第38話 ちゅちゅっと乳首に吸い付け、ない。
完全母乳で育ててきた娘は、哺乳瓶に耐性がない。
「ちいちゃん、暑いから麦茶飲もうね」
「んー、うー」
哺乳瓶に興味は示してくれる(おもちゃとして)。
しかし飲もうとしてもうまくいかず、口端からだらだらこぼしたり、舌で押し出したり左右へ移動させたりするのだ。
コップにいれた麦茶をスプーンで与えると喜んで飲むところを見ると、麦茶が嫌いなわけではなさそうだ。
「う、う」
やっぱり母乳ばかりだと、哺乳瓶で上手く飲めないものなのかな…。
「……ということがあったんです」
「へ~」
今日はベビーマッサージの日。マッサージ後にママさんたちとおしゃべりタイム。
特に同じ月に産まれた子供を持つ2人のママさんは、なにかと一緒になる機会が多く仲良くしている。
「うち、完全ミルクなんですけど、どんな乳首でも飲みますよ」
「えー!うちは混合だけど、飲み方にむらがあるかなぁ」
こういうとき、ママ友って助かるな、大事だなって思う。
「哺乳瓶の乳首を咥えたら、くるくるって回してあげるといいですよ」
「え、なんでですか?」
「乾いた状態の乳首って、吸い付きにくいんです。でもくるくるって回すと、唾液がまとわりついて吸盤みたいに吸えるようになるんです!」
な、なんと!
密着してるかどうかなんて、考えもしなかった…。
慣れてないのか、哺乳瓶が合わないんだと思っていたけど、そういうこともあるのか。
「ふたりとも、ぜひやってみてください!」
「帰ってやってみます!」
…ママ友と呼ぶにはまだまだ知り合って間もないわたしたちだけど、初めての育児でそれぞれが抱える不安や悩みを打ち明ける相手が家族以外にもいるって、こんなにも心強いんだ。
帰宅後、いそいそと哺乳瓶を準備しくるくるって回して飲ませてみた。
こんなときに限って、喉が乾いてなくて全く吸い付きもしないのである。
赤ちゃんってそんなもん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます