第43話 親の気遣いが裏目に出ることもあると体験
娘の離乳食は、基本おかゆの上にその他を乗せたもので、食べさせるときにおかゆと混ぜる。
冷凍ストックをまとめて作るので、無くなると娘を寝かしつけたあとで黙々と作っている。
うちは、ニンジン・かぼちゃ・じゃがいも・しらすがスタメンで、解凍さえ面倒なときはすり下ろしキュウリや豆腐を加熱して与えている。
「赤ちゃんも同じ味ばかりでは飽きてしまう、かあ………それもそうだよね」
スタメンに少々の別の野菜が加わることがあっても、高値の野菜や作るのが面倒な野菜はつい少な目で、食べられる野菜の種類の少なさはどうしようもない。
「タンパク質は種類も多くないし、いいものないかなぁ」
パラパラと某ママ向け雑誌を読んでいると、離乳食ページでの見出しが目にはいった。
“出汁の旨味で食欲アップ!”
「…そうだ!出汁を使おう!」
────ということで、出汁粥を冷凍ストックすることにした。
「はい、ちいちゃん、あーん」
「はあー……ぷぅ、ん!ん~」
「おいしいねー」
うん、出汁のいいかおり!
ちいちゃんも気に入ってくれたかな?
飽きないようにって変化をつけたの、正解だったみたい!
────10日後
「やあ!う~、う~…あ、あー!あー!」
「ちいちゃん?いらないの?」
特別、異常はなさそうなのに食べられない………こんなことが数日間続き、ついにストックがゼロに…。
「…食べてくれないとなんだか作りがいないなぁ、かなしい…」
…もう出汁いれなくていいや、それさえ面倒…。
このときのわたしは完全に余力を失っていました。
「ちいちゃん、ごはんだよ、おいしいよ、食べてみよう」
二人で昼食。熱いのが苦手なちいちゃんに、いつも通り、冷たくない?ってくらい冷ましたごはんをあーんする。
「あー…んっ、んっ、………へへぇ」
「!お、おいしいの?食べる?」
「あー、あ~、うっ、あ~」
………よ、喜んで食べてる~!完食してる~!すごい、すごいよ!
「ちいちゃん、えらかったね、おいしかったね、すごいよ!」
もう面倒な出汁粥なんて作らない!わたしは素材そのものの味で育てるんだ!
…と、思った雨の日のお昼でした。
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