第79話 どうすれば
「塚原、雫の様子は?」
「はっ、今日も元気でいられます」
「そうか。例の件抜かりない様にな」
「はっ、既に」
雫、爺に任せておけ。相応しい妻を連れて来てやる。
唯香が幸一郎を夫としたいと連れて来た時は頭を抱えたが、生まれた子雫は、神城家代々の血を引いておる。
それに相応しい妻とめとらせるのも儂の余生の楽しみじゃ。じゃが、あの子達の中にも良い子はおるんだがな。
雫はまだそれに気付くほどあちらの経験はなさそうだ。ふふっ、楽しみが一つ増えたわ。
若菜達が爺ちゃんの家に来た午後、早速爺ちゃんが作ってくれた山の遊び場に皆を連れて行った。
今回は皆しっかりとした服装になっている。長袖シャツにジーンズかコットンパンツそして運動靴だ。これなら安心して遊ばせる事が出来る。
「皆様、ご準備は宜しいですか」
「「「「はーい」」」」
「お元気が宜しいですな」
塚原さん、顔赤いよ。
「ではこちらへ」
家から歩いて十五分。ちょっと歩くけど山半分準備したんだから。
「如何でしょうか、些細ではございますが皆様の寸時の潰しにと思い作らせて頂きました」
「「「「…………」」」」
凄い。山半分アスレチックコース。若菜曰く
何ですかこれは。○○ランドよりも大きいではないですか。真理香曰く
ふふっ、雫のお爺様はする事いつも大胆ですね。優里奈曰く
神城君って!私何か勘違いしていたのかな。何者なの?琴平さん曰く
「みんな、行くよ。最初はあのロープでダウンストリームだよ」
「雫、あれって、何百メートルあるの?」
「えっ、ほんの三百メートルだけど」
「「「「三百メートル」」」」
「これ一本のロープにつかまって行くの?」
「うん、簡単でしょ。直ぐに降りるよ」
「「「「いやいやいや」」」」
「雫様、意地悪はいけません。お嬢様達、こちらのリフトで」
「「「「もう雫ったら!」」」」
若菜達と一緒に午後一杯楽しいだ。でもまだ半分も攻略していない。明日以降楽しんで貰おう。
ポチャーン。
今四人でお爺様の家のお風呂にいる。お風呂と言うには少し多き過ぎるけど。二十五メータプール位あるから。
ふうーっ、今日は楽しんだけど。雫の体。全く違っていた。たったの一週間なのに。
「気持いいですね。まさかこんなお風呂まで有るとは」
「普段は、ここに鍛錬に来ている百二十名の方達のお風呂だそうです」
「百二十名?!」
「うん、随分前からここは雫のお爺様の住まい兼神城綜合警備保障の総本山として各国からリーダーとなる方達の合宿所でもあるの」
「下坂さん、詳しいですね」
「琴平さんは初めてだけど、雫はお爺様の跡取りとして此処を継ぐ身。私は当然知っています」
プレッシャー掛けとこ。
「下坂さん、私も知っている。雫の事は我が東条家の表と裏、両家が無ければこの世界の平穏は無いわ」
下坂さんにいい所取りされる訳には行きません。
凄い。下坂さんといい、東条さんといい、この人達に取って神城君の立ち位置が分かって来た気がする。だから早くから…………。
「何を言っているのです。下坂さん、東条さん。雫さんの将来は、あの方の気持ち次第です。決して家の縛りになる様な考えをなさる方ではありません。早瀬産業を継がれる資質を持っているのも雫さんです」
私、好きなる人間違えていないわよね。でもそろそろ上がらないとのぼせてしまう。
「あの皆さん、そろそろお風呂あがりませんか」
「良いんじゃない」
「そうですね」
「そうしましょう」
な、何この人達。顔が可愛いとか綺麗とかじゃない。豊満な胸、括れた腰、しっかりとしたお尻、そしてスレンダーまでのまとまったスタイルと手足。
制服の上からは全く想像出来なかった。神城君はこの三人を…………。私だって負けないわ。
偉そうなこと言っても最後に彼の横にいるのが私なら良いのよ。その為にはこの人達にポジション争いして貰えばいい。最後に収まるのは私の横。
「総帥、榊原様のお孫様はこちらに向かっている様です」
「そうか。何時頃着く予定だ」
「午後一時には私が駅に迎えに行く予定にしております」
「宜しく頼むぞ」
「はっ」
ふふっ、雫がどうするかのう。あの女子達も。楽しみじゃ。
塚原が地元の駅に行くと女の子にしては大きな身長。腰まで有る長い黒髪を流しながら切れ長の鋭い目で周りを見ている。
胸は着ているTシャツがはちきれんばかりに大きく、腰は絞まっている。お尻はさほど大きくないがしっかりとしている。
「久しぶりだわ。ここに来るのは。中学校以来ね」
「お久しぶりでございます。柚原紗友里様」
「塚原さんお久しぶり。雫様は元気?」
「はい、お元気でございます。今日も山歩きをしております」
「そう、私も一緒に山歩きしたいわ」
「雫様も喜ぶでございましょう」
「ふふっ、お会いするのが楽しみだわ」
俺は、午前中の山歩きを終えて丁度、道場に戻っていた。若菜たちは山の遊びを満喫している様だ。
「雫様ー!」
「えっ?!」
いきなり俺の体に正拳を突き出して来た。軽くいなすとそのまま俺の腕の中に入り、今度は思い切り背中に手を回して
「雫様、お久しぶりでございます。紗友里は会いたくて会いたくて」
「分かったから。紗友里離れて」
「駄目です。もう少し」
塚原さんや亀石さんがニコニコしている。
「もう駄目」
強引に離した。この子なら少し位力を入れても大丈夫だ。
「いきなりだけど、どうしたの?」
「神城様から一昨日お話が有りまして、直ぐに参りました」
「爺ちゃんから?」
「おう、紗友里殿か、遠い所を良く来てくれた」
「神城様、お久しぶりでございます。この度はお呼び頂き大変ありがとうございます」
「爺ちゃんどういう事?」
「なに、雫が嫁の事で悩んでいたのでな。あの子達から選べないなら紗友里殿はどうかと。申し分ないだろう」
「雫様、私は幼い頃から貴方様の妻になる為に修行いえ、生きて来たのです。やっとその機会が参りました」
「えっ、でも」
あっ、若菜達が戻って来た。
―――――
この後が何か怖い。柚原紗友里さんって何者?
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価(★★★)頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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