12. 此度、地震がおきまして3





 かくして、ひとり娘を守ることとなったわたしは、他にできることはないかと模索しながらテレビにかじりついていた。



「─現在、山形県、新潟県、石川県に津波注意報が発令されています」



 震えた。



 たかが注意報かもしれない。普段の天気予報で注意報が出ていても、命の危機を感じることはまあない。でも津波と聞いて思い起こされる恐ろしいことに、また心拍数が急上昇するのを感じた。



「─なお、地震発生から2~3日は強い余震に警戒、またこの先1週間は揺れの強かった地域では余震に注意してください」



 不安は募るばかりだった。画面から目が離せない。



 ときどきちいちゃんの様子を確認し、あっという間に日付を跨いだ。気になって、今夜は眠れないなと覚悟した。



 ヴーッヴヴッ!



 スマホの通知は夫からだった。


『こっちはとりあえず待機。そっちは大丈夫?』



 気持ちは大丈夫ではないが、身体に影響はない。



『寝られるときに寝な』



 今寝るわけにはいかない。気象庁の会見が30分からあるらしい。せめてそれを見てからでないと。



『わかった』



 しかし会見では、私のほしかった安心出来るような内容はなく、ニュースの反復でしかなかった。



『どこも同じこと繰り返してるだけだから、寝な』



 たしかに、眠れなくても横になって少し休んでおいた方がいいかもしれない。このあとどんなことになるかわからないのだから。


 布団に横になって1分ほど、床が揺れている感じがする。


 慌てて夫に『揺れてる!こんなの寝れない!』と連絡したが、『寝て』と一喝されただけだった。



 その後、ラジオで余震があったと放送され、なおさら怖くなった。



 せめてラジオをつけておこう。



 それからどのくらいたっただろう、ラジオから津波注意報が解除されたと言う言葉を聞いたとき、涙が出た。



 安心したのか、わたしはそれから30分ほどで眠りに落ちた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る