20. もうすこしいっしょにいたい




 梅雨なのによく晴れた今日、炎天下のなか向かったのは、市役所。



「いざ出陣じゃ」



 来年から求職復職しようかなとは思えど、ここは夫婦ともども知らぬ土地。保育園事情も待機児童問題があるのかも、どこに保育園があるのかさえよくわからない。


 つまるところ、市役所行った方が速いと思った次第である。



「えーっとこども福祉課は2階Bフロア…」



 新設されたきれいな庁舎は狭い土地に7階建てに建設されており、おまけに田舎と違い仕事が細かく分かれている。今回は保育園や育児専門の相談窓口のあるところへむかった。



「…そうですねぇ、保育園幼稚園あわせて、0~1歳で入園が2割、2歳は4割、3歳が4割といった具合でしょうか。おそらく保育園のみになると2歳のところが6割ほど、保育園全体の約8割ほどが満2歳までの部門に入園されています。

 市として待機児童問題は発生していませんが、やはり人気の園というものはありますね。全員希望した園に、とはいかないのが現状です。また3号認定(満2歳までの乳幼児で保育が必要とされたこども)専門の園に入園されると、また来年すぐに別の園を探すことになってしまいますので、3号からずっと見てくれる園か、満3歳までご自身でみていただいてから入園、という形がよろしいかと思います」


 ふんふん、その他いろいろ説明してもらった内容を考慮すると、なんだか来年いれるのも大変になってきたなぁ。


 ちいちゃんはまだ引っ越してきてここにも慣れきっていないだろうし、人見知りぎみで知らない人が来ると硬直しちゃうし…。うーん…


「…ん?ちいちゃんどうした?」


 既に一時間以上が経過しており、ちいちゃんはすこし前からお疲れモードだった。



「大丈夫?」

「ん!」



 ちいちゃんは両手をあわせて右の頬にそれをぴたりとくっつけた。


 ねんねのポーズ!!!



「眠いのね!オッケー!」



 うん、なんだかまだまだ娘と一緒に過ごしたくなってきた。




「ぎぃやあああああああああああっ!」

「もうすぐ家だから!!!」



 …ちょっと訂正。イヤイヤ期を無事乗り越えられる自信ない。

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