第50話 期末テストの勉強会
来週からの期末テストに備え六人で放課後に図書室で勉強会を始めた。月曜から木曜日までは若菜、真理香、優里奈、琴平さんそして良太と俺だ。
月曜日だけはテスト対策をする人と図書室の常連の様な人達が居ただけだったが、火曜から満席になってしまった。ほとんどが男子。何故か目線は僕達の方へ集中している。
男子諸君、気持ちは分かるがここは図書室だよ?!
俺以外の五人がカリカリとシャーペンの音だけがしている。
「雫どうしたの?」
「あっ若菜、この問題に上手く公式が使えなくて」
「どれ見せて。あっこれはこっちの公式よ。先生が注意しろって言っていた所でしょ」
「雫さん、次は私に聞いて下さい」
「雫、私にも」
私はあんな風に声を掛けれない。この三人は神城君と距離が凄く近い。知合ってから時間が長いからって友達の関係だけでこんな風に慣れるのかな?
深い関係を感じるけど……まさか三人共なんてね?
平穏に?月曜から木曜までの図書室での勉強会も終わり、今日から個別にする事になる。金曜日は若菜だ。今は、俺の家のリビングで一緒に勉強している。復習は全て図書館で終わっているので、科目毎の対策をしている。
なんか俺の時間ってこの三人の頭には無いのかな?
「雫どうしたの。どこか分からない事あるの?」
「いや、何も」
「ペン動いていないから」
「……若菜も真理香も優里奈も俺の事好いてくれるのは嬉しいけど、俺の時間って無いのかな。このまま三年間行くのかなと思ってさ」
「それは、雫が私を選べば解決するわ。そうすれば毎日一緒に居る事しないけど」
「…………」
「ほら、結局雫が判断付かないからでしょ。でも無理に今判断しなくてもいいんじゃない。私もあの二人と居ると楽しいし」
「若菜がそう言うならいいけど」
「でも最後には私を選んでね」
「分からないけど幼馴染の関係はずっと続けるし、いつまでも若菜が大事で守ってあげようと思っている」
「それは出来ないよ。彼女になる人いや未来の妻となる人に失礼だよ」
「…………」
「ほらそれより今は、期末テスト対策よ。恋の悩みはテストが終わった後、私が相談に乗ってあげるから」
「あ、ああそうだな」
雫の気持ちも分かるけど。早瀬さんも東条さんも雫を支えてくれる。でもあの二人と結婚するには雫は婿として入らなければいけないはず。
お爺様の事を考えれば、一番有利な位置にいるのは私。でも何処にも保障なんてない。そんな事は今すぐどうとなるものでもないし。今は雫の成績を一つでも上にしないと。
もう午後六時を過ぎた。そろそろ一度帰らせた方がいいだろう。
「若菜、そろそろ帰るか」
「雫、若菜ちゃんはうちで夕食食べる様にするわ。若菜ちゃんのお母さんにはもう了解とってあるから」
「えっ、若菜知ってた?」
「ううん、知らなかった」
「ふふふっ、若菜ちゃんせっかく雫の勉強見てくれているんだもの。夕飯位ご馳走しないとね」
「ありがとうございます。お母さん」
「あら若菜ちゃん、もうお母さんって呼んでくれるの。嬉しいわ」
「はい!」
「若菜お姉ちゃんかあ。花音がお兄ちゃんのお嫁さんになるって選択はないの?」
自分の部屋から出て来た花音が二人の会話に入って来た。
「花音、それは無理よ。兄妹は結婚できないのよ」
「知ってるわそんな事。じゃあ私が一度籍を外せば出来るかな?」
「花音ちゃん、それは無理。血が繋がっているから。それに花音ちゃんは毎日雫と一緒に居れるでしょ」
「でもお兄ちゃんが結婚してしまったら、それも難しいよね」
「花音ちゃんはお兄ちゃん大好きだからね」
この三人の会話についていけない!俺はまだ高校一年だぞ!!夢も希望をあるんだ!!!
「雫、何考えていたの?」
「い、いや何でもない。早くこの問題終わらそう」
何故か若菜が疑いの目を俺に向けている。なんでもないよ。
夕飯を食べ終わった後、俺と若菜は俺の部屋で続きをする事になった。流石に夕飯の後はリビングを占有する訳には行かない。
二人で勉強していると若菜がブラウスの第二ボタンを外している。
「若菜、エアコン効き過ぎ?」
「そんなことないよ」
「そうか」
いつもは俺の隣にぴったりとくっ付いているのに、今日は正面に座っている。
「雫、この問題分かった?」
聞いてもないのにわざわざ前かがみにして俺の方に来る。くっ、ピンク色だ。
「雫、何処見ているの?」
「…………」
「良いよ。雫がしたければ私いつでもいいから」
「若菜、それは無しだろ。第二ボタン付けてよ」
「えへへ、そそられた?」
「若菜!」
俺は立って若菜の方に行くと若菜を強引にカーペットの上に押し倒した。
「し、雫!」
「若菜、言ったよな。俺がお前としたくなるまで待ってって。でも俺も男だよ。一時の感情で我慢できなくなったらどうするんだ。そんな感情でお前としたくない。こんなことするなよ。頼むからもうちょっと待って」
「いつまで待てばいいのよ。東条さんとだって、早瀬さんとだってしてるんでしょ!。なんで私だけ待たなきゃいけないの?」
「…………」
「私帰る!」
次の土曜日は、午後一時から午後六時まで真理香と勉強した。リビングで行っていたので平穏に終わった。
日曜日は優里奈だ。午後一時からリビングで始めた。
「雫、今日は誰もいないの?」
「うん、花音は塾。お母さんは用事があるって言って出かけている」
「そうか。雫と私だけか。…………ねえ、雫、この前水やりの後に小屋の中で言った事覚えている?」
「覚えているけど、今日は勉強しようよ。まだ俺全部終わっていないんだ」
「どの位残っているの?」
俺が残りの分を見せると
「これなら二時間位で出来るわ。ねっ雫」
優里奈は何故かあれを持って来ていた。最初からそのつもりだったのかな?
優里奈とする事には抵抗が無くなっている。真理香はあれきりだし、彼女がどう言う意味であれを強行したのか分からない。でももし真理香がしたいと言ったら多分断らないだろう。
なぜ若菜だけが。他の二人があいつより好きだとか、容姿が良いとか全く関係ない。
昔から大切にしないといけない。守らないといけないとずっと思って来た。
俺が爺ちゃんのとこに行き始めたのだって若菜の事が無縁じゃない。あいつを守りたいと思ったからだ。
そんな俺があいつに手を掛けるなんて無理に決まっている。若菜は俺の心の中で守る女の子という固い位置づけになってしまっている。
それに若菜の家とは家族同士の付き合いが絡んでいる。もし若菜とした後に仲が悪くなったりしたら。
俺が躊躇している理由が何となく分かる。今のままでは良くない。テストの後に若菜ともう一度話してみよう。
―――――
第7回カクヨムコン応募中。アクセスご評価頂けると大変ありがたく思います。
おっとこれはこれは?!
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます