第70話 GWが終わった後は賑やかです


何とか投稿間に合いました。


―――――


 GWが終わった。俺にとっては平穏な休みだった。一昨日若菜とデートしていつもの通りだったけどそれで良いと思うようになった。理由は自分が一番知っている。


 六日ぶりの学校だ。

駅までは、花音と若菜が一緒に歩く。そして後ろには琴平さん。変な感じだが慣れると思う。学校のある駅からは真理香と優里奈が加わった。


 花音には家で良く理由を説明した。最初は納得がいかなかったようだが、俺がそうしたいと言うと渋々納得してくれた。今は若菜と一緒に歩いてくれている。


 下駄箱で上履きに履き替えて教室に入った。いつもの様に良太と白百合さんが……。あれ良太の側に白百合さんがいない。良太は一人で勉強している。


「良太おはよう」

「雫かおはよう」

「どうしたんだ?」

「何が?」

「白百合さん」

「こっちが聞きてえよ」


俺は白百合さんの席を見ると彼女はまだ来ていなかった。よく見ると良太の頬が少し腫れているように見える。

「良太、顔」

「雫、少し一人にしておいてくれ」

「…………」


仕方なく自分の席に行く。若菜がこっちを見て顔を横に振っている。そういう事か。

俺は、爺ちゃんの所から戻って来た日に若菜から聞いたことを思い出した。



午前中の授業が終わり昼休みになるといつもの四人が俺の側に来たが、良太が白百合さんの側に行く事は無かった。


若菜が作ってくれたお弁当を食べながら

「雫、川平君は当分そっとしておいた方が良いわ」

「そうよ、雫さん。今川平さんはセンシティブになっているわ」

「雫、下坂さんと早瀬さんの言う通りよ」

「そうか。でも良太は中学からの大事な友達だ。やっぱり心配だよ」

「駄目だよ雫、この前話した通りよ」


えっ、下坂さん雫さんとGW中に会ったの。私は会えなかったのに。早瀬さん曰く

やっぱり。でも私用事があったし。東条さん曰く

そうか。やっぱり下坂さん会っていたんだ。私も会えば良かったかな。家近いし。琴平さん曰く


良太は何処に行ったのかな。ちょっと心配だ。



放課後、俺は優里奈と一緒に花壇に水をあげる。優里奈は校舎裏、俺は校門の両脇にある花壇に水をあげようとホースリールとジョーロを持って行くと男の子が校門に寄りかかって立っていた。制服がこの学校のものではない。


しばらくすると白百合さんが校門に近付いて来た。男が手を上げて白百合さんを下の名前で呼んでいる。


「綾香」

「隆。来ちゃ駄目って言ったでしょ!」

「悪いな。綾香の顔見たくてさ。あいつは一緒じゃないのか」

「一緒な訳ないでしょう。あんなに派手に喧嘩して」

「そうか。まあいい、行こうぜ」

「行かないわよ。もうあんたとは別れたんだから」

「何言ってんだ。この前だってしたじゃないか」

「馬鹿!こんな所で大きな声でそんなこと言わないでよ」

「じゃあ、行こうぜ」


 なるほどそういう事か。白百合さんは良太がいながら元カレと遊んだのか。それで元カレと良太が喧嘩して、良太の顔が腫れていたんだ。


 あっ、白百合さんが俺に気付いた。気まずそうな顔をしている。近寄って来た。


「神城君。見なかった事にして。私良太と別れるつもりない。あいつがでたらめ言っているだけ」

「…………俺に言われても」

「なんだそいつは?」


 なんか突っかかって来たよ。

「隆、駄目この人に手出しちゃ」

「そうか。試してみるか」


 いきなり花壇に入ってこようとしたのでホースで水を思い切り顔に掛けてやった。

「花壇に足を入るなよ」


顔と上着が濡れた男が、ふざけんなとか言って殴りかかって来た。俺はサッと避けるとまた後頭部に水を変えてやった。今度は強めで。


「もう止めて神城君」


水を切るとずぶぬれになった男が

「てめえどういうつもりだ」


懲りなく殴りかかろうとしたので顔の正面に思い切り強く水を掛けてやった。

「ぶぁっ!げほっ、げほっ、や、止めろ、止めてくれ」


 頭を下にして直接かかるのを防ぎながら言って来たので、また止めると、思い切り睨んで

「もう来るな」

「くそっ、覚えてろ」


びしょ濡れで走り去った。


「神城君、変なとこ見られちゃったね」

「……お節介かもしれないけど、良太と良く話したら。別れるにしても付き合うにしても」

「分かった」

俯きながら帰って行った。




「終わったよ」

「雫、随分長かったじゃない」

「うん、花が水欲しいって言ってたから思い切り上げたんだ」

「ふうん、そうか」


ホースリールとジョーロを片付けてから優里奈と一緒に校門に行くと

「随分歩道部分が濡れているけど?」

「うん、みんなが歩く時砂埃立たない様に水撒いた」

「えっ、そうなの?」


なんか、一部にだけ集中的に掛かっているけど。




 次の朝、教室に行くと良太の所に白百合さんがいて、何か話している。二人共難しい顔をしているけど。

 自分の席に鞄を置いて一限目の教科書を出そうとしていると徳山がやって来た。


「神城おはよ」

「おはよ徳山」

「聞いたぞ。昨日校門で他校の生徒に水掛け捲っていたんだって?」

「えっ、俺知らないよ。花壇に水やっていただけだけど」

「そうか、お前が掛けている所を遠巻きに結構見た奴いるぞ」

「まあ、いいじゃないか」


 徳山は良太と白百合さんの方を見ると

「まあ、頭冷やした方が良い人もいるしな」

笑いながら自分の席に戻って行った。


 隣に座る優里奈が、二人を見た後俺を見てやっぱりという顔をしている。

「雫、どうしたの?」

「若菜。後で」


昼休み良太と白百合さんは二人でサッと出て行った。


まあ上手くやってくれればいいか。


―――――


雫の行動、賛否両論ですね。


次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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