第96話 ホワイトデーの前に
ホワイトデーの一件が有った後、日を置かずして学年末テストが有る。今の気分では不味い結果になりそうだ。でももう勉強会はしたくない。
「雫、あまり日が無いけど勉強会しよう」
「若菜、いいよ」
「でも」
「雫が勉強している隣にいるだけでも駄目?」
「優里奈、図書室でやらないから」
「…………」
このままでは奈良から雫様の所に来た意味がない。何とかしないと。
心の整理の為にも冷静に考える為にもみんなとは必要以上に接しない様にした。
若菜からホワイトデーまでにこれからの事について返事を書いたらと言われている。勉強会をするとそれが揺らぐから。
放課後、一緒には帰ったが話はしていない。
若菜と別れ紗友里と一緒に帰宅すると自分の部屋に入った。
コンコン。
「雫様、入ります」
「何、紗友里?」
「勉強一緒にしませんか?」
「しないと言ったはずだけど」
「では、私がそこのテーブルで勉強していても良いですか?」
「紗友里!」
「お願いです」
「……分かったよ。でも話しかけちゃ駄目だよ」
「はい、ありがとうございます」
それから二時間、母さんから夕飯で呼ばれるまで勉強した。途中、分からなくて紗友里に声を掛けそうになったけど、そこはスキップした。明日先生にでも聞こう。
学年末テストは、来週月曜からだ。今日は土曜日。午後からみっちりやるつもりで家に帰ると
「雫様、今日も良いですか」
「いいよ」
三日間一緒に勉強した所為か、紗友里が側で勉強している事が抵抗なくなった。本当はこれが良くないのかもしれないけど。
昼食を取って紗友里と一緒に勉強しようとしていると
ピンポーン。
「若菜ちゃん。いらっしゃい。雫なら紗友里ちゃんと一緒に雫の部屋にいるわ」
「えっ!」
私は急いで雫の部屋に行って
ガチャ。
「あっ!雫どういう事。誰とも勉強一緒にしないって言っていたよね。柚原さんもどういうつもり!」
「若菜か。いや紗友里がここで勉強したいと言うから。でも何も話はしていない」
「だって東条さんの時は…………」
「あれは。あの時それすると結局同じじゃないか。だから断った。ところで若菜は何しに来たんだ」
「……雫が心配だったから」
私は手に持っている教科書とノートを見せた。
「……仕方ない。ここじゃ狭いから下のリビングで。でも話はしないよ」
「雫良いの?」
「若菜を追い返すわけにはいかないだろう」
「ふふっ、一緒にしよ」
悔しいです。若菜さんに一日の長があります。
他の三人には悪いけど若菜と紗友里と一緒に勉強した。でも分からない所は聞かなかった。聞くと勉強会と同じだ。他の三人に申し訳ない。
俺が困った顔をしていると若菜と紗友里が声を掛けようとしているが、無視をした。
翌月曜日。
今日から学年末テスト。このテストは月曜から金曜まで五日間だ。教科数が多いので仕方ない。
そして結果は、……予想通りだった。
一位 柚原紗友里
東条優里奈
三位 早瀬真理香
四位 下坂若菜
五位 川平良太
六位 琴平まどか
七位 徳山大輔
・
・
十五位 神城雫
まあこんなものだろう。一位から七位まで順当だ。成績順位表を少しだけ見た後、俺は教室に戻った。
「雫、やっぱり勉強会しなかったのが響いたね」
一緒にはしていたけど。
「若菜か。まあ俺はこんなもんだよ」
「そんなことないよ。次はまた一緒に勉強しよう」
「そうだな」
紗友里と優里奈それに真理香とまどかが寄って来た。
「雫さん、紗友里もご一緒します」
ふふっ、一緒にはいましたけど。
「雫、一緒にしよ」
「雫さん、今度は一緒に勉強しましょう」
「みんな、ありがとう。でももう良いから。自分でやるよ!」
「「「「えっ!」」」」
不味い。雫がへそ曲げている。みんなで一緒に言うから琴線に触れているんだ。
「雫。三年になってからまた考えよう」
「そうだな若菜」
悔しいです下坂さん。紗友里曰く
何か下坂さんの声だけが耳に届いている。真理香曰く
雰囲気が悪くなっている。何とかしないと。優里奈曰く
黙って見ているかな。まどか曰く
さて、学年末テストも終わった。ホワイトデーまで後一週間。そろそろ準備するか。もう心は決まっている。
―――――
心は決まっている?ほんと雫。
次回をお楽しみに。
この作品と並行して下記の作品も投稿しています。読んで頂ければ幸いです。
「九条君は告白されたい。いや告白はあなたからして(旧題:告白はあなたから)」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860661241074
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします
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