第4話 ちいちゃん、自衛官とテレビを見る




 娘の父親であるわたしの夫は、お国を守る自衛官だ。



 強面で、先輩からも恐れられるくせに根はヘタレでポンコツ。



 そんな夫は、娘と仲良くなろうと一緒にこども番組を見るようになった。





「ちいちゃーん、一緒にテレビ見ようね~!」


 娘を膝に抱え、よしよししながら見るのが定番の光景になっている。


 しかし、はたから見ていてちょっと困ることもある。



「あー、この子はねぇ、えっと…なんて名前だったかな」


 夫はキャラクターの名前が覚えられない。



「えっと…“真ん丸ウサギちゃん”…そう!この子は“真ん丸ウサギちゃん”!」


「嘘教えんなや」



 夫は勝手に名前をつけて教える。おまけに…



「また出てきたね、えーっと…は、は………あっ!“真ん丸ウサギちゃん”だね!」


 自分でつけた名前はしっかり覚えてる。

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