66. 戻ってきた日常



 自粛生活も6月に終止符を打ち、徐々に再開した保育園生活。


「ちいちゃんほら遅れるよー!」

「ほーくえんいかなーいー!」


 2歳も半ばが近づくこの頃、娘のイヤイヤ期かピークに達したようだ。


「無理にいかなくてもいいよ?お休みにする?」

「やーだいく!ほーくえんいくのー!」

「じゃぁ支度しようよ」

「やぁだほーくえんいかなーいー…うああああんっ」


 娘の場合、突然なにかの拍子にイヤイヤスイッチが入り、途端に全てが嫌になるのだ。1歳代のころのようにお店の床で転がって泣いたり公園で誘拐されてるかのように泣くことはなくなったが、スイッチがどのタイミングではいるかわからず四苦八苦する毎日だ。


 本やテレビで見るように優しく受け止める…なんてことも、30分が限界の目安である。


「遅れるゆうてんねっかねー!!」


 まぁこうなる。



 それでも幸いなことに保育園ではお友だちに当たったり怒ったりすることはないようだ。むしろ早生まれということもあり、クラスでは小さい(体は大きめ)方だからか、妹キャラのような立ち位置らしい。全くもって想像できない。


「ほーくえんいかないのおおお」


 怒ったり泣いたりしている娘も、保育園につく頃にはすっかり笑顔になっていて玄関で迎えてくれる園長先生にハイタッチするのが恒例だ。


 クラスにつけばおずおずとしながら、名前を呼ばれて嬉しそうに先生に駆け寄る。その姿に毎朝どれだけ安心することか。


「がんばってね、いってらっしゃい!」


 午前8時40分、いつもの光景は私自身に大きなパワーを与えてくれる。

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