第88話 中間テスト
学園祭が終わると間を置かずに二学期の中間テストが有る。
今日も朝登校して教室で先生が来るまで話している。
「雫、また勉強会ね」
「いやもう良いよ。自分でやれるから」
「雫さん、駄目です。私達としっかりやりましょう」
「雫さん、勉強会とは何ですか?」
「ああ、紗友里、一年の時から続いている試験前にみんなで勉強をするんだ。と言っても俺が成績悪かったので色々教えて貰っている」
「それなら、私で十分です。家に帰ればいつも一緒ですし」
「「「いつも一緒?」」」
不味い、話が変な方向に行く。
「雫さん、どういう事ですか?」
「紗友里!」
「ごめんなさい」
「下坂さんは知っているんですか?」
「ええ、私も驚いたけど。二学期の始めから」
「「「えーっ!」」」
「雫どういう事」
優里奈が凄い形相で俺に噛みつきそうだ。
「みんな、後で説明する」
予鈴が鳴って桃神先生が入って来た。良かった。先生いつも可愛いです。
午前中の授業が終わり昼食になると
「雫、朝話していた紗友里が一緒に住んでいるってどういう事?」
「実は、ちょっと事情で紗友里が奈良の高校からここに転校する事になったんだけど、この辺の事は何も知らない女の子が一人暮らしは出来ないだろうという事で我が家に一緒に暮らす事になった」
「なんで雫の家なの?」
「実は、…………」
俺は仕方なく紗友里のお爺ちゃんと俺の爺ちゃんの関係を話した。
「そういう訳で高校卒業まで一緒に居る」
「「「えーっ、高校卒業まで!!!」」」
不味い、雫のお爺様なんて事を。優里奈曰く
これはいけません。新たな手を考えないと。真理香曰く
もう積極的に行くしかないか。 まどか曰く
「でも一緒に住んでいるだけだから」
「間違いが起こらないとも限りません。特にこの女は何しでかすか分からない」
「優里奈、大丈夫だよ。花音がガードしてくれるから」
「花音ちゃんだけじゃ心元ないです。私も同居をしたい」
「優里奈、無理言わないでよ」
変な話になっている。隣という絶対的距離感の安定が崩れ始めた。何とかしないと。若菜曰く
「雫、紗友里は我が家で預かります。親戚同士なんだから何の問題もありません」
「…………いいかも」
「雫さん、嫌です。私は雫さんの傍にいます」
「雫さん、それなら我が家でも良いですよ。空き部屋は有りますし、両親も喜びます」
「真理香、気持ちは嬉しいけどそれは無理だよ」
「皆さん、私の事より勉強会の事を話しましょう」
「「「「紗友里さん、それは駄目!!!!」」」」
まいったなあ、まさかここでこんな話題で盛り上がるとは。
「とにかく、紗友里が我が家にいる事は紗友里の両親と俺の両親、それに紗友里と俺の爺ちゃん達が決めた事だから今更変えられない」
紗友里がどうだって顔している。
若菜、優里奈、真理香、まどかは凄い顔で紗友里を睨んでいる。どうしよう。仕方ない。
「みんな、勉強会のやり方考えよう」
「雫、テスト前日までは図書室で行うとして、今回週末は今週だけ。今までの様にはいかない。どうする?」
「若菜、土日は一人でやるよ」
「でも、下坂さんは隣の家、紗友里さんは同じ家。雫さん断り切れますか?」
「真理香、この二人には、ここで約束して貰う。俺の部屋に入ってこないって」
「部屋に入る!そんな事しているんですか?」
「別におかしくないでしょ。早瀬さん。幼い頃からそうだったんだから」
「むーっ!…………」
「分かったら、紗友里も若菜も皆に約束して」
「雫がそう言うなら。約束する」
「雫さん、……分かりました。約束します」
「じゃあ、そういう事でね」
この二人信じられるのかしら。 若菜曰く
ここは仕方ないか。優里奈曰く
なんか心折れそう。でもまだ大丈夫。まどか曰く
勉強会は図書室だけで行われた。いつもの様に図書室は一杯だった。ごめんね図書委員さん。
土日は、紗友里がリビングで勉強なんて言っていたけど、不安を感じた若菜が来てそれを阻止。なんとか俺は自分の部屋で勉強を行えた。
でも休憩の時は若菜と紗友里が一緒だったけど。
そして中間テストが無事終了し、発表された結果は、
一位 東条優里奈
柚原紗友里
早瀬真理香
四位 下坂若菜
五位 琴平まどか
川平良太
七位 神城雫
八位 徳山大輔
なんと紗友里、優里奈、真理香が同列一位だ。若菜が凄く悔しそうな顔をしている。
良太も不満足そうだ。俺は出来過ぎだけど。
「神城、次は抜くからな」
「ああ徳山か、遠慮なく先に行ってくれ」
「なんだそれ?」
「雫さん、やはり学期末テストの時はもっと早くから一緒にしましょう」
「いや真理香、俺これで十分だから」
「いけません。あっ違います。お願いします。一緒に勉強しましょう」
「早瀬さん、雫はそう言っているのよ。無理して成績上げなくてもいいわ」
「下坂さん、大丈夫です。私が毎日雫さんと一緒に勉強します」
「何言っているの柚原さん。雫、何とかしてよこの人」
周りにいた男子諸君
「なあ、神城が可哀そうに見えてくるのは気の所為か?」
「俺もそう思う」
「やっぱり彼女は一人で良いよな」
「ああ、でも早く見つけようぜ。もう二年も二学期だ」
「そうだな」
男子諸君、俺もそっちの会話に入りたい。
―――――
雫気持ち分かります。
次回をお楽しみに。
この作品と並行して下記の作品も投稿しています。読んで頂ければ幸いです。
「九条君は告白されたい。いや告白はあなたからして(旧題:告白はあなたから)」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860661241074
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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