第3話 がぶっと危機一髪




 出産から少し時が流れた。



 毎日少しずつ成長する娘の発達は著しく、気がつけば歯茎がでこぼこと、乳歯の片鱗を覗かせていたのだ。



 わたしはその成長を本当に早く感じ、「まだ産んでから何ヵ月でしかないのにね!」なんて笑顔で語ったものだ。



 ある日、就寝前にいつも通りおっぱい&おむつ交換を始めた。


 オムツを替え、授乳クッションを膝にのせたあと、娘をだっこする。



「んっく、んっく」



「いっぱい飲んでたくさん寝るんだぞ~」



 娘は飲みながらうとうとしてきた。


 赤ちゃんは、飲んでなくても余韻でゆるくむっちゃむっちゃと吸い続ける。


 やわらかいほっぺを見つつ、ほっこりしていると…





「いっっっっった!!!!!!!」




 あろうことか娘は、顎でぎゅっ!と乳首を噛み締めたのだ。


 そのまま顎を横に動かし、ぎちぎちと挟み込む。もともと真空状態のため、痛みはかなり強い。



 わたしは口に指をねじ込み空気をいれて、なんとか痛みから解放される。



「乳首で歯固めすんなし!」



 生えはじめの歯茎はむずむずするのです。

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