29. お祭りだ!炎天下だ!汗だくだ!1




 お祭り当日は快晴の炎天下だった。


「じゃーん!見てみて可愛くない!?」

「やー!ちいちゃんかわいい!」


 褒められすぎてきょろきょろしてるちいちゃんは、金魚柄の甚平を着ている。赤い金魚とピンクベースの花柄がかわいい。帽子は麦わらで、普段のガーベラの造花を外し、200円で売っていた和モダン風のクリップをつけた。こちらもピンクベースの造花で可愛らしい。


「やっぱりこれにして正解だったなぁ…ほかのもかわいかったけど!」

「ちいちゃんほんとかわいい」


 お祭りは休みをとったばあばと御輿を見に行くことになっていた。わたしがいなくなってからすこし変わったらしく、建物が増改築、取り壊しされていてどことなく違う場所のようだ。


 神社の前にある土産屋前で御輿を待つことにした。


「なんかいっこうに御輿が来んなぁ…」

「あ、そっか、あんた昔はやるだったから」


 そう、わたしは昔、御輿を担いでいた(強制で)。だから昼間にこうしてみるのは初めてなのだ(やめてからは花火くらいしか見てない)。



「この紙に書いてある時間は厄払いをはじめる時間なのよ。厄払いして、お清めして、そのほかもなんやかんやしてるんでしょ?そうやって1台目が出て、神社前のここに来るまで軽く30分は掛かるのよ」



 え、そうなん…?

 てかそれ、もっと前に教えて…?



 ちいちゃんは道端の石ころを楽しそうに拾っていた。

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