第18話 小児科は楽しい2





 いざ名前を呼ばれて予防接種へ!



「よろしくおねがいしまーす」




 イケメン若先生、今日も優しそうな笑顔で出迎えてくれた。



「ではまず心臓の音をきいていきますね」


 聴診器を取り出した先生、いっそうにっこりとして、


「いちごちゃんですか、かわいいですね」



 そう、今日の娘の服はいちごの服。真っ赤なロンパースにわたしの拳くらいのいちごが刺繍されている。


 一目惚れで買ったもので、若先生にも刺さったようだ。



 トクトクトク…



「はい、いいですね、では後ろ向きにお願いします」



 背中がわから心拍を聞こうと振り向いた娘のおしりには…



「!! 後ろもいちごちゃん……いや、この服、いちごちゃんになっているんですね!!!」



 …そう、いちご!このロンパースは、おしりにもいちごの刺繍がしてあるのだ。それはとっても大きないちごで、おしりがとってもプリティ!



 さらには鮮やかな緑のフリルで襟が作られており、全体がいちごをモチーフにしているのだ!



 そうだろう、そうだろう、かわいかろう。



 かわいい娘でメロメロにしたところで、若先生の発言がフラッシュバックする。そう、わたしは気づいてしまった。



『いちごちゃん!』



 いちごちゃんて!!!!!かわいすぎるのはあんたかっ!!!





 メロメロになる母の目を覚まそうとしたのか、この日はギャン泣きのちーちゃんなのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る