第42話 寝かしつけ




 基本的に授乳で寝かしつけていたちいちゃんが、ついにそれだけでは寝なくなった。



「大丈夫大丈夫!咥えてればそのうち寝られるよーー!」



 無理やり口にいれて、なんとか吸わせようと努力し、グズられてもその方法をとっていたけれど………。



「見ててやっぱりかわいそうだし時間かかるし、もっといい方法ないかなぁ」




 でも横だっこ拒否、縦だっこは寝付くまで時間かかって腕が辛い、等の理由でだっこは微妙だし…。


 トントンで寝かしつければ途方もない。


 おしゃぶりはペッてするし、絵本の読み聞かせはあそびはじめるしなぁ…。







「…それなら、抱っこひもで寝かしつけたら?」



 母に愚痴ってみたら、当たり前のようにそう返してきた。



「普通にだっこしてるより格段にらくでしょ?」


「そうだけど……。普段抱っこひもしてても全然寝ないんだよ?大丈夫かなぁ」



 抱っこひも派のわたしは、買い物や散歩は抱っこひもで行うのですが、キラキラの照明、鮮やかの植物、何をとっても娘には楽しい要素らしく、いっこうに寝ないのです。



「そこは、母親の腕の見せ所でしょ!」


「うーん」






 だまされたと思ってやってみよ。








「………寝た!」


 けして早くはなかったけれど、同じ時間を抱っこひもなしでしようとすれば、腕パンパンで使い物にならなくなるだろう。



「抱っこひもって、すごい………!」




 先人の知恵、侮るなかれ。

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