第82話 二学期が始まる


 今日から二学期が始まる。高校に入ってからあっという間に二年になり二学期になった。


 夏休みも楽しくて賑やかだった。爺ちゃんの所から帰ってきた後、真理香と会った。いつもと同じことをした。


 まどかからの誘いも有った。何かとても積極的だったけど、する事だけは止めた。流石にこれ以上、頭悩ます種を作りたくない。

ただ、まどかと呼ぶことにはなってしまった。でも他の子が名前呼びだから。


 若菜とは相変わらずだ。大体俺が起きる前には何故か俺の部屋にいる。俺が寝坊するのがいけないのだけど、まあ仕方ない。


 若菜は俺と二人の時は本当に優しくてとてもいい子だ。あっちがやたら好きな気がするのは気の所為かな。


 優里奈はあれ以来会っていない。


 紗友里からは連絡もないから爺ちゃんの所の件は爺ちゃんが紗友里に会いたかっただけなんだろうと思う事にした。




 さて、今日も皆と一緒に学校に行く。学期の始めは気持ちがフレッシュな気がする。

 夏休みの宿題もしっかりと終わっているのも気分が良い理由かもしれない。



 教室に入って行くと

「雫、おはよ。元気だったか?」

「おはよ。良太」

「随分焼けたな。海でも行ったのか?」

「山に行って来た」

「そうか、山か。俺はいつもと同じ。両親と外国の海に行って来た」

こいつ、それ自慢したいだけかよ。


ガラガラガラ。


 担任の桃神桃花(ももかみももか)先生が入って来た。金髪に眼鏡をかけ胸がやたら大きい小柄の先生だ。文芸部顧問で男子に人気がある。


「みなさーん。体育館に行って下さい」

可愛い声を出しながら体育館に行く様に言っている。



 みんなで有難く校長先生のお話を聞いた後、教室に戻って来た。


早速、桃神先生が

「席替えを行います。この箱の中に席順を書いた紙が入っています。窓側の一番前の席の人から引いて下さい」


 窓際の一番前の席の人から引き始めた。恒例の席替えだ。俺は五番目に引いた。

何と同じ位置。やったぜ。この後、まどか、良太、真理香、若菜、優里奈の順で引いた。


「皆さん、引き終わりましたね。では移動して下さい」


ガタガタガタと全員で動き始めた。俺は動かなくていい。


「雫、また近くなったな宜しくな」

良太は俺の前に来た。


「雫近くなった」

俺の後ろに優里奈が来た。

徳山は廊下側から二番目の列の一番後ろだ。まどかは徳山の前に席だ。


「雫、ちょっと離れたけど、前よりは近いね」

若菜は窓側から二列目の一番後ろだ。真理香は窓側から三列目一番後ろから二番目、若菜の前になる。割と近い。


 あれっ、俺の隣の席が空いている。何で?もう一人はどこ行ったの。そう言えば白百合さんがいない?


「皆さん、移動しましたね。それでは転校生を紹介します」


 桃神先生は入口のドアを開けて転校生に声を掛けた。


「「「おおー!」」」


 男子達が驚きの声を出している。背が高く、髪の毛は腰まであり、目は切れ長で少し鋭い。制服の胸の周りがはち切れそうだ。


「すげえ美人だ」

「な、何あの胸」

「背が高いなー」


 俺も転校生の顔を見た。くっ!まさか。


「転校してきました。柚原紗友里です。以前は奈良の高校に居ました。故有って本日より皆さんと一緒に勉強します。宜しくお願いします」


パチパチチパチ。


「柚原さん、神城君の横に座って」

「はい」


 平然と歩いてくると


「雫様の為に転校してまいりました。宜しくお願いします」


「きゃー。聞いた。聞いた」

「うんうん、雫様だって」

「神城君の為に転校して来たって言ったよね?」

「どういう事、どういう事?」


 優里奈、若菜、真理香、まどかが凄い目つきで睨んでいる。



「優里奈、私が雫様の隣にいます。分かりますよね」

「紗友里!」


この女どういうつもりで。優里奈曰く

なんであの子がこのクラスに。若菜曰く

不味いですね。真理香曰く

どうなっているのよ。まどか曰く


「雫、知り合いか」

良太が聞いて来た。


「まあな」

「雫様、お友達ですか」

「おれ、川平良太です。中学時代からの付き合いでこいつの親友です」

「良太、自己紹介良いから」

「そうですか。雫様がお世話になっております」

「えっ、雫もしかして?」

「想像の通りだ」

急に良太が前を向いた。体が震えている。絶対笑っているな。


「神城君、柚原さんに学校を案内してあげて下さい。では、皆さん次の授業が始まるまで自習していて下さい」

桃神先生はそう言って教室を出て行ってしまった。


先生が無くなった途端、急に男子生徒がこちらいや紗友里の方を見始めた。


「もしかして、また神城の?」

「そうらしいな」

「でも、あれ見ているだけで結構至福になる」

「おれも」


おい、男子聞こえているぞ。


午前中が終わり昼休みになった。

「雫様、お昼はどうされます」


「雫、今日から持って来ている」

「雫さん、私も」

「雫、私もお弁当持って来ている。もちろん雫の分も」

まどかも頷いている。


「雫様、この人達は置いておいて、学校内を案内という事で学食を案内して下さい」

「「「「なんですって!!!!」」」」


「紗友里、お昼はいつもこの人達と食べているんだ。でも紗友里はお弁当持って来ていないよね。皆で学食行くか?」

「でも雫、今からだと学食厳しいんじゃないかな」

「若菜の言う通りだな。じゃあ紗友里、購買に行こう。ここでみんなと食べれば良い」

「ありがとうございます。雫様」


 購買に行くまでの間、紗友里の注目度は高かった。背の高さと胸の大きさで男子達が注目している。いや女子達もか。


 この後は、静かに?昼食をみんなで取った。


 放課後、

「雫様帰りましょう」

「えっ、紗友里何処に住む事になったの?」

「気にしないで下さい。一緒に帰れば分かります」


「ちょっと、待ってよ。転校して来たばかりで雫に馴れ馴れしくしないでよ。雫は私達と一緒に帰るの」

「雫様、帰りもこの人達が群がっているんですか?」

「何ですって。雫、この人何とかしてよ」


「紗友里、言葉に気を付けて。これからクラスメイトとして一緒に過ごすんだから」

「分かりました雫様のご命令で有れば」

「命令じゃないけど」


 参ったな。爺ちゃんちょっと気を回し過ぎだよ。


 駅まで行き、真理香と優里奈と別れ、自分の家の近くの信号でまどかと別れても

「ねえ、柚原さんどこまで私達に着いてくるつもり?」

「付いて来ていません。私の帰る家は雫様の家です」

「「ええーーっ!!」」


流石に若菜と一緒に驚いた。


―――――


二学期、雫に取って早くも波乱の幕開けになりました。


次回をお楽しみに。


この作品と並行して下記の作品も投稿しています。読んで頂ければ幸いです。

「九条君は告白されたい。いや告白はあなたからして(旧題:告白はあなたから)」

https://kakuyomu.jp/works/16816927860661241074


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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