷なものとなった。
この3人は元々大学の同級生でハンターを目指すサークルでパーティーを組んでいた間柄らしい。
「猿渡さん、近藤さん、今回このお話しを受けていただき、ありがとうございました」
俺は2人にお礼をした。
「べつにいいよ、総一郎から話しを聞いて協力したいと思っただけだから」
猿渡さんはそう言ってくれた。
近藤さんも、同じように、
「そうよ。わたし達も九条くんと戦って勉強になるからね」
と言ってくれる。
猿渡さんも近藤さんも剣士タイプのB級ハンターで、戦闘中の判断ミスがほぼ無い。
この部分は見習いたいなと思う。
正しい判断が本能的に出来るようになりたい。そのためにも、考えて動くことを何度も繰り返さないとな。
猿渡さんと対峙する。装備は剣と盾のオーソドックスな剣士のようだ。
俺よりも背が低いはずだけど、それを感じさせないオーラがある。
試合が開始すると俺は間合いを詰める。
猿渡さんは風魔法で、俺の動きを牽制してくる。
俺は間合いを詰めるのをやめ、ファイヤーボールを放つ。
そして、ソードスラッシュを放つために構える。
猿渡さんのファイヤーボールを避ける動きを予測して、ソードスラッシュを放つ。
上手くいった。ソードスラッシュが猿渡さんに直撃し、よろけたところで間合いを詰める。
剣術勝負は俺に分があり、そのまま押し切った。俺の勝ちだ。
「これで高校2年、末恐ろしいわね…」
模擬戦を見ていた近藤さんが呟く。
その後は近藤さん、総一郎さんも加わり夜遅くまで模擬戦に没頭した。
結局1週間ほど模擬戦に付き合ってもらった。皆さん忙しいと思うのにありがたかった。
「本当に1週間ありがとうございました。
とても勉強になった模擬戦でした」
「いやいや、最後の方はほとんどお前の勝利だったよな?
俺たちの方が勉強させてもらったよ」
総一郎さんがそう言うと、他の2人も頷いている。
3人ともがフリーでハンターをやっていると聞いた。
駄目元でライズギルドに誘ってみる。
3人とも興味はあるようだったが、まずはB級に昇級してからだなと言われてしまった。確かにそうだな。
「絶対に昇級して、スカウトしに行きますからね!」
俺は3人にそう宣言した。
この模擬戦のお陰で、攻撃と防御の一瞬の判断といったところが少しずつ良くなってきた。
模擬戦全体の勝率は7割くらいかな。B級相手でも十分やれることはわかった。
あと、ヒデキが雷光グループの諜報機関に頼んで、アビスギルドについて調査してくれた結果、アビスギルドの人員構成などがわかった。
B級ギルドであり、規模は大きい。全体で200名ほどが在籍している。
ただし、B級ハンター以上は少なく4名しかいない。1人はA級なので残りの3名のうちの1名が出てくるはずだ。
タイプは皆剣士らしいので今回の模擬戦が活きるかもしれない。
何故ライズギルドを敵視しているのかは不明のままだ。
どこかからの依頼で動いている可能性もあるか。結局分からないことが多い。
ギルドの他の皆も自分の役割を全うしてくれていて順調に進んでいる。
この流れを途切れさせないようにしたい。
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