第30話 早瀬家の別荘に行く
八月に入っても太陽の陽が絶えることなく燦々と降り注ぐ。夏休みは最高だけど暑い。
俺と花音、若菜と優里奈は早瀬さんの実家が有る駅に集合した後、電車で別荘の有る房総半島の鴨川という所に来た。女の子は皆Tシャツとショートパンツにかかと付サンダルだ。
俺はコットンパンツにTシャツにかかと付サンダル。スポーツバッグ一つだけど女の子は二泊三日にしては荷物が多い。
駅には連絡を受けているのか、車が迎えに来ていた。
「お嬢様、迎えに来ました。会長からご連絡が入っております」
「ありがとう桂。みんな乗って」
「うわーっ、凄い。やっぱり早瀬さんってお嬢様だ」
「うん、凄い」
若菜と花音が反応すると優里奈が目で笑っている。まあ、優里奈の所も同じようなものだからな。
「気にしないで下さい。さっ、早く行きましょう」
車で十分程で別荘に着いた。
「皆さん、私はこれで戻ります。明後日の午後お迎えに上がりますが、もし私に用事がある場合は、ご連絡ください。直ぐに参ります」
「分かったわ。桂ありがとう」
「いえ、これも仕事ですので。これで失礼します。皆さん、十分にお楽しみ下さい」
車が去ると早瀬さんが
「皆さん、中で説明しますから入りましょう」
「はーい」
花音が楽しそうに返事をする。
「皆さん、部屋割りです。お部屋は五つありますので、一人一部屋になります。部屋の中はバスルームがありますので自由に使って下さい。
後でご案内しますが、オープンデッキにBBQの器具が用意されています。海辺は砂浜と岩場が有り、泳ぐこともシュノーケーリングも出来ます。
波打ち際から七十メートルにブイと規制ロープがあるのでそれ以上沖にはいかないで下さい。もちろん、浮輪も用意してあります。
キッチンには大型冷蔵庫が二基と冷凍庫が一基備わっています。中は野菜や飲み物、お肉や魚などが私達の二泊三日分を十分に過ごせるだけ入っています。
最後ですが、ここはプライベートビーチですので一般の方はいません。ですから事故等起こさない様に十分に気を付けて下さい。行動は必ず二人以上にしましょう」
「「「「…………」」」」
「私何か可笑しなこと言いました」
「い、いや、凄いというか。想像を超えていたので。早瀬さんは何度も来ているの」
流石に聞いてみた。
「はい、毎年家族と言ってもお父様は来れない事が多いですが来ています。お母様と私と付き人の三人ですが」
「「「「………………」」」」
「部屋割りを決めましょう。二階にあります。全室海側に窓が有ってレイアウトは同じです。二部屋だけツインになっていますが、そこも一人で…………」
「「「ツイン!!!」」」
ここで反応するの?
「じゃあ、お兄ちゃんと私がツインに」
「花音何を言っている。別々だよ」
「えーっ、兄妹なんだから」
「「「駄目!!!」」」
「へっ?!」
なぜか、早瀬さんと若菜と優里奈が反対した。
「仕方ないですね。神城さんと私はツインルームを一部屋ずつ使います。花音ちゃんと下坂さん、東条さんは、シングルルームをお使いください」
「なんか、納得いかないけど早瀬さんの別荘だからそれでいいわ」
若菜が渋々納得すると
「私もそれで構いません」
優里奈も同意した。
「それでは早速お部屋に行って水着に着替えて玄関のアプローチに集合しましょう。浜辺には水着のままで構いません。私達以外いないので」
「「「「賛成」」」」
これだけは直ぐに決まった。
浜辺から別荘みると二階の部屋が右から俺、早瀬さん、花音、若菜、東条さんと決まった。
部屋に入るとおーっ凄い、海側一面ガラス張りだ。早速開けると柔らかな風が塩の匂いを運んできた。
「海だー!」
つい叫んでしまった。部屋をさっと見るとツインベッドの他に、クローゼット、バスルーム、トイレ、サイドボードにテーブルと椅子がある。バスルームには二日分のタオルが用意されている。至れり尽くせりとはまさこの事だ。
少しだけ早瀬さんがお嬢様だとは聞いていたけど、やっぱり凄いな。俺の家とは大違いだ。まあ、比較する事に意味ないか。
早速着替えて玄関のアプローチで待っていると花音が出て来た。
妹は百六十センチある。若菜と同じ身長だ。早瀬さんと優里奈もほとんど変わらない。
この前選んだオレンジ色のセパレートを着ている。背中まである髪の毛はアップして止めている。とても可愛い。
「お兄ちゃんが選んだ水着だよ。どう?」
「うん、とっても似合っていて可愛いよ」
「えへへっ、嬉しいな」
次に若菜と優里奈が出て来た。こちらもこの前選ばされた水着だ。若菜は水色のバンドービキニで腰紐が付いている。
優里奈は赤のフリルビキニ。胸は小さくないが、デザインでこれが良いと言っていた。腰まである髪の毛はアップしてある。
「雫、どうかな?」
高校になって胸が中学の時より大きくなった。普通のビキニだと流石に恥ずかしい。
「若菜素敵だよ。とても似合っている」
「そ、そう。嬉しいな」
「雫、私は?」
「優里奈も魅力的だよ」
「ふふっ、嬉しい」
雫は私を知っているけど、やはり他の女の子の前では普通にしておかないとね。
四人で話していると早瀬さんが出て来た。ピンクのワンピースだ。やはり長い髪の毛をアップしている。
「神城さん。どうかな?」
「とても似合っていて可愛いです」
「ふふっ、嬉しい」
四人に比べれば俺は短パンだ。まあ男だから仕方ない。
「皆さん、浮輪欲しい方は?」
「「はい」」
若菜と花音が返事をした後
「私も欲しいかな」
「分かりました。では女性は全員ですね。神城さんは?」
「俺は要らないです」
「では、そこの倉庫から浮輪を出しましょう。岩場遊びは明日にしますか」
「そうですね」
今日は着いた当日だ。余力は残しておいた方が良い。
俺は倉庫から浮輪を出すと、足踏み型の空気入れで浮輪を膨らました。楽でいい。
神城さんの水着姿初めて見ました。見惚れてしまっています。
花音さんが見慣れているのは何となく分かりますが、何故東条さんと下坂さんは、彼の体を見ても普通で居られるのでしょうか。まさか、お二人は…………。
私だけ、取り残されたのですか。不味いです。何とかしなければ。
「早瀬さん、早瀬さん」
「えっ?」
「雫を見てぼーっとしていましたよ。雫が浮輪膨らませたので、行きましょうよ」
「は、はい。そうですね」
ふふっ、早瀬さんは雫の体を見るのは初めてなんだ。よし、経験者は東条さんだけ。まだまだ大丈夫だわ。
―――――
第7回カクヨムコン応募中。アクセスご評価頂けると大変ありがたく思います。
いよいよ早瀬さんの別荘で雫と四人の女の子の海辺の遊びが始まりました。どうなる事やら。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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