第61話 道場の成果
道場を開設して1ヶ月が経過した。
総一郎さんは一生懸命指導しており、参加者の評判も上々だ。
今回はライズダンジョンでモンスターの倒し方をレクチャーし、実際にやってもらう。
基本は所有するダンジョンのレベルに合わせて倒すモンスターを決める。
あとはライスギルドの探索に混じり、レベル上げしつつ、戦闘技術と経験を積んでいく。
これを継続することで、参加者のレベルは平均で3あがっている。最初のレベルにもよるが7も上がった人がいる。
この時点で目的を達成した人もいるが、その人たちも、まだ強くなれるならなりたいということで道場通いを継続している。
道場としての成果は十分に出ている。
地元のローカルテレビやラジオに取り上げられ、地域でのライズギルドの評判は上がってきている。これの流れを継続したい。
○
道場開設時に問い合わせをもらい、道場に入りたいと言われたが、年齢が80歳を超えているお爺さんがいた。
お爺さんはさすがに運動自体が厳しかったためお断りした。
このお爺さんにはダンジョンを譲り受けることを提案した。ダンジョン譲渡の担当は近藤さんにお願いしてある。近藤さんは丁寧に相手と話しをしていってくれる。
お爺さんからは本当に貰ってくれるのか?と驚かれた。
ダンジョンが出現すると基本的に土地の価値がほぼ無くなる。ダンジョンのモンスター対応にコストが掛かり過ぎるからだ。
ライズギルドとしてはダンジョンを活用する方法はいくつかあるので、こちらとしては将来的に何かで利益は得られるだろうし、基本は地域貢献の一環と割り切っている。
すぐに了承をもらえ、非常に感謝された。
ずっと処分したかったがどこも引き取ってくれなかったようだ。
「ありがとう、ありがとう」
お爺さんからの感謝を受けて近藤さんが笑顔になっていた。
譲渡で手に入れたダンジョンに俺と近藤さんで潜る。場所はギルドホームから500メートルほど離れたところで立地は良い。
もし、第2のダンジョンとして運営出来たら良いし、運営は無理でもメンバーの鍛錬専用にしても良いかもしれない。
お爺さんの話では地下3階まである下級ダンジョンで出てくるモンスターは基本ゴブリンだそうだ。
1階はゴブリンが生息していた。
倒しつつ、階段を探す。想像より広い。
各階層のゴブリンを倒しつつ、地下3階へたどり着く。この階もゴブリンしか出なかった。ゴブリンしか出ないダンジョンか。
確かに色々使いづらいな。
俺はゴブリンを倒し、地上へ戻ろうとすると、近藤さんから声がかかる。
「九条くん、あっちに階段があるわよ」
そうか、このダンジョンもライズギルドの所有になったからか。
もう一度称号の説明を確認する。
ダンジョンの管理人 : 自身が所有するダンジョンの階層が10レベル毎に5階層増える
ライズギルドとして所有でも有効なんだな。
俺は階段を確認する。階段は下へいけるようになっている。俺のレベルが29で2回拡張してるから、このダンジョンは地下13階まであるってことかな?確認するか。
俺は近藤さんに称号の効果について説明し、下の階の探索を手伝って欲しいと伝える。
「そんな称号があるのね。じゃあこのダンジョンも結構強いモンスターが出るかもしれないわね」
俺たちは下の階へ進んでいく。地下10階まではサクサクと進むことができた。
ほとんどの階でゴブリン系統のモンスターがメインであった。地下10階ではゴブリンキングが出たが、サクッと倒した。
その際の近藤さんのなんとも言えない表情が気になった。なんだろう、あの信じられないものを見たときのような表情をしていたけど。
今日は平日であまり時間も無かったので、ここで地上へと戻り始める。
近藤さんにギルド周辺のダンジョンを調べておいて欲しいと頼んだ。ダンジョン運営できそうな所は積極的に取得しても良いかもしれない。
今回の一件でダンジョンの管理人の影響が権利譲渡されたダンジョンにも及ぶということが分かったことはとても大きな成果だ。
2箇所目の運営ダンジョンとしても検討できそうだ。近いうちに地下を探索する計画を練ろう。
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