第32話 自衛官は仕事がつらい
わたしの知る自衛官は、「やだよ~仕事したくないよ~辛いよ~」がくちぐせ。
「またそんなこと言ってる…」
「だってオレより適任な人いるでしょ~なのになんでオレがあんな辛い仕事を……」
『─なにか困ったことがあったとき、家族よりその人たちを優先して、1日も早く安全に暮らせるようにしたい』
夫はこの志のもと、日々仕事をしているはずなのだが、ここ最近は体力を大幅消耗する仕事が多いらしく、こんな感じだ。
ああ、あの日の夫はどこへ…。
「…じゃぁ今度おわって戻ってきたら、レモンサクレ買っとくから」
「サクレレモンな、ありがと」
でも体力を使う仕事はいままでだってそれなりにあったし、傍目に見ていて明らかに今までより多いと思うことはない。
もちろん、内容は詳しく知らないから断言できないけど、たぶん去年とそんなに変わらない。
「でもなんでそんなに行きたくないの?大変なのはわかるけどさ」
「だって…」
夫は娘を抱きしめほっぺにすりすりしながら答えた。
「ちいちゃんにまた会えないでしょうが!あときみにもね!」
………パパは娘にメロメロになる、なんて聞いたことあるけど、それはそのうち仕事より娘を優先するじゃないかと家計を危惧した日曜日だった。
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