第5話 眩しいお天気いい天気
夫は引っ越してくるまで都会に育ってきた“シティーボーイ”なのだ。
そのため、田舎の遊びや方言はまるでわからない。
「ちいちゃん、今日はかがっぽいねぇ」
「えっ?なにそれ、虫?虫いっぱいいるの?」
お散歩中、夫は急に周囲を確認し戦闘態勢。
なるほど、これが自衛官の本気か。
わたしはわざと方言で話す。
「かがっぽいろ?ほれ、上見てみれてば」
夫は見上げるが、そこは空ばかりでなにもない。でももう疑心暗鬼の夫、前方は空をも隠す葉桜並木。
「……帰ろう、来た道を引き返すんだ、まだ間に合う!!!」
「…なん、おめさんそんがせんでいんだて~」
ずんずんと突き進むわたしの後ろを、夫はひそひそと戦闘態勢でついてきた。ひとりで引き返すのは怖いんだなあ。
自宅に着いて、“かがっぽい”について教えてあげた。
「そんなふうに言わない!なに、語源は輝くなの!?」
めちゃ笑ってた。
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