第2話 学年一の美少女と一緒に帰宅
俺はいきなり声を掛けて来た学年一の美少女早瀬真理香に一瞬言葉を失ったが、
「いいですけど。話って」
「歩きましょうか。ここにいると目立つので」
確かに、帰宅中の生徒が俺達の事を見ている。早瀬さんには優しい視線が、俺には痛い視線が注がれている。
「そ、そうですね。ここは目立ちますね」
俺達は駅の方へ歩き始めた。
「神城さん。いつも昼食はお友達と一緒ですか」
「はい、川平って中学時代からの友人といつも一緒です」
「そうですか。今日はA組の下坂さんもご一緒でしたよね」
「えっ、若菜の事知っているんですか」
「いえ、お友達がそう呼んでいましたから」
「あ、そうか」
「あの、神城さん。私とも一緒に昼食食べてくれませんか」
一瞬頭が固まったが、そうか良太目当てか、そうだよな。あいつイケメンだし。俺である訳ないか。でもどうしようか。そうだとすると良太に確認しないと。
「あの、良太に聞かないと」
「何で、川平さんに聞く必要があるんですか。一緒に食べているからですか。川平さんにご迷惑でしたら私と二人だけで食べる事で来ませんか」
えっ、どういう事?
「あの、俺とですか?」
「はい、先ほどそう言ったのですけど」
「なんで俺なんかと」
「私が一緒に昼食を取るのは嫌ですか。そうでしたら諦めますが」
急に寂しそうな顔をして下を向いてしまった。困ったな。なんで俺なんだろう。罰ゲームか何かかな。でもそんな雰囲気に見えないし。
「そんな事ないです。嬉しいです。とっても。でも川平と一緒じゃダメですか」
「私は構いませんよ。川平さんが嫌というなら、神城さんと二人だけで食べて欲しいです」
「はぁ」
もうすぐ駅に着く。二人で歩いている間周りの生徒からの視線が痛かった。なんであんな男とって感じ。
こういうのってあまり深く考えない方がいいよな。理由なんて段々分かってくるだろうし。
「神城さん、明日から良いですか」
「あの、明日から?」
「いけませんか?」
「いえ、いけなくないです」
「あと、朝ご挨拶しても宜しいでしょうか」
「挨拶ですか。それは同じクラスだから良いと思うんですけど」
「それでは、また明日」
「はい、また明日」
駅に着くと早瀬さんは逆方向のホームに行った。
俺は自宅方向のホームに立ちながら、どうしたものか。いいのかな。でもなんで学年一の美少女と言われている早瀬さんが、俺と一緒に昼食食べたいなんて言って来たんだろ。良太なら分かるけど。
ふふふっ、やったわ。これで神城君と色々話すチャンスが出来る。
GWももしかしたら一緒に遊ぶことが出来るかもしれない。嬉しい~♡
彼にはゆっくりと近づいて心を通わせて愛を育んでいくの。そしてやがて…………。
きゃ、でもいずれは…………。そうだよね。あの時以来、彼は私の心の中心にいるんだもの。
中学が違っていたから毎日会う事は出来なかったけど、彼の家の最寄りの駅は知っている。偶に駅に行って彼に声を掛けようとしてもいつも誰かいた。下坂さんや他の女の子、多分妹さんらしい。後は男の友達と。
同じ高校に入ったのは天啓としか思えない。だからこの神から貰ったチャンスを生かすの。でも彼に今日声を掛けるまで一ヶ月も掛かってしまった。これからは少しづつ積極的にして私の高校生活を彼と一緒に過ごすんだ。そしていずれは…………。ふふふっ、嬉しいな。
最寄りの駅について自宅まで歩いて行く。太陽がまだまだ高い。商店街を抜けて左に曲がると右手に大きな公園がある。
太陽の光が公園の木々に当たって思い切り輝いている。俺はこの景色が好きだ。
「ただいま」
「お帰りなさい。お兄ちゃん」
「お母さんは」
「連絡なからいつも通りだと思うけど」
「そうか」
俺の両親は共働き。お父さんは出張が多い。お母さんはいつも午後六時に帰って来る。買い物をして帰るからこの時間になるんだろう。
自分の部屋に入り、部屋着に着替えるとベッドにうつ伏した。
はぁー、明日から朝の挨拶と昼食一緒かあ。目立つなあ。良太や若菜に突っ込まれるな。
若菜の奴、中学時代から俺に彼女というか女の子が寄って来ると弾いていたからな。あの女以外は。今度はどうなるのかな。
でも若菜ってなんで彼氏作らないのかな。中学時代から結構告白されてたみたいだけど。
まあ、あれだけ可愛くて明るくて頭が良ければ、モテて当たり前か。良太辺りと似合いそうなんだけどな。取敢えず明日の対策でも考えるか。部活どうしよう。
―――――
第7回カクヨムコン応募中。アクセスご評価頂けると大変ありがたく思います。
雫に近付く早瀬真理香さん。どして?
次回をお楽しみに
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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