48. 緑のやつは結構です
うちの娘は緑色の野菜を全く食べない。
ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれないが、まごう事なき事実だ。例えばピーマンやほうれん草など、子供の苦手野菜らしいものはもちろん食べない。さらに、キャベツ、小松菜、白菜など、葉野菜は壊滅的だ。
「今日はハンバーグでーす」
「んっんっんっ!」
嬉しそうに足踏みをしていそいそとごはんの準備をするちいちゃんはすこぶるかわいい。
今夜のメニューは、ハンバーグ、ごはん、南瓜の煮物、人参とさつま芋のきんぴらだ。ちいちゃんの好きなもので固めた晩御飯、きっと食べてくれるに違いない。
「ちゃー、ばってんぶー!」
「ん?ハンバーグって言ってるつもりかい?だとしたら天才だなぁ」
ナチュラルに親バカを発揮しつつ、ハンバーグをすこし小さくしてフォークにさしてあげる。ぱくっと食べ、「おいしい」を示すほっぺきゅっポーズをしてくれた。
…順調順調。実はこのハンバーグ、玉ねぎの代わりにあらかじめ加熱し極みじん切りしたキャベツと小松菜が入っているのだ!!
さあ、そのまま完食するがいい!!
「んっ、んっ」
「はいはいさしてあげますよー」
ハンバーグを指差し、食べたいアピールをする娘に、またハンバーグを渡した。
「…………ん」
「え!?いらないの?さっきまで食べてたじゃん!」
娘はハンバーグをお皿の縁にすり付け、どえにかフォークからはずそうと頑張っている。
「…はっ!……まさか気づいたのね」
緑のものが入っていることに…!!!
今日も今日とて試行錯誤し、残飯と向き合う母なのであった。
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