51. 季節は移ろい




「冬が近いな」


 と、雪国にすむわたしが感じるポイントはいくつかある。

 例えば、30度前後だった気温が突然20度前後まで落ちたり、未明の最低気温が6度くらいになって凍えたり、トンボがガードレールにびっしり張り付いてひなたぼっこしていたりすると、「秋」を通り越して「冬」を感じる。実際、長袖ブラウスで過ごせることなんて数日で、基本は半袖から突然ニットになるのだ。



 去年の今ごろは─…


「─…狭い」


 ベビー布団で寝るのを嫌がったので、添い乳も兼ねてひとつのお布団で寝ていた。一応、寝返りで転がっていってもいいようにベビー布団も敷いたがほぼ使わず、どんどん攻めいるちいちゃんを潰さぬよう、そして布団から出ぬよう、棒のようにして寝ていた。


 もうこんな経験することないかもしれないなぁ。来年の今頃なんて、わたしのことなんて気にせず、あっちゴロゴロ、こっちゴロゴロして寝てるんだろうなぁ…。いいなぁ、自由な布団…。



 ─…なんて思っていた去年のわたし。


 残念だけど、今年わたしが一番季節の変わりを感じたのは、いうまでもなく…。


「……狭い」



 ベビー布団で寝てくれてるのに夜中には攻めてくるあなたを見たときよ。

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