第29話 オウ、ジャパニーズベイビー!初めまして外国人
ある日、娘をつれてお散歩に出掛けた。
「雨上がったね~、少し涼しくなってよかった!」
「うー、うー」
娘とおしゃべりしながら近所を散歩。
昔から変わらない風景だが、ほんの200mも離れれば知らない人、知らない人。関わりがなければどこに誰がすんでいるのかわからない。
「こんにちはー、収穫ですか?」
「ああ、こんにちは。今はね、種付け。まだまだらんどお」
それでも、ちいちゃんきっかけで話すようになった人もちらほら。
大体いる人は決まっているから、新しい出会いはそうそうない。
緩い坂道をくだって川づたいに歩いていると、正面から外国人が電話をしながら歩いてくる。
珍しい。
確かに少し先にペットオーケーの旅館があり、たまにペット連れの人を見かけるけど、この人は見る限り一人だ。
会釈をして通りすぎようとしたとき
「オウ!ジャパニーズベイビー!キュートゥ!」
「!」
は、話しかけられた!
「オウキュートゥ……ホワッチャァネイム?ホワッチャァネイム?」
「あー、ちいちゃん」
「チイチャン?オウ、チイチャン!ヘーイ!ヘーイ!コンニチハチイチャン!」
…電話いいのかな。
「★△■▲○★△◇▲●▲★▲★▲◎◆▲★▲○▲!!!!」
「!?」
頭脳高卒のわたしには到底理解できない本場の英語。もはやただの呪文とは聞くが、呪文どころか音声として認識することすら難儀に感じる。
わたしの様子に、どうやらわかっていないことを理解した外国人。そこへ電話の向こうからも英語が聞こえてきた。
「○◆◇◎●△◆★◆○◆△◆★◇◎◇~!ジャパニーズベイビーイッツキュートゥ!◎◇●◆○△★◇●◇★◎◎●◇◇★!!!」
……………じゃぱにーずべいびーきゅーと。それだけはわかった!
「よかったね、ちいちゃん」
「キュートゥベイビー、バーイ」
手を振る外国人に、ちいちゃんの手を持ち、バイバイのしぐさをさせる。
するとなにをおもったのか、にっこりちいちゃん。
「オーーーウ!キュートゥ!!!!○◎◇●●○◎★◎◇●○●★◇◎○◎◇◎★●!!!」
その後、娘のかわいさに興奮した外国人はしばらく認識不能音声を発したあと、思い出したように電話を再開し、手を振りながら焦って去っていった。
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