第6話 GWの予定


 もうすぐGW。高校入学して初めての連休だ。一年生だからと言う訳ではないが、まだ受験を気にする必要もない。


 精一杯休みを堪能できる特権を一年生は持っていると思う。世の中の高校一年生の皆さんもそう思うよね。気にしている人ごめんなさい。


GW中に遊ぶ相手と言えば良太位だ。あいつは中学時代からの付き合いだが、友達思いのいい奴だ。

まあ、イケメンでモテるだろうから空いていないかも知れないが。


今の季節は暑くもなく寒くもなくそして花粉症の季節も終わって俺には最高の季節だ。GW入る前には予定を立てよう。何もないではさすがに寂しい。


今日も晴れ渡った空を見上げながら家を出て学校に向かう。


「おはよ雫」

「おはよ若菜」

「雫、GWの予定は?」

「特に何も」

早瀬さんとは何も約束していないからこれで良いよな。あっ、でも


「って訳にはいかない。妹の花音が買い物付き合ってと言われている」

多分言われるはず。


「花音ちゃんが。それって私も一緒じゃダメかな」

「うーん、花音に聞かないと分からない。日にちも決まっていないし」

「花音ちゃん、来年受験だよね。私達と同じ高校に来るのかな」

「多分そうだと思う。本人もそう言っていたから」

お兄ちゃんと同じ学校に行きたいって言われたなんて言えないよな。


「私も雫と一緒に買い物行きたいな。二人だけで」

「えっ、なんで?」

なんか最近若菜の様子がおかしい。前はこんなこと言わなかったのに。


「だ、だって高校に入学してから二人で買い物行っていないじゃない」

「前も行っていないけど」

「雫は私と買い物行くの嫌なの」

「そんな事ないけど」

「じゃあ、いいじゃない」


早瀬さんは必ずGWに雫をデートに誘って来る。雫が空いている日をなるべく潰しておかないと。でもなんで早瀬さんは、雫に近付いて来たんだろう。


 単にクラスメイトだからって訳じゃないのは明白。まさか雫を好きになった。いやいや雫の良い所を知っているのは私だけ。外見だけじゃ、あんな美少女が近づいて来る訳が無い。でもお昼のお弁当の件を考えるとどうしても雫の事を…………。何か有るんだろうか。


「若菜、どうしたの。急に黙って」

「えっ、何でも無い」


俺は下駄箱で若菜と別れた後、教室に入る。すぐ右を見ると早瀬さんが席に座ってこちらを見ていた。

何食わぬ顔で自分の席に行くと

「雫おはよ」

「おはよ良太」

今日は挨拶をしてくれている。しかし、良太は朝が早いな。


「良太、朝早いな」

「ああ、朝練に参加している」

「そうか。楽しいか」

「当たり前だ。テニスは俺の心の友だからな」

こいつ使い方間違っていないか。


「神城さん、おはようございます」

「おはようございます早瀬さん」

「神城さん、GWの事ですけど、何日がご都合いいですか」


周りの事を気にして顔を俺の耳に近付けて小声で話してくる。でもこの人俺がもう一緒に出掛ける事を了解した様な言い方だな。どうしようかな。


「済みません。妹とかの事も有って日にちまだ決められないです」

「分かりましたら教えてくださいね」


 だめだ、GWはのんびりと好きな事をしようと思っていたのに。




今日も静かな授業と賑やかな昼食を終わらせ家に帰る為、下駄箱に行くと若菜が待っていた。

「雫、帰ろ」

「ああ」


「下坂さん、神城さんと駅までは私と二人だけにして頂けませんか。あなたはその後で宜しいのでは」

後ろからいきなり声を掛けられた。


「何を言っているの。雫と私は毎日一緒に帰るのが決まり。早瀬さんこそ急に入ってこないで下さい」

「神城さんはあなたの所有物ではありません。私のクラスメイトでもありますから、一緒に帰る権利は私にもあります」

「二人共ここで言い合うのは止めようよ」

周りに人が集まって面白そうに見ている。


「分かりました。神城さん、早く私と一緒に帰りましょう」

「何言っているのよ」


何故か俺の両隣りには若菜と早瀬さん。周りからの注目度マックス。そしてこの静けさ。まっ、不味いよ。




結局駅まで三人で横並び。前から来る人が避けている。ごめんなさいね。


「神城さん、GWのご都合の良い日、明日教えてください。ではまた明日」

「また明日」

改札で逆方向のホームに向かう早瀬さんの姿が見えなくなった後、


「雫、どう言う事。GW約束したの」

若菜が言いながら俺に迫って来た。


「落ち着け若菜、まだ何も約束していない」

「早瀬さんと約束しないでよ」

「どうしたんだよ。若菜おかしいよ。早瀬さんと何か有ったの」

「何もない。有ったのは雫でしょ」

「へっ?!俺何も…………」


「何もじゃない。お昼だって、帰りだって。なんで早瀬さんがいるのよ」

「いや、だからクラスメイトだから」


「それだけが理由じゃないでしょ。何が有ったの」

「それが俺にも分からないんだよ」

「えっ?なにそれ本当!」

「若菜、ここ目立つから家に帰ろう」


改札を入ったところで俺達は話し込んでしまっている。改札を通る人から面白そうに見られていた。若菜もそれに気づくと

「そ、そうね。早く帰ろ」


―――――

第7回カクヨムコン応募中。アクセスご評価頂けると大変ありがたく思います。


神城君早くGWの予定決めないと。先延ばしは事を重くしますよ。


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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