第11話 お友だちがいるねぇ




 娘と初めて全国区の某有名ファッションセンターへ出掛けた。



「ちいちゃん、ばあばとお出掛けうれしいね」



 この日は、実母が仕事できるTシャツを買いについていった。


 娘は知らない人がいると途端に『よそいきモード』に突入し、にこにこする。



 そして初めての某有名ファッションセンター、自動ドアの向こうは冷房の効いた涼しい世界…。



 入ってすぐに並べられたサンダルに、「履き潰してもいいようなのほしいなー」と見ていると、赤ちゃん連れのお母さんがやって来た。



 私より少し上だろうか?会釈をして、どこか申し訳なさそうな顔…。



 その腕の中には、娘より少し年上くらいの赤ちゃんが!同じ学年になるのだろうけれど、赤ちゃんの数ヶ月の違いは本当に大きいな!



 すると赤ちゃんが、じーっと娘を見てる…。お母さんはこちらに背中を向けて商品を見ている、その腕の間から、じーっと見てくるのだ。



「ちいちゃん、お友だちがいるねぇ」



 ぼそりとつぶやく。



 すると赤ちゃんは、ちいちゃんにびしっ!と指をさし、「ア!」と声を出したのだ。



 その距離1メートルほど。



「う、あっ、ア、アーーーーーッッ!!!!」



 ええええええええええ!?



 娘はビックリしたのか大泣き。



 走って店の外へ行き、なんとか落ち着かせる。いい子になったところで、再度入店チャレンジ!


 すると入り口付近のレジ前には先程のお母さんと赤ちゃん。


 すると



「あ、あっ、うあーーーーーーーー!!!!!」



「あ~」



 再び外へ……。


 今日はだめな日なんだな、とちいちゃんを落ち着かせていると…



「あの、すみませんでした」



 先程のお母さん!

 でもあなたのせいではないですよ!もちろん赤ちゃんのせいでもないですよ!



「え?大丈夫ですよ」


 にこっと返しておいたが、お母さんは足早に去っていった。



 …………これでいい。今日はちいちゃんは、お出掛けちょっとやな日だったんだ。暑いし、きっとそのせいだ、うん。




 …その後、ちょっと買わなきゃと寄ったスーパーではにこにこしていた。

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