第98話 海水浴
夏休みも半分が過ぎ、メンバーから夏の思い出としてどこか皆で出掛けたいと要望が出た。
うーん、どこに行こうかな?
「泊まりは都合上無理なのだから、海とかで良いんじゃないかい?」
ヒデキから提案があり、それに決まった。
山川さんに調整をお願いした所、日程、バスの手配などあっという間に決まっていった。
○
海水浴の日が決まり、ギルドホームで書類作業をこなしていると、かれんさんと亜希さんから声を掛けられた。
「今日ギルドの仕事が終わったら水着見にいきましょ」
かれんさんが言うと、
「蓮くん、どう?仕事忙しいかな?」
とかれんさんが聞いてきた。
「いいですよ、仕事はなんとかなると思います。駅前のデパートでいいですかね?」
「ありがとう、デパートでいいわ。
また仕事終わる頃に寄るわね」
と2人は離れていった。
約束の時間に遅れないように、仕事を終わらせないとな。頑張るか。
18時に仕事は片付いたので、2人を呼びにいく。
2人もちょうど終わったようで、こちらに寄ろうとしていたみたいだ。
俺たちはギルドホームを出て、駅前に向けて歩き出す。
「ふふ、デート」
「ちょっとかれんさん、私もいますよ」
「あれ?亜希、いたの?」
「もう、一緒に蓮くんを誘ったでしょう」
かれんさんと亜希さんが楽しそうに話しながら歩く。
すぐに駅前に到着する。駅の近くにあるデパートに入ると早速水着売り場に向かう。
「じゃあ、俺は向こうに行くね」
場所を離れようとすると、
かれんさんに服の袖を掴まれる。
「どこへ行くの?私たちの水着を選んでくれないと」
と言い出した。
「え?」
この人は何を言い出したのだろうか?
「いやいや、自分で選んだ方がいいですよ」
俺はこの場を去ろうとするが、俺の肩を掴む人がいた。
「蓮くん、選んでね」
亜希さんだ。
「はい…」
俺は観念して2人について行く。
「「待っててね」」
2人はそう言うと売り場の中を探し始める。
少ししてかれんさんがやってきた。
「来て」
ついて行くと、試着室に連れていかれる。
「覗いちゃだめ」
「覗かないよ」
俺は試着室の前で着替えを待つ。気まずい…
試着室のカーテンが開く。
「どうかな?」
俺が試着室の方に目をやると顔を赤らめたかれんさんが立っており、鮮やかな水色のビキニを着ていた。少し見惚れてしまった。
「凄く似合ってますよ」
「本当?こっちと迷ってて、どっちが良いかな?」
かれんさんは赤色のビキニを見せてくる。
「俺は今の方が好きですね」
かれんさんは青がとても良く似合うと思うので、素直にそう言った。
「そう、ありがとう。じゃあ、こっち買うね」
そう言うと、試着室のカーテンが閉められる。
「蓮くん、つぎ私もいいかな?」
亜希さんに呼ばれると、少し離れたところの試着室に行く。
「待っててね。蓮くんなら覗いてもいいよ」
と言いながら亜希さんは試着室に入っていく。
「覗きません」
2人共俺をなんだと思ってるんだろう。
少ししてカーテンが開く。
「蓮くん、どう?」
亜希さんの水着は黒色のワンピースタイプのものだ。大人っぽいな。
「似合ってます。綺麗です」
「ふふ、ありがとう。じゃあこれを買おうかな」
試着室のカーテンが閉められる。
ふぅ、なんか疲れた気がする。
あっ、そうだ。自分の水着も買わないと。
俺は男性用の水着コーナーにいき、水着を選び会計をする。
2人は売り場の外にいて、買った水着について話しているようだ。
その後3人でご飯にいき、わかれた。
まさか女性の水着を選ぶことになるとは思わなかったな。まぁ2人共嬉しそうにしていたから、良かったかな。
○
海水浴当日、朝ギルドホーム前に集合している。
イベントは不参加になってしまうことが多い八雲さんも今日は家族を連れて参加している。
奥さんと息子さんを紹介された。家族っていいものだな。
続々と皆集まってくる。
今回はバスで移動する。貸切バスが駐車場に停まっている。
山川さんが点呼をとり、バスに乗り込んでいく。
全員がバスに乗り、海水浴場へ向かう。
1時間くらいで着く予定だ。
車内は海水浴に行くということでわいわいと賑やかな雰囲気だ。
俺の隣にはヒデキが座っており、免許の話から車の話になる。
「車はこの前スポーツカーを購入した。
イタリア産の暴れ馬さ。なかなか良い車だよ」
ヒデキにスポーツカーは似合うだろうな。
「結構乗ってるの?」
「そうだね。気分を変えたい時とかに少しドライブに行ったりしているよ。まぁ普段は運転しないからね。蓮は何を買うんだい?」
「俺はSUVかな。ちょっと大きめのやつを考えているよ」
「SUVか。たしかに便利だし、良いね」
話しているうちに、海水浴場へ到着する。
県内でも有数の海水浴場に来たため、人が多い。
「ライズギルドの方はここを使ってください。今日は貸し切ってますので」
山川さんから声がかかる。これなら快適に過ごせる。
各々着替えて海の方にいく。少しして女性陣が出てきた。
亜希さん、かれんさんは俺が選んだ水着を着ている。2人共綺麗だ。
2人からどうかな?と聞かれる。
素直に似合ってて、綺麗だよと答えた。
他のメンバーからも感想を求められる。
双葉さん、ひなたさん、瑠衣さん、小鳥遊さん、ゆうりさん、瑞希さんに矢継ぎ早に感想を言っていく。
皆綺麗なので周りを通る男性が凄い見ている。
「さぁ、みんな海に入りましょうかね」
俺は海に逃げる。
その後は各々がゆったり泳いだり、ボールで遊んだりしている。
俺は泳いだ後、少し日陰で休んでいる。
隣に亜希さんがやってきた。
「蓮くん、楽しめてる?」
「楽しめてるよ、久々にゆったりしてるし」
「それなら良かった!皆蓮くんに楽しんでもらいたいって思っているからね」
「ありがとう」
そんな風に思われてるなら嬉しいな。
その後少し話しをしてから、2人で飲み物を買いに行くことにした。
その時、少し離れた所から悲鳴が聞こえてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます