第53話 クリスマスイブの前に


 ピンポーン。

「花音出て」

「はーい。あっ、若菜お姉ちゃんだ」


ガチャ。

「おはよう花音ちゃん」

「おはよう若菜お姉ちゃん。お兄ちゃんまだ寝ているよ」

私は、花音ちゃんと一緒にリビングに行くと


「若菜ちゃん、おはよう。雫起こして来て」

「はーい」


 花音ちゃんも来るかなと思ったら来なかった。二階に上がって雫の部屋のドアをそっと開けると


スースー、スースー。


もう、十時に来るて言ったのに。


私はゆっくりとベッドの横に腰掛けると顔を雫の顔に近付けて

「雫、起きて」

最初優しく声を掛けたみた。


スースー、スースー。


 ふふっ、起きてない。この前したからキス位いいよね。そっと唇を当てて優しく雫の唇を吸う様にすると


 えっ、いきなり私の体を抱きしめて来た。…………でもまだ寝ている。離れても良いけど、このままでも良いかな。


 少し横座りになりながら彼の顔を近くで見ていると私の背中に回していた手を思い切り頭の上に伸ばしてあくびした。


「ふわぁー。あれ」


私は彼の頭の両側に手をついてまだじっと彼の顔を見ている。

「雫」


 今度は彼が起きている中で意識して口付けした。えっ、思い切り抱きしめられて口付けされた。


 そのまま、ずっとしていると


コンコン。コンコン。


「ぶっぶー!朝からの不純異性行為は禁止です」


ドタドタドタ。


階段を下りていく音がした。


「ふふっ、見られちゃったね」

「ああ」

そう言うとまた唇を付けて来た。少ししてから離すと


「どうしたの雫?」

「うん、寝ている間にキスされたのが分かったけど、若菜の唇が柔らかくて…………。だからちょっとしちゃった。駄目だった?」


「いいよー。いっぱいしていいよ」

ふふふっ、雫からこんな言葉聞けるなんて。


「えい!」

思い切り抱き着いた。


「わ、若菜苦しい。おっぱい当たっている」

「当てているの」


「わ、分かったから。離れて」

「ふふっ、いいよ。離れてあげる」


ドドド。ガチャ。


「もう、いつまで朝からイチャイチャしているのよ。お母さんが早くご飯食べてって言っているよ」

「分かった。すぐ行く」


洗面所で顔を洗ってダイニングに行くと若菜が紅茶を飲んでいた。

「雫、早く食べて。片付かないから」

「分かった」


「お兄ちゃん。花音も今日から冬休みなんだ。若菜お姉ちゃんだから許すけど、朝から変な声とか出しちゃだめだよ」

「「出してない!」」


 母さんがこちらを見て嬉しそうに笑っている。もう。


「雫、明日クリスマスイブだよね。どうしようか」

「あっ、若菜お姉ちゃん。二人だけはだめだよ。花音も入れて」

「花音はクリスマスの日でいいだろう」

「えっ、雫私と二人でいるの?」


俺は仕方なく、スマホのチャットメールを見せた。


「あーっ、あの二人だけじゃない。琴平さんも。断ってよ三人とも。用事があるとか言って」

「うーん。どうもな。良太と徳山も入るらしくて、断りづらいんだ」

「川平君と徳山君も!」


「でも場所が早瀬さんの家なんて」

「仕方ないよ。七人だもの。でも材料はみんなで買う事になっているし」


 早瀬さんは、東条さんと琴平さんに話して川平君と徳山君を誘って自分の家でクリスマスイブをやろうという事している。


 学校で何も話題に出なかったのは、多分周りの事も考えての事だと思うけど、裏にあるのは私を優位にさせないためだ。まったくあの人は頭が良いというか。


「分かったわ。明日十四時にみんなで駅に集まって買い物して早瀬さんの家に行くのね。じゃあそれまでは、雫と一緒よ。宿題しようか」


「お兄ちゃん。私午後から塾だから。年末年始特訓」

「雫、私も午後から夕方までいないからね。若菜ちゃんと宿題しているんでしょ。留守番宜しくね」

「分かった」

なぜか、若菜の目がキラキラしている。気の所為かな?


 俺は朝食を食べた後、若菜と一緒にリビングで冬休みの宿題をやった。最近、予習復習に加えて授業も真面目に聞いているし問題集も買ってやっているので、宿題は午前中で大半が終わってしまった。


「雫、これなら午後少しやれば終わるね」

「そうだな。その後、昨日買った問題集やるか」

「そ、そうね。そうしましょ」


昼食は母さんが作ってくれた。

「じゃあ、お兄ちゃん。行って来るね」

「雫、留守番頼んだわよ」

「雫、ちょっと一回家に帰って来る」

「ああ、いってらっしゃい」


何故か、急に静かになった。若菜何しに帰ったのかな?


ガチャ。

「雫、帰ったよ。残りの宿題やってしまいましょ」

「おう」

やたらやる気満々だな。まあいいか。


結局、午後二時半には終わってしまった。


「雫、休憩しようか」

「ああ、お茶いれようか」

「いい、雫の家の台所知っているから私が入れる。部屋に行っていて」

「分かった」


 勉強道具をリビングに置いたまま、自分の部屋でゴロゴロしていると若菜がお茶をトレイに乗せて持って来た。

「出来たよ。暑いからね」


ローテーブルを前に二人でベッドを背もたれにして座るとお茶を手に持った。

「あっ、でも飲みやすそうだ」

「うん」


 何故か若菜は何も言わない。俺もローテーブルの反対にある本棚に目をやりながらボケっとしていると、若菜がもたれかかって来た。


「雫、この前は何か急がせたような、私も焦っていたし。…………。ゆっくり静かに雫に…………して」

「いいよ。でも」

「大丈夫な日」


 この前は、私自身初めてだったし、痛かったし夢中だったし、訳が分からなかったけど、今日は違う。雫の優しさを思い切り感じる事が出来る。



 嬉しい…………。




ふふふっ、三回もしちゃった。私エッチだったのかな。でもこんなに気持ちいいなんて。毎日したくなりそう。でも節操持たないと。これで雫とはしたい時に出来そう。嬉しいな。


「あっ、雫起きた」

「あ、若菜」


ふふっ、もう一度されちゃった。




 二人で花音と母さんが帰ってくる前にシャワーだけ浴びた。そしてリビングで残りの宿題を解いていると


「ただいま、お兄ちゃんいるー?」

「いるよ。お帰り花音」

「お帰りなさい。花音ちゃん」


「なーんだ。二人で勉強してたのか」

「花音ちゃんどう言う意味?」

「うーん、私が塾行っている間に二人で良い事してたのかなーって思って」


「うっ」

俺は思わず口に含んでいた炭酸ジュースを吹き出しそうになった。


「あれ、どうしたのお兄ちゃん?挙動不審だけど」

「ばか、いきなり花音が変な事言うからだよ」

「そうなの若菜お姉ちゃん?」

「そ、そうよ。ずっと勉強してたの」

「そっか。お兄ちゃんの顔に口紅ついているけど」

「えっ」

俺はつい顔に手をやると


「はーっ、やっぱり。お兄ちゃんのスケベ。べーっだ」


ドドドと階段を上がってしまった。


「バレちゃったね」

「しーっ!」

「ふふふっ」


 若菜は六時前に自宅に戻った。隣なのに母さんが暗いから送って行きなさいと言われ仕方なく、隣ほんとに十歩もないよ。に送って行くと若菜がサッと唇にキスして


「雫、じゃあまた明日」

そう言って家の中に入って行った。


 はーっ、でもまあ仕方ないかな。明日大丈夫かな?


―――――

第7回カクヨムコン応募中。アクセスご評価頂けると大変ありがたく思います。


ふむ。なるほど。明日はどうなる事やら。


次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る