第44話 文化祭の二日目


 今日は文化祭二日目。外部の人も来訪する日だ。今日は朝から巡回。昨日の様な事がない事を願いたい。

 

 今日も若菜、真理香、優里奈と一緒に学校に行く。一応三人は俺の後ろにいるので一人で歩いているように見える…はず!


下駄箱で上履きに履き替えて一度教室に入る。直ぐに良太が近づいて来た。


「雫、聞いたぞ。昨日またやったんだってな」

「なにを?」

「しらばくれるな。二年の三人もそうだが、三年生の二人もだ。先生達が手を焼いていたらしい。今度は飲酒に暴行、後何とかやらで停学処分に出来ると言っていた」


「良太。お前良く知っているな。何処でそんなこと聞けるんだ」

「俺は、クラブの先輩達と仲が良いから色々教えてくれるんだ」

「そうか、おれもテニス部入るかな」

「本当か!直ぐに入れるぞ」


「雫、だめよ。花壇のお花が可哀そうでしょ」

「良太、ごめん」

「もう、お前は女の子に弱いいだから」


「ねえ、聞いた。神城君。女の子に弱いんだって」

「うん、聞いた。聞いた。チャンスあるかも」


女子達聞こえているぞ。


「でも神城すげえな。聞いたぜ昨日の事。ちょっと関心。今度カラオケでも一緒に行かないか」


誰この人って顔をしていると

「悪い。俺徳山だ、徳山大輔。もう二学期だから覚えてくれると嬉しい。良太。お前も誘ってくれよ」

「良太の友達?」

「雫、クラスメイトだ。覚えろ」

「ごめん徳山。これから宜しくな」

「ああ。今日も楽しもうぜ」


「ねえ、聞いた。神城君可愛いわよね」

「うん、聞いた聞いた。カラオケ誘おうか」

「そうね、そうね」


まずい。女子達が乗って来た。


「はーいみんな。文化祭二日目よ。今日も頑張って行こうね」

「「「おーっ」」」


助かった。女の子の学級員が今日の気合を入れてくれた。


 この後、神林生徒会会長が全校放送で昨日の様に盛り上げて二日目が始まった。俺は直ぐに生徒会室に行くと


「神城君おはよう」

「神林先輩おはようございます」

「おお、僕の事を名前で呼んでくれるのか嬉しいな」

「神城君おはようございます」

「聰明先輩おはようございます」

「これ」

そう言って生徒会巡回のマークがついた腕章を渡してくれた。



「今日はどうするんですか」

「今日も昨日と同じように各クラスが規則違反していないか見て回るの。二日目は特に生徒達は慣れて乗りが良くなっているから。一度回ったら、この子達と交代。一日中じゃ疲れるから」

「「神城君宜しく」」


 そう言って挨拶をして来た。どうも柔道部と空手部の生徒みたいだ。体ががっしりしていて俺と同じか少し大きい。


「こちらこそ宜しく願いします」

「へーっ、あれだけ強いのにこの謙虚さか。やはりうちの部に来ないか。あそびでもいいから」

「お前、抜け駆けするな。神城君。うちの部にも来てくれ。あそびでもいいから」


「ちょっと貴方達、今は部活勧誘の時間ではないわ」

「「済みません」」


聰明先輩凄いな。このごっつい人達を黙らせるんだから。


「さっ、神城君行こうか♡」


へっ?


 今日も一年生の教室から回った。やはり二年B組の若菜のお化け屋敷では昨日の事が繰り返された。


 二年生の教室、三年生の教室に行ったけど昨日と俺達を見る目が違った。気の所為だろうか。


「神城君、午前中は部活の展示や模擬店にも行きます」

「はい」


 部活の展示は各クラブの部室か校舎内の廊下で行われている。模擬店は外だ。こんなに部活ってあるんだと感心して回っていると、あれ昨日ステージに居た子だ。軽音部だったのか。


「あっ、神城君。昨日はありがとうございました。本当に助かりました」

「良かったね。もう大丈夫だから」

「あの、あの今日は体育館でやるんです。午後二時からです。出来れば見に来てくれると嬉しです」


俺は聰明先輩の顔を見ると

「午後二時に体育館の巡回を入れればいいんじゃない」


女の子の顔がぱっと明るくなって

「ありがとうございます。それで、あの、あの…………」

「なに?」

「わ、私白百合綾香って言います。あやかって呼んでくれると嬉しいです。わっ、言っちゃった。言っちゃった♡」


どうしたんだろう。名前教えてくれただけなのに。

「分かった。白百合綾香さんですね」

「神城君、もう行くわよ」


何故か聰明先輩が不機嫌になってしまった。


各部活の展示も一通り見ると

「神城君、グラウンドに行きましょうか」

「はい」


 昨日と違い今日は平穏だった。模擬店の焼きそばやたこ焼きの匂いが堪らなかったが。

一通り見終わると


「神城君戻りましょうか。もう十一時、交代の時間だわ。しかし、問題だわね」

「何がですか」

「気が付かないの。女生徒達のあなたを見る目よ。まさかこれほどとは思わなかった。まるで有名人をお披露目に行っている気分よ」

「そうなんですか?」


 この子は本当に気付いていないのかしら。顔は確かに普通だけど、別にブス男と言う訳でもない。身長もそれなりにある。


 成績は学年で十番台。性格は控えめ。それに見た目でも分かる体。私何を考えているのかしら…………。


 と、とにかく武力では抵抗できない事がこの子にこの三年で起こるわね。生徒会で守ってあげないと。学校にとってはとても大切な人。やはり生徒会に入れないといけないわ。


「神林君、ちょっとお話が」

「聰明さん、何か?」


 私は、神城君を生徒会室で休ませている間に神林生徒会長に午前中の巡回の時の出来事を話した。


「うーん、確かに君の話は分かるが、それは彼個人の問題でもある。生徒会が関与する事ではないと思うが」


「そうでしょうか。神城綜合警備保障の会長の孫であり、その力量は既に十分証明されています。学校として彼を魔の手(女子生徒達)から守るのは、彼の向こう三年間の学校生活に大切な事だと思いますが」


「しかし、あの子には既に学年トップスリーと言われている女の子達が好意を寄せている。中々ガードが堅いと聞いているが」


「いえ、それだけでは不足です。もし生徒会がだめなら私だけでも」

「あの、聰明さん。それって単に君が神城君の事を好きに…………」

「そんなことありません!」


「そ、そうか」


―――――

第7回カクヨムコン応募中。アクセスご評価頂けると大変ありがたく思います。


なんか、変な方向に行っている様な?


次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

  

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