第34話 妹が最近なんだかおかしい





 最近、妹の様子がおかしい。




「ただいまー」


「おかえりー、今日は遅かったね?」


「んー、残業だよー」




 高校を卒業して隣町の商社に事務員として入社した妹。後輩もでき、自分の担当もできてたしかに仕事は増えた。



 でもその会社は『ノットモア残業!』を掲げている会社で、残業は最大30分しか出来ない、なんとも素敵な会社なのだ。



 おまけに妹は仕事がピークを迎えるお昼前後に必死に仕事をして、午後ラクラク過ごすようにしていると入社後から言っている。




 …………そんな妹が、ここ最近帰りが遅い。




 怪しむわたしに降りた、ひとつよ思惑。




 ──カレシ?




 まぁカレシが出来ていてもなんらおかしくない。妹も年頃の女の子、どこかで男と知り合って付き合っているのかもしれない。



 姉としては…すこぶる知りたい!!!!




「はあ……」



 ため息!

 妹よ、そのため息はなんだ?


 カレシとうまくいっていないのか?それとも会いたい気持ちが募っているのか?


 これはそれとなくカマをかけてみるしかない…。




「もう~なにため息ついてるの?フラれでもしたの?」


「ううん、ちがうの……実は、黙っていようかと思ったんだけど…」



 お、まさかこんなに簡単に口を割るとは!

 恋ばな?それとも本当に仕事のこと?一体なんなんだ!




「西松屋にとってもちいちゃんに似合いそうな服があったんだけどね、買おうかずっと悩んでるの…」



「…え?」




 今、なんと?




「今日も帰りに見てきたんだけどね、ほんとにかわいくって…でも結局また決められなくてさあ」



 …………えーっと、つまりは姪っ子の服に毎日悩まされていたと?



「西松屋だったらたくさんかってあげられるよね、最近かわいいこども服多いし、赤ちゃんはすぐ着られなくなっちゃうから」



 たしかに妹の勤務する会社からすぐそこに西松屋があるけれども。




「かわいい姪っ子にかわいい服を着せたいのよおお!はぁ、今日もかわいいよちいちゃん!」







 …………当分カレシは出来ないなぁ、と思わざるを得ない。

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