第25話 テストの後は夏休み準備
我が家での勉強会も終わり、万全の準備で臨んだ月曜、火曜の期末テストは無事に終了した。今回は中間以上に手応えを感じている。皆のおかげだ。
明日はテスト休みでその後は一週間と少しで待ちに待った夏休み。俺の様な運動系部活に入っていない生徒は好きに遊べる時間(夏休み)が来る。
HRが終わったのか若菜が早速教室に入って来た。
「雫、明日休みでしょ。買い物付き合ってよ」
「いいけど」
「神城さん、私も一緒にお買い物したいのですが」
「雫、私も」
「えっ、三人共なの?」
「うん、三人で相談したんだ。夏休みと言えば、プールか海水浴。当然必要なものあるでしょ。もう中学生の時の入らないから。ねっ、付き合って」
「それって、もしかしたら…………。いや勘弁して。三人で行って来て。俺良太とあそ…………あれ、いない」
良太に声を掛けようとしたら、席に居なかった。HR終わったばかりなのにどこ行った。
「川平さんなら部活部活とか言ってHR終わったらすぐに教室出て行きましたよ」
あいつめ、逃げたな。
「ねえ、いいでしょ。一緒に行って!」
「わ、分かったよ」
「じゃあ、何処に集合しよっか」
「ここから四つ目の駅にあるショッピングモールはどうですか。午後一時集合という事で」
「「良いですね」」
早瀬さんの言葉に若菜と満里奈が反応する。
「じゃあ、雫そういう事で。今日は水やりでしょ。先に帰るね」
「私も図書室の当番なのでこれで失礼します」
若菜と早瀬さんがササっと教室を出て行った。
「優里奈。行くか」
「はい♡」
花壇に手分けして水をやる。もうずいぶんなれた。俺は校門のある二つの花壇を優里奈は校舎裏の花壇に水をやる。やり終わるとホースをリールに巻き付けてジョーロと一緒に小屋にしまい終りだ。
「終わったな。ところで優里奈。夏休み中の水やりはどうするんだ。桃神先生と相談するか」
「うん、一応声を掛けた方が良いけど。多分交代でやる事になると思う」
「交代って言ったって、俺と優里奈だけじゃないか」
「桃神先生も学校に出る日が有るらしいのでその時は先生がやってくれる。用務の人も手伝ってくれるからそんなに毎週来なくても良いけど、夏は日差しが強いから週に二回はあげないといけない。ねえ、雫一緒にしよう」
「ああいいよ」
「やったあ!じゃあ桃神先生と予定作ったら雫に教えるね♡」
「はっ?」
何がやったあ、なのかな。分からん?
「ううん、なんでもない」
これで週二回は雫と会える。ふふふっ、そうすれば…………。あの二人には負けないわ。
「雫、じゃあ明日ね」
「うん」
俺は優里奈と駅で別れると家に帰った。夕食を終え風呂に入った後、ベッドの上でふと考えた。
何か、おかしなことになっているな。この一学期だけで色々な事がありすぎだ。皆の気持ちも分かるけど、一人の時間も欲しい。どうすればいいんだ。
そうだ。爺ちゃんのとこに行こう。あそこなら彼女達は付いてこない。ふふっ、これで一人になれる。
翌朝、俺がまだベッドに入っているとパジャマ姿の花音が部屋に入って来てベッドに潜り込んで来た。
「おい、何してるんだ」
「何って。お兄ちゃんのベッドに入っているだけだよ」
「いやいや、それは不味いだろ」
「何が不味いの。兄妹でしょ。それにお兄ちゃん、若菜お姉ちゃんと一緒に寝たでしょ。私だっていいでしょ」
「あれは…………」
花音が抱き着いて来た。思い切り胸を押し当てて来る。
「花音、くっ付ぎすぎだよ。もう少し離れて」
「いいの。私がしたいんだもの」
「もう」
結局のそのまま一時間位、妹は俺の肩に顔を付けて眠ってしまった。俺もつい寝たけど。
陽がカーテンの隙間から強く入って来て、また目が覚めた。うっ、花音が俺の肩に顔を乗せて寝ている。
ちょっと下を見ると、不味い成長中とは言え十分に大きい。真っ白な肌が丸見えだ。
「花音、起きて」
「ううーん。何時」
机の上にある目覚まし兼用の時計を見ると、あっもう十時だ。
「花音、十時だよ。起きよう」
「いい。今日は何も予定無い」
「学校は?」
「テスト休み」
テスト期間一緒だったんだ。
「そうだ。お兄ちゃん、夏休みプールか海に行くよね」
「ああ、多分」
「ねえ、今日お買い物付き合って。水着買いたい」
「へっ!」
どうなっているんだ。今日は水着買い物デーかい。
「いや、俺ちょっと今日は予定が」
「予定ってなあに?」
「…………。若菜たちと買い物に」
「達って、あの三人と行くの」
「ああ」
「じゃあ私も一緒に行く」
「えーっ。若菜に聞いてみるけど」
仕方なく若菜へメールすると直ぐに返信が来た。
「若菜が良いって」
「ふふふっ、お邪魔虫三匹付だけどお兄ちゃんと一緒だからいいや」
「お邪魔虫?」
「うん、お邪魔虫。じゃあ起きようか」
そう言ってもう一度思い切り抱き着いて来た。もう我儘だな。
昼食を済ませた俺は、妹を連れて家を出た。隣の家の若菜に声を掛けると直ぐに出て来た。
「花音ちゃん。こんにちわ。一緒に出掛けるの久しぶりね」
「はい」
若菜は、水色のスカートに白のTシャツとオレンジ色のかかと付サンダル。花音はジーンズ生地の短パンと黄色のTシャツに白い運動靴。二人共さっぱりした感じだ。
三人で待ち合せの駅に着くとまだ十分前だというのに優里奈と早瀬さんが待っていた。
二人とも思い切り目立っている。
優里奈は、水色のTシャツと白いスキニーパンツに茶色のかかと付サンダル。腰まである長い髪の毛を一つにまとめている。切れ長の大きな目が際立って見える。
早瀬さんは、薄茶のスカートに白い半そでブラウスと薄茶のかかと付サンダルだ。やはり腰まである髪の毛はそのままに流れる様にしてある。
通って行く人が二人の綺麗さに目を向けている。幸い男に声を掛けられるという定番は無かったので良かった。
この二人に若菜と花音が加わったので、更に人目を引いている。俺は辛い。
―――――
第7回カクヨムコン応募中。アクセスご評価頂けると大変ありがたく思います。
次回は水着のお買い物とお茶です。
花音は優しいお兄ちゃんにブラコン全開です。どうなる事やら。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます