第73話 良太の復活

 雫に関して女の子が三人話している場面があります。

その時は、大体、若菜、真理香、優里奈の順で発言していると思って頂けると助かります。

特徴として、雫さんの場合、真理香です。後、若菜、優里奈の順です。


-----

 

剣道部の藤原先輩は、あれから学校に来ていないらしい。入院したようだ。

でも俺は何も言われなかった。だってあっちからだからね。


 それより一学期はGWが終わったらすぐに中間テストがやって来る。いや、やって来た。

 今日は掲示板に成績が発表される。上履きに履き替えた後、みんなで見に行くと

おっ、


一位 東条優里奈

二位 早瀬真理香

三位 下坂若菜

四位 琴平まどか

五位 川平良太

十位 神城雫

四十八位 白百合綾香


「雫、どうだこれが俺の実力だ。絶対あの四人抜いてやる」

「良太、元気戻ったな。良かったよ」

「まあ、何となくお前にも世話になったみたいだしな」

「俺?何もしてないよ」

「まあいい。これからも勉強一緒にがんばろうぜ」

「お、おう」



 何とか、これでテニスも復活できる。綾香は好きだが、テニスはもっと好きだ。何とかなるだろう。でも四十八位か、前は三十八位だから十番も落としたことになる。


「良太。私一人でも頑張ったよ」

「綾香か、ああ頑張ったな」

「また、デート出来るかな?」

「そうだな」

「やったー!」


なんか、良太と白百合さんも上手くいっている様だ。良かった。


「「「雫!!!」」」

「えっ?!」

振返ると若菜、真理香、優里奈が腕組している。


「ど、どうしたの三人共」

「まったく、私達がきちんと見ないと」

「順位落ちているじゃない」

「学期末テストは私達と特訓よ!」

「いや、俺は良太と」

あっ、もう白百合さんと歩いている。あいつ!


「いや俺、勉強はまあ程々で」

「「「駄目!」」」


「雫さんには、何が何でも私と一緒に国立大学に行って貰います」

「何言っているの。一緒に行くのは私よ」

「私」


「ほらそこの四人予鈴なっているよ。早く教室へ行きなさい」

「あっ、聰明先輩」

「神城君はちょっと」

「えっ」

もう三人は教室へ行ってしまった。


「少しお話をしたいの。今日の放課後、生徒会室に来てくれないかな。生徒会長としてのお願い」

ウィンクされた。


「え、ええ。俺教室に行きます」


 あっという間に行ってしまった。

 はぁーっ、あの藤原君を素手で病院送りにする程の子が、まるで小心な子の様に恥ずかしがっている。強くて優しくて成績が良くて友達思い。諦める訳にはいかないわ。これを機にもう一度距離を詰めないと。



 放課後、


「雫、帰ろ」

「俺、聰明生徒会長に呼びだされて」

「えっ」

「怪しい、あの先輩また何か企んでいるんじゃないの」

「そうですね」


「雫、私教室で待っている」

「いえ、私は生徒会室前で待っている。あの人何考えているか分からないから」

「そうね。生徒会室に行ったら雫を拉致してどこかに連れて行くかも知れないし」


「いや、拉致って言われても」

「とにかく私達も一緒に行く」

「わ、分かった」


仕方なく放課後、四人で生徒会室前まで行き俺だけ入る。


「失礼しまーす」

聰明先輩と生徒会のメンバーだろうか、机に向かって一所懸命何かしている。


「あっ、良く来てくれたわ神城君。入って」

「はい」


「ねえ、彼にお茶入れてあげて」

「はい」


「あっ、良いですよ」

「そう言わないで」


 お茶が来るまで先輩は何も話さない。

「お茶です」

「ありがとう」


「お茶でも飲みながら聞いて。お願い事が二つあるの。一つはやっぱり生徒会入ってくれないかしら副会長として」

「いやです」


「そう言わないで。副会長と言っても私の補佐をしてくれればいいのよ。それに花壇の水やりは優先してもいいわ。それ駄目と言ったら東条さんに怒られるし」

「でも、俺なんか向いてないですよ。やった事無いし」


「そんな事ないわ。君は一年の二学期から急に成績もよくなって、今度の中間も十位。申し分ないわ。

 それに手伝ってもらうと言っても事務処理をして欲しいなんて言わない。私が生徒会長として行動する時、側に居て欲しい。そうすれば安心して役目を果たせる」


「生徒会長だからって、怖い仕事なんてないでしょう」

「あなたが知らないだけよ。色々な運動部の人達とも話さなければいけないし、そんな時君が私の側に居れば誰も手出しできないし、安心だわ」

「そんな事ないですけど」


「いえ、藤原君の事聞いたわ。もうこの学校であなたに歯向かう人なんていないわ。お願い」

「だったら余計嫌です。俺はそういう事嫌いなんです」

 そんな事したら悪目立ちするだけだ。冗談じゃない。


「…………分かったわ。こちらも考える。君も再考しておいて」

「しません」


全く、頑固なんだから。

「……それと二つ目。これはちょっとプライベイトだけど。父に有って欲しい」

「聰明先輩のお父さんですか。なんで?」


「私のお父様は聰明学園理事長。今、幼稚園、小学校と中学校の警備を帝国保障に任せているのだけど、色々有って新しい所にしたいのよ。正確に言えば神城綜合警備保障に。それでね。お父様が神城君にぜひ会いたいって」


「そういう事は爺ちゃんに言って下さい。俺には分かりません」

「関係大ありよ。お父様は君に会ってから決めると言っている。お爺様の為にも会って」


「爺ちゃんと俺は仕事では関係ない。俺に有ったからって爺ちゃんの会社は分からないよ」

「うーん困ったわ。もうお父様に会えると言ってしまっているの。お願い」

上目遣いに手を合わせ目をうるうるさせている。


「…………考えさせて下さい」

「ええ良いわ」


ふふっ、彼はうんと言ってくれる。これで彼をお父様に紹介できる。


「今日はこれだけ。ありがとう」

聰明先輩が入り口まで来てドアを開けると


「っ!皆さんいらしていたんですか」

「じゃあ失礼します」

「うん、あの事宜しくね。ご苦労様」



「雫、何話していたの」

「若菜、大したことないよ。俺を副会長にして、会長が行動する時はいつも側に居て欲しいって。これは絶対に断った。後、聰明先輩のお父さんに会ってくれって。理由は聰明学園の警備の件だって。これはもうお父さんと約束したらしくって。一応考えさせてくれと言っておいた」


「えっ、そんな事頼んだの。下心丸出しじゃない」

「そうです。雫さん二つともきっぱり断って下さい」

「雫、駄目よ。そんな事しては」


 聰明さんにホワイトデーの時、釘差したのに。彼女には時間が無い。力ずくで来る訳ね。


 藤原さんの所為で雫がこの学校で目立ちすぎている。

下手すると今の状況が更に悪化するかも知れない。最終手段も考えても良いかもしれない。


―――――


聰明奏さんちょっと強引では。

しかし優里奈さん、最終手段とは?


次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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