57. 毎月実家に帰ります




「次はいつ来る?月末とかどう?来月予防接種って言ってたし」

「あーうん、考えとくねー」


 このところ、ばあばの遊びこいアピールがすごい。来年度入園申請をしたと言って以来、一層すごくなった「遊びこい」。


 もちろん、気持ちはすごくわかる。初孫だし、春までは一緒に住んでたし、わたしも写真を送ることはあるけど日々の成長を感じることは少なくなっていると思うし、寂しいのだと思う。シングルマザーだし、妹も成人して、職場の飲み会や友人との予定で家にいないことも多い。その上、土日祝休みの妹とシフト制の母、ふたりの休みが合うのは月に2回ほど。


「ばあばも構いたいだろうなー、孫を」


 ちいちゃんもばあばが大好きだし、田舎も好きなようだ。道路の真ん中を歩いてても車は来ないし、草花で溢れてるし、近所のじじばばも可愛がってくれるし、わたしもしても馴染みの環境は過ごしやすい。



 が、すぐに「月末いくね!」と返事ができない理由もある。


「この時期の田舎は寒い・虫多い・すぐ日没の三拍子!その上、ちいちゃんも夜泣きするし生活リズム乱れるし、帰宅してもやること山積みでしんどい!お家万歳!!」


 往復でガソリン代千円かかるし、行ってもわたしの晩ごはん以外は自費で毎食作らなきゃだし…正直そこまでのメリットはない。


 ……それでも、月に一度は5泊6日ほどの長期滞在をする。それは、母への親孝行も込めているから。


「げー、つー、まー、つー、いー、くー、よ…と」


 可愛らしいくまのスタンプとちいちゃんの写真を添えて連絡する。すぐに既読になって、「了解」と返事が来る。


「ちいちゃん、今度ばあばのところいこっか」

「うん!ばあばー!」

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